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第55話 商業ギルド③

今日は、別の商業ギルドに行く。

スヴァロード領のキルィ町にある。


商業ギルドのサブマスは、パトリック・B・グリーン。

昨日、ジョンがサブマスを調べてくれた。

人族、男性、35歳、既婚。

火魔法、観察スキル、判断力スキル、交渉スキル、管理スキル、鑑定スキル。

犯罪歴なし。

商売好き、几帳面、誠実、好奇心旺盛。


ここの商業ギルド、ギルマスのトニー・アヤラ・ペリーにスキルと性格が若干似ているが、大丈夫かなぁ。

ジョンが問題ないと言っていたから、良しとするか。

あの時も調べて問題なかったはずだけれど、鑑定だけでは性格を正確には判定できないのかも。

それとも、頻度を高めればより詳しく、分かるようになるのか。

そうなると、頻繁に鑑定するようだよねえ。

バレなければいいか。じゃあバンバン使っていこう。


「おはよう、ジョン」

人形ジョン『おはよう、アン』

「今日は、別の町のギルドに行くでしょ。門から入るの?」

人形ジョン『そうですね。初めての町ですから、きちんと門から入ったと印象付けたほうがいいでしょう』

「また門の近くに出ればいいの」

人形ジョン『今回は馬車で行きましょう。身なりの良い姿で歩いているのは不自然ですから』

「馬車は借りるの? もう予約はしてあるの?」

人形ジョン『良い馬車が空いていたので予約してあります』

『ただ途中で馬車は入れ替えます。機能と環境を良くした馬車を作ってあります』

『ステアリング機能やサスペンションを取り付け、座席もスプリングを着け上質な生地で仕上げ』

『椅子は、リクライニングシートになっています』

『外観や内装は幻影魔法を掛けますので、問題はないです』

『到着がお昼過ぎるとおもいますので、一泊しましょう』

「そうなんだ。わかった」


6時開門なので、5時30分には馬車屋さんに着くようにした。

ジョンは、先日購入したばかりの従者服を着て、私はモスグリーンのワンピースにジャケットで薄地のフード付きコートを羽織っている。

この町の人に顔を見られない為。

一番警戒するのは、門衛。

髪型、服装が違うのでバレないとは思うが、用心はすべきだからね。

ジョンとも相談して、私の身分証は商業ギルドの銅メダルのタグにした。

冒険者カードだと、すぐにバレてしまうから。

どちらの身分証を使用しても、問題ないのだ。


馬車屋さんでは、ジョンが手続きをしてくれる。

お嬢様風が手続きするのは、変だからね。

ジョンは御者席に座り、私は馬車に乗り込んで、門の列に並ぶ。

私たちの番になり、まずジョンが身分証を見せる、次に馬車内を確認され、身分証を見せる。

顔が半分見える程度にフードをかぶっていたが、注意されることはなかった。


門を出て少しすると、ジョンが幻影魔法を掛けて、馬車を入れ替えてくれた。

すごく、乗り心地がいい。

この世界の良い馬車でも、最新の機能が付いた馬車では比べようがないね。

もちろん、汚れ防止、破損防止、魔法攻撃無効、物理攻撃無効と重力軽減が付与されている。

一応、馬にも馬車にも結界は張ってある。

これで、途中で襲われることも、馬が疲れ難くなった。

目的の町までは、約5時間。馬の休憩を入れると、6時間はかかる。


念話『ねえ、ジョン疲れない?』

人形ジョン『問題ないです。アンは疲れたらお休みください』

『わかった。ジョンも疲れたら休憩してね』

人形ジョン『はい、ありがとうございます』


今のうちに、今日行く商業ギルドを私も調べておこう。

タブレットの【ビューview】機能でギルド内の様子を見る。

早朝の時間だからか、館内は人が多い。

受付の人も4名いる。

男性2名と女性2名。

とりあえず、簡単な鑑定で、色は青マークになっている。

お客のほうは、青・黄・赤と、様々だ。

私と関わらない限りは、赤マークでも無視しておく。


サブマスやギルマスは部屋にいるのかな。

まずは、サブマスから。

ジョンの調べた通り、青マークだね。

性格はまだ判断できないが良しとしよう。

次は、ギルマス。

この人も青マーク。

貫禄のある人で、あのギルマスとは違うと感じる。

名前は、ビル・エドワード・エルフマン。

人族、男性、45歳、既婚。

火魔法、風魔法、直感スキル、会話術スキル、判断力スキル、管理スキル、鑑定スキル。

犯罪歴なし。

商売好き、現場主義、几帳面、誠実、好奇心旺盛、可愛い物好き。

なんだか、色々出てきたスキル。

この人は管理スキルがあるから、書類整理もできる人だね。

あのギルマスとは格が違うのだろう。


2時間ほどして、休憩場所に着いた。

街道にはある程度の距離に、馬車や馬が休憩できる場所がある。

最初に到着したので、隅に止める。

幻影と認識阻害も全体にかけておく。

ジョンが馬に水や餌を与えている。

馬に軽くブラシをかけると、気分よさげにしている。

私も、馬車の中から馬に回復魔法を掛けてあげる。

これで、出発しても疲れないだろう。

私も外に出たかったが、ジョンに止められた。

小娘が一人で出てくると、注目の的になるからダメらしい。

こんな場所で因縁つけられても嫌だしね。


念話『ジョン、疲れていない』

人形ジョン『はい、問題ないです』

『馬車の中で休む』

人形ジョン『いえ、馬から離れるわけにはいきませんから』

『そうだね。何か飲んだり食べたりする?』

人形ジョン『いえ、大丈夫です』

早めに20分休憩したら、出発した。


録画用と鑑定魔道具の設計図を見直している。

間違えが無いと思うが、再確認。

この書類にも商標登録の印を押してあるし、汚れ防止、破損防止、偽造防止、改ざん防止、盗作防止、盗難防止が付与してある。

念の為に、前回より『盗作防止』を追加した。

偽造防止があるので大丈夫だとは思うが、安全対策は多めにしたい。

見本品を見せない予定ではあるが、それは人柄や状況により変わるかもしれないので、作ってはきた。

売り出した、商品も持ってきている。


馬車の中で次の作品の構想をして、お茶休憩をしているうちに、町まで到着したようだ。

門も問題なく通れて、馬車を馬車預かり所に頼んだ。

もちろん、馬車は門の少し手前で本来の馬車とチェンジしましたよ。


「ジョン、すぐに商業ギルドに行く?」

人形ジョン『今、11時30分ですね。馬が早く走ってくれましたから、予定より早く着きました』

『様子を見るだけでも行ってみましょうか』

「そうだね」

広範囲で鑑定をしながら、歩いていく。

もちろん、二人とも弱めの認識阻害、バリア、結界と攻撃無効を付与している。

隠ぺいも忘れない。


商業ギルドに着き鑑定では、人はまばらで、受付にはサブマスがいた。

「ジョン、受付にサブマスがいるよ。チャンスかも」

人形ジョン『では、行きましょう』

館内に入り、受付には男性1名と女性1名にサブマス。

サブマスの前まで行き。

「こんにちは、商品の登録をお願いしたいのですが」

「こんにちは、商業ギルドの会員様でいらっしゃいますか」

「はい、登録しております」

「登録のタグをお持ちでしたら、お見せください」

「はい、こちらになります」

「確認いたしますので、少々お待ちください」

タグを渡すと、機械に通して確認しているようだ。

「はい、間違いございません。アース商会様でいらっしゃいますね」

「はい、そうです。出来ましたら、個室をお借りしたいのですが、できますでしょうか」

「個室の空きがあるか確認いたしますので、少々お待ちください」

サブマスは廊下を進んで行き、何か所か確認しているようだ。

「空きがございましたので、ご案内いたします」


案内された部屋に入ると、4人掛けのテーブルとイスに、作業台まである。

「こちらの席にお座りください」

奥の席を案内される。

席に着くと、見慣れた水晶に手をかざし、結界と盗聴防止が軌道された。

「私は、当商業ギルドのサブマスターをしております、パトリック・グリーンと申します」

「ご丁寧にありがとうございます。私はアン・スペンサーと申します。こちらはジョン・タンディです」

人形ジョン『ジョン・タンディと申します』


「アース商会様、本日はどのようなご依頼でしょうか」

「はい、魔道具を登録しようと思いまして、こちらに伺いました」

「書類とか見本はお持ち頂いておりますか」

「はい、提出用の設計図はこちらになります」

「録画ができるアクセサリーと、鑑定できる水晶となります」

「鑑定はおおよそ分かりますが、録画とはどのような物でしょうか」

「はい、今こうして、グリーン様と会話している声、内容が記録され、その様子も画像で録画されます」

「動いている様子、会話が記録される物です」

サブマスは、こちらの顔をじっと見ている。固まっているのか。

「え~、ゴホン。それは空想上の物ではありませんか」

「いえ、疑っているわけではありません。今までに無い魔道具となりますので・・・」

「そうですね。初めてお会いしますし、信用はできないことも理解はできます」

「では、見本をお見せ致しましょうか」

「そうでございますね。是非お願い致します」

私は、耳にしているピアスを外し、テーブルの上におく。

「こちらも録画用の魔道具となっております」

「えっ、こんなに小さな石がですか」

「そうです。記録されているか見られますので」

ピアスに触りながら、「再生」と唱える。

石からは、この部屋に入ってからの様子が映し出された。

「許可なく撮影をしましたこと、お詫び申し上げます」

「実際に録画がされた映像を見なければ、納得頂けないかと思いまして、申し訳ございません」

「・・・・・」

サブマスは、石を見たまま黙っている。

これは、怒り出すのだろうか。身構えていると。

ガタンと椅子から立ち上がり。

「ハハハハハ、これは素晴らしい。いや素晴らしいなんて物ではございませんよ」

「これは、世紀の大発見ですぞ」

彼は大笑いをしている。大丈夫だったか、この人。

しばらくすると、正気を取り戻したのか。椅子に座りなおす。

「いや、大変お見苦しいところをお見せいたしました」

「しかし、本当にこれはすごい魔道具です」

「これは、どなたが発明されたのですか」

「私です」

「え~っと、スペンサー様がですか。タンディ様ではなく」

人形ジョン『もちろんです。私は只の従者でございますから』

「・・・そうでございますか」

「しかし、これは困りました。あまりにもすごい魔道具ですので」

「では、登録はしないほうが宜しいのでしょうか」

「いえ、それは勿体ない話でございます」

「これをどう管理したらよい物か、迷っております」

「とりあえず、設計図だけ登録して商品の売り出しは考えていませんが」

「はっ、そうなのですか」

「はい、本来はまだ登録するつもりはなかったのです」

「今の時代には早すぎる代物ではないかと思いまして」

「ただ、急に必要になった時に使用すれば問題が起こるかもしれないと不安になったものですから、急ぎ登録しようという話になったのです」

「なにか事情がおありなのですか」

「いえ、無理にご説明して頂きたいわけではございません」

「そういえば、スペンサー様は、ジユジョア領にあるギルドで登録されているようですね。なぜこちらにいらっしゃったのですか」

「偶然ですか」

「・・・・・」

ジョンの顔を見ると、頷いているので話してしまおうかと思った。

「あの~、他所のことですので、話して良いのかわかりません」

「・・・それは、商業ギルドでのことでしょうか」

「そうです」

「そうですか、あまり個人的なことは良くないかもしれませんが、組織のことでしたら、お気遣いなくお話ください」

「あそこのギルドには、不義理をされまして」

「とても許せることはできませんでしたが、新商品のこともありましたので、差支えの無い商品は登録を続けているのです」

「たぶんですが、受付の人だけで手続きをして、トップの方は知らないと思います」

「もちろん、違法ではなく正規の手続きで問題はないはずです。ただ私の登録商品だとは報告しないだけだと思います」

「その不義理を行ったのは、ギルマスですか」

「いえ、ギルド全体です」

「まあ、全員ではありません。職員、サブマス、ギルマスです」

「えっ、サブマスもですか」

「あの人物は、そんな事はしない方だと思っていましたが」

「そうですね。私たちもそう思っていました」

「あの、できましたら何があったのか、詳しくお聞きしたいのですが」

「組織全体となると、かなりの問題となりますから」

ジョンの顔を見てから、最初からことの説明をした。

こちらのサブマスは、かなり驚いていた。

「そんなことが起きるなんて・・・」

「こう申しては、ご気分を害するかとは存じますが、こちらとしましても、いくら大きな組織だとしても、初対面の方を何の疑いもなく信用することは出来ませんので」

「まあ、それはある意味お互い様ではないでしょうか」

「こちらも商売ですので、騙されるわけにはいきませんから」

「もしかして、他にも疑っていた人物がいらしたのですか」

「疑ってというよりは、性格・雰囲気でしょうか。受付の男性はあまり良い印象はございませんでした」

「受付の男性ですか。もしかして、ディック・ベンソンですか」

思わず、サブマスの顔を見てします。

「ハハ、彼ですか。見た目は腹黒そうですから、ハハハ」

「失礼。でも大丈夫です。まあ腹黒いかも知れませんが、彼は真面目ですからお客様に害するようなことや損するようなこと、ましてやルール違反などはなさいませんよ。ご安心ください」

「そうですか。それを聞いて安心しました」

「しかし、今でもジユジョア領にいらっしゃるのですよね」

「はい、そうです。ですので、いつまでギルマスからのストーカー行為に逃げられるか心配もしております」

「その、ストーカーとは何でございましょう」

「あ、申し訳ございません。他国の言葉でして、意味はつきまといです」

「なるほど、そんな意味が。まさにギルマスですね」

「しかし、あのギルドから犯罪者が出たとは報告が無かったかと思いますが、調べてきてもよろしいでしょうか」

「はい、お願いいたします」

「では、少々お待ちいただけますか」

コクリと頷くと、出て行った。


「なんか、疲れたね。まだもう一つ魔道具があるのに」

人形ジョン『まあ、仕方ないですね。私もこの魔道具にはビックリしましたから』

『あなたの世界は、本当に進んでいるのですね』

「そうかもねぇ」

「それにしても、まだあの三人を捕まえていないのかな。それとも取り調べ中なのか」

人形ジョン『そうですね。余罪などの確認をしているのかもしれません』

『後追いで調べるとなると大変だと思います』


しばらくの間待っていると、ギルマスを連れて戻ってきた。

あの時と同じパターンじゃないか。大丈夫か。


「遅くなりまして、申し訳ございません」

「こちらは、当ギルドのギルドマスター ビル・エルフマンでございます。同席させて頂いてもよろしいでしょうか」

『「・・・・・」』

「私は、当ギルドのギルドマスターをしております、ビル・エルフマンと申します」

「不都合がございましたら、退出させていただきますが、いかがでしょうか」

ジョンと顔を合わせて、うなずく。

「いえ、問題ございません」

「ただ、前回と同じパターンだと思っただけですから」

「そうでございましたか、それは不安にさせてしまい、申し訳ございません」

「ですが、当ギルドは信用して頂きたく存じます」


「サブマスから話は伺いましたが、ジユジョア領のギルドで不正があったと聞き及びましたが事実なのでございますか」

「スコット・クラーク、スティーヴン・トリバー、ゼイビア・ケアーの三名と、ギルマスです」

「スコット・クラーク、スティーヴン・トリバー、ゼイビア・ケアーの三名は、私共の事前調査でも良くない噂を耳にしました、サブマスさんの話ですと、サブマスさんの管理する部屋に入出権利がないのに、深夜に入っていたと伺っております」


「ギルマスについては、目の前で断りもなく平然と鑑定されました」

「あの様子からして、日常的に相手の許可なく鑑定していたと思われます」

「そうでしたか、職員の三名については存じ上げませんが、まあ、あのギルマスは、理性よりも好奇心の方が強いかもしれません」

「いえ、だからといって、問題があることには変わりありません」

「ギルドでは許可なく相手を鑑定することは禁止されていますから」

「それから、現時点で三人についても報告は上がっていません」

「そうですか、まだ調査中かもしれませんが」

「いずれにせよ。この件は上に報告させていただきます」

「こちらに来ていながら、申し上げにくいのですが、あのギルドにはまだ商品の登録は続けているのです」

「あ~、そうでしたね。ただ聞いてしまった以上、報告しないわけにはいきませんので」

「あのギルマスの処分はわかりませんが、サブマスは厳重注意ぐらいの処罰だと思いますよ」

「わかりました」


「それで、この話も重要でしたが、すごい魔道具の設計をお持ち頂いたと聞きましたが」

「はい、こちらのピアスが記録用アクセサリーとなります」

「録画の様子をご覧になりますか」

「是非お願いいたします」

ピアスをテーブルにおき。

「再生」

先ほどと同じように、サブマスとの会話の様子が映し出された。

ギルマスも固まったまま、じっとしている。

「お~、これはすごいですぞ」

ピアスと映像をずっと眺めている。


「あの、もう一つの魔道具の方も見ていただけますか」

「あっ、もう一つございましたね。驚きのあまり忘れておりました」

「こちらが鑑定の魔道具ですか」

「どのように使えるのですか」

「こちらに手を置いてください。あ、鑑定されても問題ございませんか」

「はい、問題ございません」

サブマスの手を水晶においてもらい。

「鑑定」

唱えると、鑑定された紙が台座から出てきた。

「私は見ませんので、ご自分で内容を確認なさってください」

サブマスが紙を受け取り、じっくりと読んでいる。

「これはなんとも、ずいぶんと細かく鑑定されるのですね」

「そうですね。知りたい情報を考えていましたら、項目が増えてしまいました」

「サブマス、私にも見せてください」

「いやです。確認したいならば、ご自分も鑑定すればよろしいではありませんか」

ムッとした顔しているギルマスだが。

「私も鑑定してよろしいでしょうか」

手をおいてもらい。

「鑑定」

出てきた紙を、奪い取るようにして取り、真剣な顔をして読んでいる。

二人が落ち着いたところで。

「いかがでしょうか。こちらの鑑定魔道具は」

「こちらの魔道具も設計図の登録だけで、商品の販売はまだ致しません」

「そうでごさいますね。発売する時期は検討したほうが宜しいかもしれません」

「アース商会の実績がもう少しついてからのほうが、宜しいかと思います」

「スペンサー様たちの身の安全も含め、強欲で権力を使いたがる人は沢山おりますから」

「そうですね。前の商品の登録もそうでしたが、私の名前は非公開として、代理人としてジョンを指定しています」

「それで大丈夫でしょうか」

「いえ、それ以前に登録は可能でしょうか」

「うむ、登録を遅らせたい気持ちもございますが、何らかの手違いで他者が登録するようなことがあってはなりませんので、今登録いたしましょう」

「では、設計図だけお渡しいたします。こちらの見本品は手元に置きますので」

「そうですね。そのほうがよろしいでしょう」

「つかぬことをお聞きしますが、こちらの書類にも、何か対策はされているのでしょうか」

「汚れ防止、破損防止、偽造防止、改ざん防止、盗作防止、盗難防止を付与してございます」

「ですので、できましたら責任者の方だけ管理できる体制になっていると助かります」

「ずいぶんと、すごい付与ですね」

「まあ、前回のことがございますから、より用心いたしました」

「仕方ないことですね」

「では、こちらを手続きしてまいりますので、少々お待ちいただきます」

「私は、これで失礼させていただきます。貴重な体験をさせて戴きましてありがとうございます」

「よろしくお願いいたします」


「フ~、疲れたね。ジョン」

人形ジョン『そうですね。でも誠実な対応をしていただけて、よかったです』

「そうねぇ。帰ってからトラブルにならないといいなぁ」

人形ジョン『あの人たちは、自業自得ですよ』


「お待たせいたしました。手続きが完了いたしました。こちらがアース商会様の控えとなります」

「はい、ありがとうございました」

「いえ、こちらこそ、当ギルドにお越しいただきまして、本当にありがとうございます」

「あのギルドにつきましては、こちらにお任せください」

「はい、ご迷惑をお掛けいたしますが、よろしくお願いいたします」


無事手続きが終わり、ギルドをあとにした。

人形ジョン『それでは、今日泊まる宿を探しましょう』

「そうだね」

一応、広範囲の鑑定は続けており、尾行や赤マークは無かった。


超高級そうなホテルの前に着いた。

「えっ、ここに泊まるの」

人形ジョン『その予定ですが、空きがあるかまではわかりません』

ドアマンが立っているが、横を通り過ぎても何も言われなかった。

この服のおかげかも。

見た目は大事だね。


フロントに着き。

「いらっしゃいませ、本日はお泊りでしょうか」

人形ジョン『はい、二名ですが、スイートルームは空いてございますか』

「只今確認いたします」

「本日空室がございます、素泊り食事付きと選べますが、いかがされますでしょうか」

人形ジョン『では、食事付きでお願いいたします』

「前払いとなりますが、よろしいですか」

人形ジョン『はい、問題ございません』

ジョンが支払いまでしてくれた。

「夕食は、レストランにて午後5時~8時までとなります。朝食は午前6時~9時までとなっております」

「こちらが、食事のチケットとなりますので、お越しの際は係の者にお渡しください」

人形ジョン『はい、わかりました』

係の人に部屋の入り口まで、案内してもらう。


部屋に入って、ソファーに座りこんだのは仕方ないよね。

「はあ~、本当にすごく疲れた」

人形ジョン『そうですね。思っていた以上に時間がかかりましたね』

「そうだよねぇ」

「それで、これからどうするの」

人形ジョン『今日は疲れましたでしょ、このままホテルで食事だけして休みましょう』

「寝室はどうなっているのかな」

部屋の中を探すと、寝室が二つあった。

私とジョン用に分かれているんだ。

別に一緒の部屋でも気にならないが。いや、気にはなるか。


レストランで豪華な食事をして、お風呂に入ったらすぐに寝てしまった。

レストランでは、着飾った人たちがいて、緊張したよ。

テーブルマナーを習っておいてよかった。


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