第71話 各ギルド 王都本部
【商業ギルド 王都本部 side】
「パトリック、どうした、そんな辛気臭い顔をして、いや最近はいつもそんな顔だな」
「またまた、スヴァロード領のギルマス、ビル・エルフマンから、緊急で書簡が届きました」
「ほぉ~、前回以上に分厚い書簡だな」
「やはり、厄介ごとの予感しかしませんが」
「まあ、そう言うな」
ギルマスのリッキー・パーカーは、書簡を受け取る。
「9束あるな。凄いな」
それぞれの送付状を読んでいく。
・梅昆布茶、梅干しと昆布を乾燥させて粉末にしたもの。効能は疲労回復、新陳代謝向上、便通改善。
・干し野菜、色んな野菜をカットして乾燥させたもの。かさばらず保存場所も取らない。スープ、炒め物に使用。
・ドライフルーツ、実のままやカットしたものを乾燥。甘味が凝縮され、保存食、携帯食、おやつにもなる。
・野菜の出汁、数種類の野菜をカット乾燥させて粉末にしてある。スープの出汁、お茶変わりにもよい。栄養満点。
・フリーズドライ、ポトフをカップ一杯分凝縮したもの。お湯を注げばすぐに飲める。
味は、コンソメ、カレー、豚骨、醤油、味噌、唐辛子。
・クッキーバー、携帯食で二種類の味でドライフルーツとナッツと干しぶどうが入っている。
以下は、商業ギルドに持ち込まれたが、薬関係となるため、顧客了承のもと、薬師ギルドに譲り渡す。
通称、船乗り病こと壊血病の症状が改善されるとのこと。
・ザワークラウト、キャベツを千切りにし発酵させたもの。
・アセロラ飴、アセロラの酸味種と甘味種を飴にしたもの。
・ビタミンC野菜出汁、ビタミンCが多く含む野菜を乾燥粉末にしたもの。スープの出汁やお茶変わりに使用。
顧客によれば、特定の野菜不足、栄養の偏りにより、船乗り病が発生するとのこと。
特定の野菜や果物とは、栄養成分のビタミンCとやらが多く含むものらしい。
顧客は店舗を持たないため、銅級から銀級に昇格させるに留めたが、貢献度から考慮すればもっと昇格させるべきか、ご検討願います。
「はぁ~、どうしてこうも色々申請してくるのか」
「いや、商業ギルドとしては喜ぶべき話だが、あ~また、会長に会わねば」
「偶には、サブマスのお前が顔を出すか」
「いやです。私はそこまでの役職ではございません」
「だよなぁ」
渋々、ギルマスが会長室に向かう。
トントン「ギルマスのリッキーです」
「入りなさい」
会長のロニー・デイビス。
「最近はよく来ますね」
「はい、お忙しいところ恐れ入りますが、確認して頂きたい申請書があります」
「こちらをご覧ください」
秘書に手渡す。
「スヴァロード領のキルィ町のギルドマスターから届いたものです」
「申請者は、あの『アース商会』です」
「ほう、また彼女かね」
会長も送付状を読んでいく。
「さて、どうしたものか」
「申請書類はこのまま許可できるが、階級をどうするべきか迷いますね」
「ギルド長会議を開きましょう」
【薬師ギルド 王都本部 side】
「ギルマス、スヴァロード領のキルィ町のギルドマスターから届いた書簡です」
「珍しいな」
「それに、やけに分厚いし」
送付状を読んでいく。
・商業ギルドに申請された治癒薬、梅毒(通称 : 娼婦病)治験の効果が認められ認可される。
・ポーションを固形化する。固形にすることで持ち運びが安全になる。効果は同様。
・壊血病(通称:船乗り病)の効果のある料理品の申請。治験始める。
・階級を3級にしました。昇格についてご検討願います。
「はぁ~、なんだこりゃあ~」
「どうしました」
「サブマスも読んでみろ」
「えっ、これは事実ですかね」
「ギルマスからの書類だ。間違いないだろう」
「これが本当ならば、大変なことになりますよ」
「あーそうだな。申請者は『アース商会』とあるが、聞いたことないな」
「そうですね。私も存じません」
「とにかく、会長に報告だ。行ってくる」
「はい、いってらっしゃいませ」
会長室に向かう。
トントン「ギルマスのヒューイです」
「入りなさい」
会長のポール・キッシュがいる。
ギルマスが入室し、秘書のビクター・キャロルに書簡を手渡す。
「スヴァロード領のキルィ町のギルドマスターから届いた書簡です」
「ほぉ~、ついに認可がおりたか」
会長が書簡を受け取り、送付状を読んでいく。
「なに!!!、船乗り病もだと、それにポーションの固形化まで」
「えっと、会長は娼婦病の件はご存じだったのですか」
「あー、商業ギルドの会長より報告は受けていた」
「そうなんですか」
「ああ、治験が終わるまでは内密に動いたからな。黙っていてすまないな」
「馬鹿な連中が出てこられても、困るだろ」
「ええ、そうですね」
なんだ、会長は知っていたのか。内密に話ししてくれてもいいのに。
ギルマスとしては、秘密にされたのが不満なのだ。
「やはり、『アース商会』は、只者ではないな」
「会長は、『アース商会』を、ご存じなのですか」
「ああ、彗星の如く現れた商会だぞ」
「なんだ。知らないのか」
「はい」
「今までない小説や木彫りの置物に動物のぬいぐるみに小物と、凄い商品ばかりを販売しているんだぞ」
「それも、何らかの条件が合わないと買えないそうだ」
「なんとも不思議な商会ですね」
「あー、そのうちにギルマスでも変えるんじゃないか」
「そんな安月給でもないだろ」
「え、そんな高級品なんですか」
「そうだぞ。私ももうすぐ手に入るはずだからな」
「ハハハハハ」
なんとも、嬉しそうな会長である。
「では、こちらの書簡は宜しいですか」
「ああ、あとはこちらで処理するから、ご苦労様」
一礼してギルマスは、部屋を退出していった。
「会長、そんなに喜んでいると裏取引のことがバレますよ」
「ハハ、大丈夫だよ」
「しかし、この商会は凄いな。小説だけでなく薬も手掛けるなんてな」
「調査したいところだが、商業ギルド会長からも、詮索はするなときつく言われているからな」
「なにか特別な事情があるのかもな」
「こちらとしては、問題が起きなければ手は出さないことにするから」
「はい、承知しております」
「階級については、どうするかな」
「ギルド長会議を開くか」




