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第86話 治癒ギルドの依頼

「おはよう、ジョン」

人形ジョン『おはよう、アン』

「ねえ、ジョン。今日は商業ギルドに行くでしょ」

「モーラさんのリハビリが終わったらすぐに行くの。それとも薬草採取してから行く?」

人形ジョン『そうですね。早くアンと同じDランクに昇格したいので、薬草採取してからいきましょう』

「分かった」


いつものように、モーラさんの家でリハビリの指導をしてから、薬草採取場所に向かった。


「ジョンも薬草採取でいいんだよね」

人形ジョン『はい、薬草採取をしてから、魔物の討伐をしようと思います』

「えっ、そうなの」

人形ジョン『はい、その方が早く昇格できるはずです』

「まあ、そうかも」

「それで、何を狩るの」

人形ジョン『まだ、決めていませんので、森の奥まで行きその時に決めます』

「あー、行き当たりばったりなんだね」


二人で薬草採取をしていく。

私は、20株を10種類、ジョンは30株を10種類、採取できた。

その間も角うさぎやスライムも狩る。

「薬草採取はこのくらいでいいんじゃない」

人形ジョン『そうですね。後は、魔物を狩りましょう』

「私は、どうすればいい」

人形ジョン『今日は、私だけが行ってきます。様子を見てきますので、問題がなければ次はアンも一緒に行きましょう』

「分かった。じゃあ、私はここで休憩しているね」

人形ジョン『はい、お願いします。なるべく、早く戻ってきます』

「何かあったら、念話で連絡してね」

人形ジョン『分かりました』


私は、草原で認識阻害をかけた結界をはり、その中で休憩だ。

索敵も1km範囲でかけておく。

ジョンは、30分ほどで戻ってきた。

「ずいぶん早かったね」

人形ジョン『はい、アンを一人にしておくのは心配でしたので、超高速で走ってきました』

「それで、何を狩ってきたの」

人形ジョン『ゴブリンとコボルトとフォレストウルフです』

「えー、そんなに狩ってきたの、ジョンは大丈夫だったの」

人形ジョン『ええ、もちろんです』

「昇格したいからって、あまり無理はしないでね」

「私にはジョンしかいないのに、ジョンが怪我でもしたら大変だから」

人形ジョン『はい、アンのためにも気をつけます』

「休憩してから帰る ?」

人形ジョン『私は大丈夫です』

「そう、じゃあ帰ろうか」


「こんにちは、レジーナさん」

「こんにちは、アンさん、ジョンさん」

「私は、薬草採取と角うさぎとスライムを狩ってきました」

小さな声で「ジョンは、ゴブリンとコボルトとフォレストウルフを狩ってきましたが、ここで出してもいいんですか」

レジーナさんも小声で「それなら、解体所で出してきておくれ」

ジョンは、薬草はカウンターに出し、魔物は解体所に持っていく。

すぐに戻ってきて、解体所の人から預かったメモをレジーナさんに渡していた。

「おや、こんなに狩ってきたのかい。早くDランクになりたいからって危ないことはしないでおくれよ」

人形ジョン『はい、大丈夫です』


「モーラさんですが、今日も自分で身体を動かしてリハビリが出来ました」

「段々と身体を動かすことに慣れてきたようです」

「食事も美味しく食べれているようで、順調です」

「そうかい、それは良かった。ギルマスにはことづけておくよ」

「はい、お願いします」


ギルドを出て、着替えるために一旦̪シェルターに戻る。

私は、お嬢様風のワンピースにジャケットとコートを羽織った。

ジョンは、スリーピーススーツだ。


商業ギルド近くの路地にシェルターから外に出る。

「こんにちは、スペンサーと申しますが、グリーンさんはいらっしゃいますか」

「お約束はしてますでしょうか」

「いえ、しておりません」

「それでは、確認して参りますので、少々お待ちください」

「こんにちは、スペンサー様、タンディ様」

「こんにちは、グリーンさん。またお伺いさせていただきました」

「本日は、どのお部屋がよろしいでしょうか」

「普通の部屋で大丈夫です」

「分かりました。ご案内いたします」


いつもの部屋に案内された。

「本日は、どのようなご用事でしょうか」

「はい、新商品の登録を申請したくお伺いいたしました」

「こちらが商品になります」

スープジャーと看護服をテーブルに出す。

「まずは、こちらのスープジャーですが、保温と保冷が出来ます」

「だいたい、24時間は効果があります」

「容量は200ml、300ml、500mlになります」

「色は、冒険者のパーティ人数を考慮して、5色にしました」

「こちらは、見本品となっておりますので、試していただいても構いません」

「冒険者の方や商人の方、旅人の方など移動される方に重宝されると思います」

「いかがでしょうか」

グリーンさんは、また固まっているようだ。

「はっ、これは本当に24時間効果があるのですか」

「そうですね、多少の温度差はありますが、概ね大丈夫だと思います」

「商品を登録する前で構いませんので、是非試してみてください」

「そうでございますね。こちらといたしましても確認はさせて頂きたいと思います」


「次に、こちらの服は看護服となります」

「診療所や治癒院などで、患者様を介護するときに着る服となります」

「ズボンですので、女性の方でも患者の方を介護するときに服を気にすることもなく動きやすくなると思います」

「男女兼用となりまして、サイズはS~5Lまであります」

「こちらは、いかがでしょうか」

「そうでございますね、このような決まった服はございませんでしたので、あれば便利かなとは思います」


「では、スープジャーは保留としまして、看護服は登録させていただきます」

「手続きをして参りますので、少々お待ちください」


「スープジャーはすぐに登録はできなかったね」

人形ジョン『そうですね。実際に使ってみないと分かりませんから』


「お待たせいたしました。こちらが看護服の登録の控えとなります」

「それから、本日はまだお時間大丈夫でしょうか」

「はい、大丈夫です」

「実は、治癒のギルマスがスペンサー様に用事があるようでして、今こちらに来ますので、お待ちいただけますか」

「はい、それは構いませんが、何の用事でしょうか」

「なんでも、先日購入された『介護補助運動』の本ですか、そちらの実習を兼ねた講習を依頼したいそうなんです」

「えっ、そうなんですか」

「あの本だけでは、分からなかったということですか」

「いえ、詳しい話しは分かりませんが、講習はお願いしたいようです」

「はあ、そうなんですね」

念話『ジョン、どうしようか』

人形ジョン『受けてもいいのではありませんか』

『その方がきちんと理解できると思います』

『まあ、そうだろうけれどさ』


トントン「治癒ギルドのギルマスをお連れしました」

「はい、どうぞ」

「こんにちは、スペンサー様、タンディ様」

『「こんにちは、パーラさん」』

「実はですね、スペンサー様から購入した本で実習はしているのですが、正しく出来ているかの判断が難しくてですね」

「出来ましたら、治癒院の皆の前で実演していただけないかとご相談に参りました」

「あの本だけでは、分かりづらいでしょうか」

「いえ、解説の挿絵もとても丁寧に書かれていますので、分かりやすいです」

「ただ、感覚的には分かるのですが、誰も正解が分からないなかでの実習も難しいのです」


念話『どうする。受ける』

人形ジョン『はい、良いと思います。ただ、きちんと条件もつけましょう』

『こちらを侮辱したり、女性だからと侮ったり、身体に触れたりした場合は、即退出してもらいましょう。』


「はい、分かりました。お受けいたします」

「ただ、こちらからも条件をお願いしたいです」

「はい、それはもちろんです」

「受講される方の身分はどうなっていますか。貴族の方、庶民の方とか女性の方もいらっしゃいますか」

「はい、貴族も庶民も女性もおります」

「では、身分を笠にした方や揶揄されたり、暴言を吐いたりする方、または身体に触れたりする方は、問答無用で部屋からは退出していただきます」

「その場合、後日こちらを咎め罰を要求するようなことがないように依頼書または契約書を作成していただきたいです」

「退出していただく方法は、こちらに任せて頂いてもよろしいでしょうか」

「えっ、ええ、もちろんでございます」


「グリーンさん、このような条件での依頼の作成は可能ですか」

「また、後日トラブルになったりしませんか」

「契約がありながら、後から咎められたり罰せられたりするのは困りますから」

「そうでございますね。治癒ギルドの責任にて契約すれば問題ないでしょう」

「受講される方も、治癒ギルドの一員として参加されるでしょうから」

「その辺りは、ギルマスもきちんと職員に説明してくださいね。後から聞いていないなどという言い訳は通りませんよ」


念話『監視カメラはどうする』

人形ジョン『そうですね。証拠を残すためにも、必要です』

『ここで、契約書に書いた方がいいかな』

人形ジョン『そうですね。隠しカメラはまずいでしょうから』


「グリーンさん、以前にアクセサリーを登録しましたが、あれを今回使用するのはどうでしょうか。問題はございますか」

「えっ、ああ、あれでございますか、そうですね。使用されたほうがトラブルは解決しやすいかもしれません」

「ただ、そうなりますと、ここで紹介することになりますが、大丈夫でしょうか」

「そうですね。トラブルがあった場合を考えますと、仕方がないとは思います」


「パーラさん、内密の話しがあります」

「トラブルが起きない限り、内密の話しとして聞いていただきたいです」

「もしもの時の保険のようなもので」

「トラブルがあった時だけ、公にしたい話しです」

「聞いていただけますか」

「はい、分かりました」


「この耳や首につけているアクセサリーは、録画できる機能付き魔道具です」

「今ここで話しをしている様子を記録できます」

「実習する当日は、こちらを使用したいと思いますので、了承していただきたいのですが」

「いかがでしょうか」

「えーっと、録画といいますと、この会話の様子がですか」

「ええ、そうです。今録画しましたので、ご覧になられますか」

「えっ、ええ、是非」

ピアスを外してテーブルの上に置く。

「再生」

今の数分間の様子が映し出された。

「・・・・・えぇぇぇぇぇぇ」

「な、な、なんですか、これはぁぁぁぁぁぁぁ」

「この商品は、登録はしてございますが、非公開の登録になっています」

「なぜなら、悪用される心配があるからです」

「今回は、貴族の方がいらっしゃるということなので、用心として使用許可をいただきたいのです」

「貴族の方には、酷い目にあったことがございますので、自分を守るための保険でございます」

「出来ましたら、このアクセサリータイプと部屋には別仕様の物も置きたいです」

「それと、当日は身体に結界を張りたいと思います。身体を触られたり、なんらかの攻撃を防ぐためです」

「いかがでしょうか。過剰防衛だと思われるでしょうが、相手が貴族となると何をするか予想も出来ませんので、出来る限りの防衛はしたいのです」

「何があったのかお聞きしてもよろしいでしょうか」


ジョンの顔を見ると、頷いたので話すことにした。

「とある貴族の方に呼び出されまして、最初は断ったのですがどうしてもということで伺ったのです」

「そうしましたら、話し合いの途中で使用人から暴言をはかれ、お茶には睡眠薬と媚薬を入れられました。もちろん毒には気がつきましたので、被害はありませんでしたが」

「そちらのご当主様も家族の方も平民には何をしても良いし、貴族に従うのは当然という考えでした」

「すべての貴族の方がそうだとは思っておりませんが、警戒して対策をするのは当然ではないでしょうか」

「出来ることならば、関わりたくはないですね」


「そうでしたか。そんなことが。あり得ない話ではございませんな」

「分かりました。こちらも十分な説明はしておきますが、予定の人数も減らしましょう」

「人数が多いほど、トラブルも起きやすいですから」

「録画の件も承知いたしました。契約の項目にも記載いたしましょう」

「この契約書も限られた者だけが閲覧できるようにして、そうですな、サブマスと指導の責任者だけにしましょう」

「無理なお願いをきいてくださり、ありがとうございます」


「しかし、スペンサー様は色々な魔道具を開発されるのですな」

「是非、我々にも使用出来るものを作っていただきたいものです」

「ふふ、そうでございますね」

グリーンは、この時思っていた。これはまだ治癒関係の登録が続くのだと。


「では、今すぐに契約書を作成たします」

「それで、日程はいつがよろしいですか」

「私は、いつでも大丈夫です」

「明後日はいかがですか。時間は午前10時30分でどうでしょう」

「はい、大丈夫です」

「それでは、当日はその時間に治癒ギルドでお待ちしております」

「はい、分かりました」

パーラさんが契約書を作成したので、私とジョンとグリーンさんとで確認する。

了承のサインも三人ともした。

グリーンさんは関係ないはずなのに、サインまでしてくれて親切な人だ。

控えも私たちとグリーンさんにも渡された。


「では、当日お待ちしております」

「はい、よろしくお願いします」


グリーンさんにもお礼を言って、ギルドを後にした。


【商業ギルド キルィ町 side 】


トントン「グリーンです」

「入れ」

「スペンサー様たちと治癒ギルドのギルマスが帰られました」

「それで、今回は何だって」

「スープジャーと看護服だそうです」

「スープジャーは24時間、保温保冷が続くそうです。実証してみないことには登録できないと、登録は保留にしてあります」

「この看護服は、患者のリハビリをするときなどに着る服だそうです」

「はあ、今度は24時間効果の続くポットか」

「いえ、スープジャーですよ」

「名前なんかどうでもいい」

「それで、いつ試すんだ」

「早い方がいいですから、今からしますよ」

「そうか、結果がでたら聞かせてくれ」


「それで、治癒の方はどうなった」

「ダーニュ町のデップ子爵の件は知っていますか」

「ああ、なんでも使用人がやらかしたとかで、男爵に降格して辺境に追いやられたんだよな」

「たぶんですが、スペンサー様がその被害者のようです」

「なんだと!!!」

「先ほど、治癒ギルドの実習について話し合っていて、条件を出してきました」

「貴族に酷い目にあったとかで、用心のために例のアクセサリーを使うと」

「その話しのながれで、とある貴族の屋敷に呼び出されたら、使用人に暴言をはかれ、睡眠薬と媚薬を盛られたと」

「名前は言っていませんでしたが、それってデップ子爵家のことじゃないかと」

「幸いにも、毒には気がついたので、被害はないそうです」

「実習中には部屋には他の録画魔道具を使用したいと」

「それに、身体には結界を張り、勝手に身体に触れたり、攻撃をされたりしたときに防ぎたいそうです」

「なんだそれは、そんなことが出来るのか」

「ええ、私もそう思いました」

「暴言を吐いたり、揶揄ったりする者は問答無用で部屋から追い出すと、方法は任せて欲しいと」

「はあ、まったくどんな手を使うんだよ」

「私も契約内容を確認して、書類にサインしました」

「はっ、なんでお前まで、関係ないだろ」

「そうなんですが、スペンサー様も治癒ギルドだけだと、誤魔化されるとでも思ったのかもしれません」

「商業ギルドが証人していれば、また対応が違ってきますから」

「抜かりはないってか」

「あのお嬢さんはやり手だな。それにどれだけの魔法が使えるんだ」

「いやぁ、分かりませんよ」

「それに、治癒のギルマスがまた魔道具があれば、よろしくと言えば、分かりましたと返事していましたよ」

「あれは、まだ隠している商品がありますね」

「はあ、まったく、どんだけあるんだよ」

「これで、どこが目立ちたくないのか。本人は自覚しているのかね」

「なんだか、思いついたから作ったみたいな感じでしょうか」

「そんなんで作れるなら、誰も苦労しないよなあ」


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