第57話 冒険者活動⑥
今朝もいつもの時間に目が覚めた。
もう、会社員ではないのだから、何時に起きてもいいのだが、身体が自然と起きてしまう。
体内リズムを狂わさない為には、良いことなのだろう。
2日出かけたので、休みたい気分。
でもなあ。冒険者のランクは早く上げたいし。
仕方がない、また薬草採取に出かけるか。
今朝のメニュー。
明太子おにぎり、けんちん汁、たくわん、ゆで卵、サラダ、バナナ、ザクロジュース、ヨーグルト、コーヒー。
なんか、バラバラなメニューになってしまったが、食べたいものを選んだらこうなってしまった。
そういえば、実家にザクロの木があって、子供の頃はよく食べていたなぁ。
今は、健康や美容に良いと人気があるらしい。
「おはよう、ジョン」
人形ジョン『おはよう、アン』
「今日は、薬草採取に行ってくるね」
人形ジョン『分かりました。ギルマスの犬に気を付けてください』
「そうだね。鑑定しながら行くようにするよ」
「ジョンは何をする予定」
人形ジョン『訓練と料理の勉強をします』
「今度は料理にしたの」
人形ジョン『はい、アンに手料理を食べてほしいですし、栄養バランスも大切ですから』
「そうなんだ。ありがとう。でも立場が逆のような気がするけれど、基本ジョンは食べないからいいのか」
人形ジョン『それから、今日は、美容整体とエステを試したいのですがいいですか』
「えっ、試すって」
人形ジョン『はい、マスターの資格を取得できましたので、アンに体験してほしいです』
「へぇー」
人形ジョン『ダメでしょうか』
「いやぁ、美容整体はいいけれど、エステって」
人形ジョン『エステは、身体のゆがみやリンパの流れを促す効果があり、むくみの改善もされます』
『女性は、ホルモンバランスによって、体調が変化しやすいので、エステはとても良い施術になるのです』
「そうだね。わかった。ジョンも頑張ってくれたんだよね。ありがとう」
人形ジョン『いえ、アンのためですから』
ジョンは有能?でいいんだよね。
「それじゃあ、東門の採取場所にいってくるね」
人形ジョン『はい、いってらっしゃいませ』
前回の採取場所に出る。
最初の頃よりも遠くに来るようになったな。
周辺を警戒しながら、鑑定、結界を張り探していく。
「サーチ 良品 薬草 自動採取」
秋の薬草は、風邪の予防や免疫力に効果のある種類が多いようだ。
草も季節に合わせて生えるんだね。
ススキなんかも、眺めて楽しむものだと思っていたのに、薬効があるとは知らなかった。
葛根、ススキ、ナデシコ、ヨモギ、クズ、オミナエシ、柿の葉などを採取していく。
「サーチ 良品 木の実 自動採取」
ギンナン、カラスウリ、ナツメを採取。
良い香りがすると思ったら、キンモクセイの花が綺麗に咲いていた。
この香りは好きだったなぁ。
この木も実家にあり、父が100年以上の木だと自慢していたっけ。
この花が薬効やお茶になるのも知らなかった。
花が地面に落ちて、掃除するのが大変だと愚痴を聞いた覚えがあった。
「キンモクセイの花 自動採取」
この花の採取ばかりは、自動でできることに感謝だね。
草原はこのくらいにして、森に入ろう。
山椒の実、ヤマボウシ、キクイモ、クルミを採取。
もちろん、松茸もありましたよ。
今日も沢山採取できたので、休憩したら帰ろう。
秋なので、『月見バーガー』にした。
季節もの? なので、楽しみの一つでもある。
おやつは、スイートポテト。
これもお店により味が違うし、クリーミーなスイートポテトも好きなのだ。
結界を張り、認識阻害も掛けてあるが、人を感知した。
冒険者かと思ったが、動きが無くこちらの様子を伺っているように感じる。
ギルマスの犬かと思い鑑定してみるが、どうやら違うようだ。
赤マークで点滅している。
私に対して悪意があるようだ。
鑑定で悪人の赤マークだけでは分かりにくいので、私関係は点滅するようにした。
どうやら、新人が沢山採取するのが気に入らないようだ。
さて、どうするべきか。
とりあえず、気が付かない振りをして、このまま帰ろう。
いつもより早足で門まで帰る。
先ほどの奴は、追いついて来られなかったようだ。
門が近づくにつれて、赤い点滅が増えている。
どうやら仲間のようだ。
無視してギルドに行こう。
「こんにちは、レジーナさん」
「こんにちは、アンさん。今日も一杯採取したのかい」
「はい、秋はいいですね」
いつものように、カウンターに採取したものを出す。
「また仕分けするから、預かり札を渡すね」
「はい、今日は急ぐので料金は今度でもいいですか」
「おやそうなのかい。じゃあ木札はその時に出しておくれ、用意しておくから」
「はい、お願いします」
「あー、それからまた、商業ギルドのギルマスから来るようにことづかったよ」
「わかりました。ではまた」
こちらの様子を伺っている人を登録しておく。
ギルドの外にでると尾行が付いてきた。
このまま路地に入るのは、まずいか。
パン屋さんに入り、私の幻影を作り私自身は認識阻害を強化して見えにくくした。
これで、大概の人は私本体には気が付かない。
私の幻影は、高めのホテルに入るようにした。
尾行者はそれに付いて行く。
私は、シェルターとは別に亜空間に入り様子をみる。
「チェッ、あの女こんな高いホテルに入りやがった」
「これじゃあ、俺らじゃ入れねぇじゃないか」
「いい暮らし、しやがって」
「明日にでも決行するか」
ホテルの監視は諦めたようで、仲間の元にいくのかも。
あ、ジョンに連絡しないと心配する。
念話『ジョン、聞こえる?』
人形ジョン『はい、聞こえます。どうされました』
『なんかねぇ。尾行されたの。ギルマス関係とは別みたい』
『これから後をつけるね』
人形ジョン『ダメです。危ないですから』
『相手には、マークしましたか』
『してあるよ』
人形ジョン『今探しますから、そのまま待っていてください』
『わかった』
人形ジョン『尾行相手の確認できました、こちらからでも様子を見られますので、お戻りください』
『わかった。今戻る』
「帰還」
「ただいま、ジョン」
人形ジョン『お帰りなさい。アン』
『危険なことはしないでください』
「え~大丈夫だったよ」
人形ジョン『相手の目的も人数もわからないのですから、そのような時はすぐにお戻りください』
「まあ、そうか。そうだね、ごめんね」
人形ジョン『ご理解されて何よりです』
『【ビューview】機能で確認していますし、録画もしています』
「そうなんだね。一緒に見ようか」
あの尾行者は仲間のところに戻ったようだ。
「あの女高そうなホテルに泊まってやがるぜ」
「そうなのか。新人のくせに生意気な」
「俺たちで思い知らせてやろうぜ」
「それで、どうするんだ」
「あの女がギルドに持ち込んだら、俺たちから奪ったと訴えればいい」
「こっちの方がランクが上だし仲間もいるから、一人対俺たちで俺たちの言い分が通るはずだ」
「そうすっね。じゃあ、明日ギルドの近くで待ち構えますか」
「そうだな。だいたいの戻る時間はわかっているから、その時間で待つとしよう」
「あの女がギルドに入って、受付に行ったら、出て行こうぜ」
「あ~、明日が楽しみだぜ」
「それに、決闘を申し込んで実力を分からせてやろう」
「ハァ~、本当にどこにでも馬鹿はいるもんだね」
「なんで、人を陥れようとするのか」
人形ジョン『自分たちの実力が分からない奴らのすることですね』
『どうしますか。今すぐにでも消しますか』
「えっ、それはダメでしょう」
「明日行って受けてたつよ」
人形ジョン『危ないことはして欲しくないです』
『私も一緒に行きます』
「いや、私一人の方がいいよ」
「ああいう連中は、男の人がいると余計に怒り出すから」
「どうせ、男に守られているとか言ってさ」
人形ジョン『私は、アンの護衛でもありますから、当然です』
「でも、この場合は逆効果だから、私一人の方がいいと思うよ」
人形ジョン『私は役に立ちませんね』
「そんなことはないよ。ジョンには、この人たちを見張っていてほしいから」
「考えがあるんだ」
「いつもは東門で採取するでしょ。あの連中もそうだと思っているはず」
「そこで、明日は西門に採取に行くの。西門の方でしか採取できない薬草があるからそれを取ってくるの」
「あの連中は、東門から採取した薬草を奪われたというはずだから、西門の薬草があればおかしいとなるでしょ」
「あいつらの虚偽だとバレるはずだからさ」
人形ジョン『決闘すると言われたらどうするのですか。まさか、受けたりしませんよね』
「いや、受けるよ。だって私負けないでしょ」
人形ジョン『アンは強くなりましたから、あんな連中には負けません』
『ですが、あんな汚らしい奴らを相手にしてほしくはありません』
「う~ん、困ったなぁ。でもさぁ、これからも冒険者を続けていくならば、ああいう連中はまた出てくるよ」
「浄化すれば、改心するかもしれないけれど、なんか違う気がするんだよねえ」
「あいつら、初めてじゃないでしょう。キッチリとお仕置きしないと」
「だからね。ジョン、これから少し手合わせしてくれる」
「いつも訓練しているから大丈夫だとは思うけれど気分的にね」
人形ジョン『分かりました。それならば訓練しましょう』
『そのあとは、エステですからね』
「あ~もう、わかったよ」
それから、2時間ほど訓練をして、たっぷり、じっくりエステをされました。
その方がよっぽど、心臓に悪いよ。
確かに気持ちはよかったけれどさあ。




