第96話 アリソン子爵からの呼び出し
今日は、久しぶりの冒険者活動である。
あれから、人形ジョンの猛特訓は一週間続いた。
騎士団の実力者上位3名に追加され10名になり、騎士団長と副団長を含め、12名相手の模擬戦訓練となった。
幻影魔物のウルフとワイルドボアは、魔法と剣の混合訓練だった。
今日はその成果を見るためにも、ウルフは多めに狩る予定だ。
いつもの草原でシェルターから外に出る。
季節は冬のはじめとなり、だいぶ寒くなってきた。
ナンテン、ビワの葉、ヤツデ、ヨモギなどを採取していく。
人形ジョン『そろそろ森に入りましょう』
「そうだね。採取する出来るものも少ないし」
二人でウルフを探しながら森に入っていく。
人形ジョンあちらの方向にウルフがいるので行きましょう』
3頭のウルフが獲物を探しているようだ。
人形ジョン『まずは、剣でいきましょう』
このくらいの数ならば、問題なく倒せる。
次に現れたのは、5頭。
人形ジョン『今度は剣と魔法で』
剣で一撃を入れながら、残りを魔法で倒す。
剣と魔法が同時に出来るように、または、剣から魔法、魔法から剣と、スムーズに両方を使いこなせるようにする。
何度も繰り返すことで、身体が覚えていき、次はどう動こうと頭で考えすぎないようにする為である。
もちろん、戦略などは頭で考えるが、その時間が短いほどいいし、多数の手札があるほうが勝てるから。
ウルフ狩りもそこそこできたので、次はワイルドボアを探す。
こちらは、ウルフほど数はいない。
マップで探し、ワイルドボアがいるほうに歩いていく。
訓練の成果だろう一撃で倒せるようになった。
2頭目を倒したところで、今日の狩りは終わりにする。
あまり多く倒したら怪しまれそうだし。
「こんにちは、レジーナさん」
「こんにちは、アンさん、ジョンさん」
「今日の採取は少ないです。あとは魔物ですので解体所まで行ってきます」
「ああ、その間に仕分けしておくよ」
「こんにちは、ウルフとワイルドボアをお願いします」
「今日はやけにウルフが多いな」
「そうなんですよ」
「はい、これが査定だよ」
「ありがとうございます」
「レジーナさん、解体所の査定です」
「これが、今日の分だよ」
「はい、ありがとうございます」
「それから、アリソン子爵から使いの者がアンさんを訪ねて来てね、アリソン子爵まで来るように言付かっていたんだよ」
「えっ、何の用なのでしょうか」
「それはわからないんだよ。ただ、来てほしいとだけ言われてね」
「ギルマスには報告してあるから、何かトラブルがあったら言っておくれ。ギルマスの知り合いらしいから大丈夫だとは思うけれど、また何かあるといやだからね」
「そうですか、分かりました。ありがとうございます」
「ジョン、アリソン子爵の用事って何だろうね」
人形ジョン『分かりませんね。模擬戦をしたときが初めて会った時ですし』
「そうだよね。あの一回だけなのに何だろう」
「でも、貴族は関わりたくないし、まして因縁の子爵だしね」
人形ジョン『そうですね。もう子爵に関わるのは懲り懲りです』
「何の用事か分からないし、無視しておこう」
人形ジョン『そうですね。それでまた何か言ってこられたらその時に考えましょう』
『30分休んだら、コピーのアリソン子爵と騎士団長、副団長と訓練しましょう』
えー、まだ訓練するんだ。
やっぱり、ジョンは訓練となると鬼になるんだ。
アリソン子爵と模擬戦をしてから、ジョンは何か思うところがあるのか、剣の訓練に力をいれている。
別に騎士になるわけでもないのになぁ。
冒険者だから強いことはいいけれど、このままいったらムキムキマッチョになったりしないだろうか。
多少の筋肉はついてもいいが、ムキムキはいやだよ。
それから一週間は、また模擬戦訓練が続いた。
ジョンにとっての及第点はどのあたりにあるのだろうか。
一週間ぶりの冒険者活動。
今日は採取はしないで、狩りだけをするようだ。
また、ウルフ狩りからはじめる。
これだけ狩っても数が減らないのが不思議だ。
3頭から始まり、50頭狩ったところで終わりにした。
次は、ワイルドボアを狩る。
マップで探すというズルをしながら、標的を探す。
経験を積みたいので、3頭を目標とする。
どんなに遠くにいても飛んで移動できるし、もっと遠ければマップから標的の近くまで転移することが出来るので構わない。
1頭目は剣で一撃、2頭目はウインドカッター、3頭目はウインドアローで倒す。
1頭目と2頭目はなんなく首を落とせた。
3頭目はウインドアローで眉間を狙って命中するが、すぐには倒れない。
そのまま、こちらに走ってくる。
逃げながら様子を見るが勢いは止まらない。
あれ、おかしいな命中はしているのに、効かないのか。
逃げながらも、そんな事を考えていると急に立ち止まりパタリと倒れた。
あー、命中はしたが、一発だと効きが悪いのか。
これが人間相手ならば、眉間を撃たれたならば即死だろうが、巨体のワイルドボアだから時間がかかるのであろう。
そうなると、ウインドバレットの方が数ヵ所当たるはずだからそちらの方が即死する確率があがるか、これは次回試してみよう。
目標の3頭が倒せたので帰ることにする。
「こんにちは、レジーナさん」
「こんにちは、アンさん、ジョンさん」
「今日は、ウルフとワイルドボアだけになります」
「あら、そうなのかい。じゃあ解体所にお願いね」
「はい、行ってきます」
「こんにちは、今日もウルフとワイルドボアになります」
「今日もかい、それじゃあ、ここの台の上に置いとくれ」
ウルフ50頭とワイルドボア3頭を出す。
「ワイルドボアは、倒し方を変えたのか」
「そうなんです。よく分かりますね」
「そりゃあ、切り口が違うからな」
「それに、1頭は眉間を撃ちぬかれているしな」
「でも、これじゃあすぐには死ななかっただろう」
「ええ、そうなんですよ。しばらくは追いかけられて急にパタリと倒れたんです」
「ワイルドボアはデカいからな。一発じゃあすぐに死なないさ」
「次からは何発も当てるといいよ」
「分かりました。参考にさせていただきます」
査定のメモを受け取り、レジーナさんのところに戻る。
「レジーナさん、査定されました」
「あいよ。じゃあこれが支払いだよ」
「はい、ありがとうございます」
「そういえば、またアリソン子爵から訪ねて来るようにと言付かったよ」
「またですか」
「その様子じゃあ、行っていないんだね」
「はい、行っていません。何の用事だか分かりませんし」
「まあ、そうだよね。用件でも言ってくれればいいのにね」
「アンちゃんは、警戒しているのかい」
「そうですね。子爵には2度も酷い目にあいましたから」
「ハハ、そうだったね。ギルマスに言っておくよ」
「ありがとうございます」
「ねえ、ジョン。あの子爵はまだ諦めていなかったね。本当に何の用なんだろう」
人形ジョン『そうですね。調べますか』
「うーん、いいかな。あの子爵ならばギルマスに何か言ってくるだろうから。その時に考えよう」




