第93話 アンとジョン
スープジャーの申請許可がおりたので、早速売り出そう。
各容量と5色を100個ずつ用意する。
タブレットの前に置くとすぐに換金される。
登録したばかりの干し肉、刺繍キット、刺繍の基礎本、和柄がま口も100個ずつ用意した。
こちらもすぐに換金される。
案外売れるものなんだなぁ、なんて感心していると、タブレットに注文が表示された。
車椅子各500台、歩行器各300台、歩行車各300台、普通肌石鹸1000個、敏感肌石鹸2000個、干し肉各500個、刺繍キット各500個、刺繍基礎本500冊、スープジャー各容量と5色3000個の追加だ。
「何だこりゃぁー!!!」
思わず大声を上げてしまった私は悪くないはず。
神様、さすがにこの数はいかがなものか。いや、確かにコピーするだけなので、そんなには手間はかからないが、大丈夫なのかこの数。
どうやって売りさばいているのか。
大きな声が聞こえたのか、ジョンが慌ててやってきた。
人形ジョン『アンどうしました。大丈夫ですか』
「あー、ごめん、ジョン。いやさぁ、神様からの注文数にビックリしちゃったんだよね」
「見てよこの数を。これってさぁ、神様一人で売りさばいているのかなぁ」
人形ジョン『本当ですね。すごい数です』
『さすがに、この数では普通に訪問販売している訳ではないでしょう』
『特別な方法があるのか、眷属でもいるのかは分かりませんが』
「そうだよね。さすがに一人で訪問販売だけでは売り切れないよね」
「まあ、私たちが心配しても仕方ないか」
人形ジョン『それもそうですね。売れたことを喜ぶべきでしょう』
「これまでも、時々ぬいぐるみや絵本にミステリー本と追加注文はきていたしね」
「今日は、モーラさんに会いに行こうか。もう完全完治していると思うよ」
人形ジョン『そうですか。それは良かったです』
「こんにちは、モーラさん」
「こんにちは、アンさん」
「歩くのに支障はないですか」
「ええ、もう普通に歩けます」
「一応、鑑定してみますね」
「鑑定」
「完全完治しています。足も問題ありません」
「おめでとうございます」
「ありがとうございます」
「あなたもお世話を頑張りましたね」
「はい、ありがとうございます」
「これからも大変だとは思いますが、頑張ってください」
「はい、健康な身体になりましたので、何でもやってみます」
「そうですね。では、私たちはこれで失礼します」
貸し出していた、杖は回収した。
桶とタオルは、そのまま回収はしなかった。
これからも必要だし。
「モーラさん、本当に完治して良かったね」
人形ジョン『そうですね。でも、これからが大変です。働き先を探すのですから』
「そうだね。でも、ギルマスが何とかするんじゃない」
人形ジョン『そうかも知れません』
「これからどうする。狩りに行くか。ギルドに報告だけして帰るか」
人形ジョン『少しだけ、狩りをしていきましょう』
いつもの草原に転移する。
「薬草も減ってきたかな」
人形ジョン『そうですね。枯草が多くなってきました』
「まあ、ある分だけでも採取しようか」
枯れる前に、薬草を採取していく。どうせあと少しで枯れてしまうので全部採取する。
「そろそろ、森に入ろうか」
人形ジョン『そうですね。ウルフ狙いで行きましょう』
私が5頭にジョンが8頭狩ったところで終わりにした。
「じゃあ、帰ろうか」
『「こんにちは、レジーナさん」』
「こんにちは、アンさん、ジョンさん」
「薬草も少なくなってきました」
「そうだね。もう秋も深くなってきたからね」
「解体所に行ってきます」
「ああ、こっちは仕分けしておくよ」
解体所に行き、私とジョンの狩ったウルフを出していく。
いつものように査定されたメモを受け取り、レジーナさんのところに戻る。
「はい、アンさんとジョンさんの会計だよ」
『「ありがとうございます」』
「モーラさんですが、完全完治しました」
「歩くのも支障がなく問題ありません」
「そうかい、それは良かった。ギルマスにも伝えておくよ」
「はい、お願いします」
「キルィ町の件も片付いたし、モーラさんも完治したし、これで心配事は無くなったね」
「これからはどうしようか。今は商業ギルドをメインにしている感じじゃない。それでいいのかな」
人形ジョン『アンの好きなようにすればいいのです』
『その時にやりたい事をすれば良いので、新商品の開発でも冒険者をメインとして活動するのでも、シェルターでのんびりと過ごすのでも、なんでもアンの好きにすればいいのです』
「そうだね。別にこれと決めなくても、その時にやりたいことをすればいいんだ」
「それって、今と変わらないんじゃない」
人形ジョン『神様は、アンが楽しくこの世界で生きて行けば、それで満足なんですから』
「えー、それって、神様は私に甘くない」
人形ジョン『その為に、色々とスキルを与えたのですから、いいんです』
「そうなんだぁ。じゃあ、ジョンは、ジョンは何かしたいことはあるの」
人形ジョン『私ですか、私はアンと一緒ならば何でもいいのです』
「それだとつまらなくない。ジョンがやりたいこと楽しいことは無いの」
人形ジョン『そうですね。アンのおかげで、地球の色々なことが学べました』
『医療や技術に料理と、地球では趣味や資格とされるものが多くて、まだまだ学ぶことがあり楽しいです』
『それに、アンを鍛えるのも楽しいです』
「えー、それはそれで、私が大変そうじゃない」
人形ジョン『鍛えるのは、アンの為になります』
「まあ、そうだけれどさ」
人形ジョン『仮想地球に行くのも楽しいです。この世界とは、まったく違いますから何を見ても感動します』
「そうだね。地球は素晴らしいよね。もっと沢山の場所を案内したいし、私も行ったことが無い場所にも行きたいし」
人形ジョン『アンが楽しければ、私も嬉しいです』
「ねえ、ジョン。こんな事を聞くのは気が引けるけれど、もしもの事があるかもしれないから、聞くけれど気分を害さないでね」
人形ジョン『分かりました。何でも聞いてください』
「ジョンは、今でも人形なんだよね。壊れたりすることは無いの」
人形ジョン『そうですね。頑丈に造ってありますし、付与魔法も掛けてありますが、無いとは言い切れません』
「もしも、壊れたらどうなっちゃうの」
人形ジョン『毎日、データをバックアップしてあるので、それで復旧は出来ます』
『身体のデータも登録してあるので、完全復旧出来ます』
『万が一、復旧出来ない状態になれば、神様が治してくれます』
「えっ、神様って治せるの」
人形ジョン『そうですね。元々この知識も人形も神様が造ったものですし、そこから改良したのは私ですが、神様も内容は把握していますから』
「じゃあ、壊れたりしても、ジョンが居なくなることは無いんだね」
人形ジョン『そうですね。何の問題もありません』
「そっか。良かった。もうジョンが居ない生活は考えられないからさ」
人形ジョン『ありがとうございます。私もアンが居ないと生きていけません』
「ふふ、お互いにかけがえのない存在だね」
お互いに恋愛感情はないが、信頼関係は築けている。
今後は、分からないが・・・。




