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第68話 商業ギルド⑤

「ねえ、ジョン、商業ギルドに呼ばれたら、手ぶらで行っていいのかな」

「それとも、新商品を持って行った方がいい」

人形ジョン『そうですね。前回いくつも申請書を渡したのですから、不要かと思います』

『ただ、お礼としていくつか新規の申請をしてもいいかもしれません』

「商業ギルドとしては、新商品があったほうが、嬉しいよね」

人形ジョン『新規の品はありますか』

「そうだなぁ、男性向けの小説を前回とは違う作家の作品を出すことは出来るよ」

「あとは、固形ポーションかなぁ」

「あれも、商品化出来れば、人気がでると思う」

「じゃあ、とりあえず準備だけしておく」


前回は、日本の作家だったから、今回は海外の作家にしよう。

見本品をネットで購入。

このミステリー作家も人気で映画やドラマにもなっているから、大丈夫なはず。

ハードカバーも前回とは違うデザインを選びこの作家専用にしよう。

本のタイトルを表紙と背表紙に表示、丸背、しおりのリボン付き、裏にはあらすじ、出版をアース商会、商標登録、ナンバリング、小説の内容はこの世界に合わせて、あまり過激行動なことや思想は変えて、所々に挿絵、上級用紙使用。

「クリエイト」

「おー、この表紙のデザインもいいんじゃない。ゴージャスだし、この作家のイメージにピッタリ」

「ああ、私しか分からないか」

「映画やドラマは見たことがあったけれど、本は読んでいなかったな」

「これは、原作も読まないとダメだろう」

「今は、急いでいるから、原作とクリエイト品を」

「自動読み込み」

これで、本の内容は頭に入り、読んだことになる。

でもあとで、きちんと本を読もう。

自分のコレクションと管理用も兼ねて。

「コピー ナンバリング 0番」

No.1を手元に置こうと思ったが、お客様は1番から欲しいのではないかと思い、私の分はNo.0にした。

汚れ防止、破損防止、改ざん防止、偽造防止、盗作防止、盗難防止も付与した。


あとは、固形ポーションの申請書も作成しておこう。

以前作った中から、キューブ、ゼリー飴、ゼリービーンズ、琥珀糖、寒氷、べっこう飴、グミを選んだ。

この時は、地球の粉寒天と粉ゼラチンを使ったけれど、この世界には無いし、初めから作るのは大変なので、代替えになる物にした。

調べたら薬草で、トロトロゴケが使えた。

これは、温めても冷やしても使えるので便利だ。

レシピを作成したら完成。


これで、いつ呼び出されても大丈夫だ。



いつものように、薬草採取をして冒険者ギルドのレジーナさんに渡したあと、商業ギルドからの手紙を受け取った。


「ただいまぁ~。ジョン」

人形ジョン『お帰りなさい。アン』

「ギルドに行ったら、商業ギルドから手紙がきていたの」

人形ジョン『そうでしたか。それで何て書いてありました』

「これから読むね」

簡単な短い文となっていた。誰かに読まれても、内容が分からないようにする為だろう。

「話しを進めているので、一度顔を出して欲しいって」

人形ジョン『そうですか。それでは明日行きましょうか』

「そうだね。そうしよう。時間はこの前と同じでいいかな」

人形ジョン『そうしましょう』


明日、商業ギルドに行くことになったので、固形ポーションの見本品を用意する。

赤色のビン:解毒、黄色のビン:治癒、青色のビン:魔力回復。

使用目的により、ビンの色が違う。

飲み間違えない為のようだ。


翌日、10時30分になったので、キルィ町の商業ギルド近くの路地で外に出る。

ギルドに入り、受付にいたサブマスに声を掛ける。

「こんにちは、グリーンさん」

「こんにちは、スペンサー様、タンディ様」

「先ぶれもなく伺いましたが、大丈夫ですか」

「はい、問題ございません」

「個室にご案内いたします」

前回と同じ部屋に案内される。


「治癒薬ですが、薬師ギルドに協力いただいて、順調に進んでおります」

「それでは、治験が上手くいっているのでしょうか」

「はい、そうでございます。薬を飲み始めてすぐに効果が出てきました」

「症状の軽い患者ですと、三日で完治いたしました」

「重症の患者でも日に日に回復しております」

「そうですか。それは良かったです。これで安心いたしました」

「では、薬の認可は下りるのでしょうか」

「そうでございますね。重症の患者が完治または軽傷にまで回復すれば、問題なく認可されるでしょう」

「認可が下りましたら、証明書のような書面は発行して頂けるのでしょうか」

「たとえば、この治癒薬を誰かに紹介するときに、薬の治癒内容が書かれた書面があれば説明もしやすくなりますし、薬の存在の証明もできますから」

「私が口頭で説明しても、誰にも信用されないと思うのです」

「そうでございますね。アース商会様の登録証明ではなく、あくまでの薬の証明書なのですね」

「はい、そうでございます。アース商会または私の名前は表にはあまり出したくありませんので、薬の紹介だけです」

「そうですね。新薬が登録された紹介だけでしたら、書面は作成可能です」

「もし、認可が下りましたら、証明の書面を冒険者ギルド経由で、私に送っていただくことはできますか」

「はい、問題ございません」

「では、よろしくお願いいたします」


「只今、ギルマスを呼びますのでお待ちいただけますか。また、薬師ギルドのギルマスも同席しても宜しいでしょうか」

「今回の治験及び登録には、薬師ギルドのギルマスに協力頂きましたので、是非ご紹介させて頂きたいのです」

ジョンの顔を見ると頷くので、了承した。


すぐに、商業ギルドのギルマスがきて、10分ほどで薬師ギルドのギルマスがやってきた。

「こちらが、薬師ギルドのギルドマスターのエリック・ロペスです」

「初めまして、薬師ギルドのギルドマスターをしておりますエリック・ロペスです」

「初めまして、アース商会のアン・スペンサーと、ジョン・タンディです」

「この度は、治癒薬の登録及び治験にご協力頂きまして、ありがとうございました」

「ダーニュ町に該当すると思われる患者がおりましたので、急なお願いとなりましたことお詫びいたします」

「いえ、いえ、こちらこそ長年完治不可能とされていた病気の治癒薬が完成したので、とても喜んでおります」

「ありがとうございます」

「そこで、一つお伺いしても宜しいでしょうか」

「はい、構いません」

「この病気をご存じだったのですか」

「はい、母から聞いておりましたので」

「ほう、母上から随分と詳しく聞かれていたのですね」

「はい、そうでございます。もし、結婚することがあれば、お互いに健康診断をするようにと」

「結婚してから病名が明かされても困ることもございましょう」

「それに、子などのこともありますから、健康である証明は必要なのです」

「とかく、女性だけが悪者になりますから」

「身体に問題があるとしたら、女性も男性も半々の確立のはずですしね」

「そんなこともあり、特に男性の健康には注意するように言われておりました」

「男性の方は、勉強のためにいかれる方もいらっしゃると聞きました」

「病気の症状が身体に出ることもありますから、その特徴は詳しく聞いておりました」

「治癒薬は聞いておりませんでしたが、抗菌作用の薬草が治癒に効くとだけは教わりました」

「それで、抗菌作用の強い薬草で薬の調合を何度かしていったのです」

「そうでしたか。よく分かりました」

「口の堅い薬師と患者に治験者となってもらい、軽傷なものは三日で完治しました」

「重症な患者も改善されていますから、認可は間違いなくおります」

「そうですか、それを聞いて安心いたします」

「先ほど、グリーンさんにもお話いたしましたが、認可が下りましたら、薬の証明書のような書面は発行して頂けますか」

「私が他の方に薬の紹介をするときに、証明書があれば助かりますので」

「分かりました。そのような書面でしたら、薬を広める時に発行することもございますので問題ございません」

「それと、もし次にも薬に関係する商品がございましたら、是非薬師ギルドにお願いいたします」

「・・・・・」

ジョンの顔を見て、グリーンさんの顔を見る。

さて、どうしたものか。

まさしく、今日持ってきている案件がある。

黙っていると。

人形ジョン『薬師ギルドでは、申請書の管理体制はどのようになっていますか』

『アース商会のアン・スペンサーの名前は、非公開とさせて頂いております』

『ある程度の管理責任者であれば閲覧できるでしょうが。それ以外の方には見られないようにさせて頂いております』

『こちらの商業ギルドの方がお話しされたかは存じませんが、ダーニュ町の商業ギルドでは、閲覧できる立場にないものが部屋に侵入していました』

『それも三名もです』

『たしか、ギルマスとサブマスが管理する部屋だったと思います』

『今回の薬も完治不可能だった治癒薬です。どんな手を使っても、利権や発案者を狙う強欲で野心のあるものも出てくる可能性があります』

『今回は、特別に商業ギルド様で登録させていただけるようですが、間口を広げるのはどうしても心配になるのです』

『まあ、そうは申しましても、薬に関係するものは薬師ギルドの管轄であることも重々承知はしております』

「ハハ、参りましたな。そうですね、いくら完璧に管理しているつもりでも、隙を狙ってくる輩はおりますから」

「まあ、その話しは聞いておりましたので、すぐに管理体制の見直しはしました」

「二重、三重に管理の手順を増やしましたので、そこは信じて頂きたいです」

「そうですか。分かりました。商業ギルド様としても薬関係は薬師ギルド様に任せたいとお思いですか」

「そうですね。そのために管轄を分けていますので」

「何か困ることがございますか」

「もし、私がお願いするとなると、どなたが担当になられますか」

「いえ、急に言われてもお答え頂けないですよね」

「そうですね。すぐに誰とは即答できませんが、ベテランを担当させることは出来ます」

「出来ましたら、ケン・トンプソン様にお願いしたいです」

「ケンですか」

「ええ、実直な方だとお噂を聞きましたので。ただ無理にとは申しません」

「そちらにも、ご都合がございますでしょう」

「即答はできませんが、検討はさせて戴きます」

「はい、宜しくお願い致します」


ジョンの顔を見るとうなずいたので。

「では早速ですが、宜しいでしょうか」

鞄から固形ポーションを取り出す。

「こちらは、ポーションを固形にしたものになります」

「赤色のビン:解毒、黄色のビン:治癒、青色のビン:魔力回復となります」

「こちらは、薬関係となりますので、登録は薬師ギルド様ですか、それとも商業ギルド様になりますか」

「「「・・・」」」

「あっ、これは登録できませんか」

「出来ます!!!」

「あなたは、なんていう物を作ったんですか」

ビクッ。大きな声で怒鳴られた。

思わず、ジョンにしがみついちゃったよ。

なんだよ、もう。

「失礼した。いや、怒鳴ってしまい申し訳ない」

「もちろん、これがポーションならば登録できる」

「えーっと、一度ポーションにしてから、固形にしたので問題ないはずです」

「もしお疑いならば、鑑定してください」

「いや、疑ってはいない。だが、鑑定はさせていただく」

薬師ギルドのギルマスが鑑定している。

「おー、間違いなくポーションだ」

「味見をしてみますか」

「おー是非に」

「キューブ、ゼリー飴、ゼリービーンズ、琥珀糖、寒氷、べっこう飴、グミとなります」

「キューブは、少しモサモサするかもしれません」

「これは、液体のほうが合いそうなので、スープのほうがいいかもしれません」

「どれも似た感じですが、好みもありますから、いくつかの種類を作ってみました」

「すごいぞ。青の魔力回復も効いているぞ」

「私の黄色の治癒も細かい傷が治り、疲れもとれた感じがする」

「私は赤色の解毒ですが、お腹が温かくなってきました」

「どれも、効果を実感していただいたようで、何よりです」

「これは、凄いなんてもんじゃないぞ」

「そうですね。これならば持ち運びも楽になるし、何より割れることがないのがいい」

「これもすぐに登録しよう」

「薬師ギルドの会員登録に、商品登録の用紙も持ってきているぞ」

「なんだ、お前。随分用意が良いじゃねえか」

「当り前だ。せっかく会えるんだから用意ぐらいするだろう」

「おふた方、お客様の前ですよ」

「あ、悪いね」

「これは、うちが登録でいいよな」

「あーお前の方でいいよ」

「では、こちらの固形ポーションの登録は、薬師ギルドでお受けいたします」

「はい、よろしくお願いいたします」

「会員登録と商品の登録と口座開設の記入をお願いします」

私とジョンでサインしていく。

「あとは、何かありますか」

「いえ、あとは商業ギルド様になりますので」

「それでは、私はこれから手続きをしてきます」

「あ、こちらが控えになります」

「料金ですが、会員が銀貨3枚、商品登録が一件につき大銅貨5枚になります」

「合わせて、金貨1枚、銀貨3枚、大銅貨5枚となります」

日本円にして、135,000円を支払う。

随分高いな。

何種類も登録するから仕方ないか。

領収書をもらい。

「では、これで失礼いたします。治癒薬はすぐに認可されますので、しばらくお待ちください」

「はい、宜しくお願いいたします」


はぁ、なんだかすでに疲れたが、まだあるのだ。

「では、最後はこちらの書籍になります」

「申請用紙をご確認願います」

「ちなみに私の私物となりますが、この商品となります」

「ご覧になりますか」

「「是非」」

ギルマスもサブマスも手袋をはめてから、手に取り眺めはじめた。

「こちらは、前回とは違うシリーズとなりますので、表紙のデザインも変更しました」

「これが、噂の・・・」

「ああ、この雰囲気の仕上がりだった」

「エルフマンさんは、ご覧になったことがおありなのですか」

「ええ、知人に見せて頂きました」

「とても、素晴らしかったです」

「前回は、ダーニュ町で登録しましたが、今回はこちらでお願いするのに問題はございますか」

「何もございません。お客様は商業ギルドの会員様ですので、どこの地域でも問題なく登録できます」

「それは、よかったです」


「失礼な事をお聞きしますが、もうダーニュ町のギルドとは取引しないのですか」

「そうですね。正直迷っています」

「たしかにあのギルドの信用は地に落ちましたが、いつもこちらにお邪魔するもの大変ですので」

「小物であれば、お願いしようかとも思っていますが、まだ決めかねています」

「小物程度であれば、受付担当だけで手続き出来ますでしょう」

「そういえば、こちらではいつもグリーンさんにお願いしておりますが、担当者が別の方のほうが宜しいでしょうか」

「いつもお忙しい役職のグリーンさんにお願いするもの、申し訳ありませんから」

「いいえ、とんでもございません。私が担当させて頂きますので、今後ともご贔屓にお願いいたします」

「そうですか、そういって頂けると助かります」

「では、手続きをしてまいりますので、少々おまちください」

「私は、これで失礼いたします」

「はい、ありがとうございました」


なんとか、上手くいってよかったね。

人形ジョン『そうですね。ちょっと時間かかりましたけれど』

「まあね」


「お待たせ致しました。こちらが控えとなります」

「はい、確かに。本日はお時間を頂きまして、ありがとうございました」

「またのご利用お待ちしております」



【薬師ギルド side】


「戻ったぞ」

「あ、お帰りなさい」

「急いで出かけたようですが、何かありましたか」

「ああ、まあな」

「ケン・トンプソンを呼んでくれ」

「分かりました」


「ケンです。お呼びですか」

「まあ、座ってくれ」

「実はな、お前が担当になってほしい顧客がいるんだ」

「相手は、お前を指名してきた」

「私をですか」

「そうだ。なんでも実直だと聞いたからだと」

「よかったな」

「はぁ、ありがとうございます」


「ただ、喜ぶのはまだ早い」

「相手は、最近登録したばかりの商会で『アース商会』だ」

「聞いたことないですね」

「まあ、そうだろうな」

「箝口令を敷かれているような商会だがな」

「え、やばいんですか」

「まあ、ある意味な」

「驚くなよ。その商会は娼婦病を治癒する薬を作ったんだからな」

「はぁぁ、まさか」

「そのまさかだ。今内密に治験が進んでいて、もうすぐ認可される」

「欲深い奴に見つからないように、内密にしていたんだから」

「それにだ。今日は、ポーションを固形にする申請書も出してきた」

「見本品を食べたよ。すぐに効果が現れてすごいぞ」

「この登録をお前がやれ」

「誰にも見つからないようにしろ。手続きできたら、俺のところに持ってこい」

「この申請書は、厳重に管理するからな」

「この内容は、誰にも話すんじゃないぞ」

「手続きする時は、誰もいないときにやれよ」

「はい、分かりました」


「これは、王都の本部に報告する必要があるな」



【商業ギルドキルィ町 side】


「今日も驚いたな」

「本当ですよ」

「彼女はいくつ手の内を持っているのやら」

「治癒薬が解決できそうだと思ったら、これですからね」

「ポーションを固形にするなど誰も思いつかないよな。普通は」

「本当に」

「効果も即効性があるしな」

「もはや、革命ですよ」

「ハハ、違いない」


「それから、あの新作の書籍だよ」

「見ただろう。あのデザインといい重厚な作りといい、凄いとしか言いようがないよな」

「はい、感動すらしましたよ。この目で見られるとは運がいいです」

「これも、あっという間に、有名になるぞ」

「私も欲しいです」

「馬鹿言えよ。俺たちのような安月給じゃとても買えないぞ」

「そうですよね。手に取れただけでもよかったです」

「また、来るんだろうな」

「そうですね。また来ますね」



「ハァあ~、疲れたぁ~」

「なんか、長い一日だったねぇ。ジョン」

人形ジョン『そうですね。でも、皆上手くいって良かったです』

「ほんと。ポーション出した時なんか、シーンとしているからビックリしちゃったよ」

人形ジョン『皆さんも、それだけ驚いたのでしょう』

「あとは、認可の証明が届くのを待つばかりだね」

人形ジョン『そうですね。待ち遠しいです』

「今日は、もうゆっくりして休もうね」


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