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第53話 雑用の日④

昨日は、商業ギルドの三人のことで呆れすぎて、折角ジョンに買った服を渡し忘れた。

剣も選ばないといけないのに。


「おはよう、ジョン」

人形ジョン『おはよう、アン』

「昨日、ジョンの服を買ったの。見てくれる」

人形ジョン『私の服ですか。以前も買って頂きましたが』

「この前は従者用と旅人風だったでしょ」

「ジョンも冒険者ギルドに行くこともあるかもしれないし」

「あ、でも、冒険者の服じゃなくて、どちらかというと護衛用かな」

「冒険者になるときは、また別に買おうよ」

「それから、ショートソードと短剣も必要でしょ」

「ジョンならば、ロングソードのほうがいいかな」

人形ジョン『私のために、ありがとうございます』

『ずいぶん、上等な服を選びましたね』

「着ている服で評価されたりするでしょ。だから、良いのにしたの」

「どうかな」

人形ジョン『着てみます。チェンジ』

「お~、一瞬で着替えられた」

「似合うよ。立派にみえる」

「従者用の服も形が同じなら、色が違っても大丈夫でしょ」

人形ジョン『そうですね。そこまで決めてはいませんので問題ありません』

『それに、他には誰もいませんから』

「そうだよね。お屋敷じゃないんだから」


「武器も選ぼうよ」

人形ジョン『そうですね。折角なので、武器も選びましょう』

この世界のネット通販から、色々見て探すことにした。

「本当ならば、武器屋さんに直接行って、オーダーしたいけれど、時間がかかるしね」

「ジョンは、ロングそれともショートがいい」

人形ジョン『どうでしょうか。ショートソードでいいかと思います』

気に入ったのがあったので、試着することにした。

「ネットでも試着できるんだね」

人形ジョン『そうですね。購入してから合わないと困りますから』

「どう、手にもった感じは」

人形ジョン『大丈夫そうです』

「じゃあ、それにしよう」

「あと、必要なものがある?」

「投擲とか予備の武器とか」

人形ジョン『投擲は、いいかもしれません』

「それも選ぼう」

「腰に着ける、ポーチも必要だね」


ポーチの内側に、アース商会と商標登録とジョンの名前を印字した。

「付与も付けよう。汚れ防止、破損防止、盗難防止、持ち主に帰還、空間収納拡張」

「クリエイト」

「これで、盗まれたりしないね」

人形ジョン『ありがとうございます』


「武器にも付与しようか」

「汚れ防止、破損防止、盗難防止、持ち主に帰還」

「クリエイト」


「ねえ、洋服も普段着が必要じゃない」

人形ジョン『旅装の服で十分です』

「え~、そうかなぁ」

人形ジョン『はい、これで十分です』

ジョンには内緒で買ってしまおうと、心の中で思っている。


「今日は、何をしようか」

「まだ、商品の追加はいらないでしょ」

人形ジョン『そうですね。まだ大丈夫だと思います』


「ねえ、刺繍のがま口を商品登録していないけれど、大丈夫かな」

「あの商品を買った人が、商品登録したらどうなる」

人形ジョン『考えていませんでした』

「偽造防止は、どこまで効力があるのか、登録までは対称じゃないかも」

「やっぱり、商業ギルドに行って登録したほうがいいかな」

人形ジョン『どうしましょうか。書類だけを送って登録してもらいましょうか』

「ナタリアさん宛に送ろうか」

人形ジョン『その方がいいでしょう』

「じゃあ、すぐに書類を作成するね」

急いで、がま口のデザイン画を作成して、申請書も書き封筒に入れる。

「見本品は、無しでいいよね」

人形ジョン『そうですね。今後は不要でしょう』

「【ビューview】機能で見て、ナタリアさんに直接届くようにしようか」

人形ジョン『その方がいいですね。直接会わなくて済みます』

封筒には、『緊急』と書いておこう。


【ビューview】機能で、覗いていると、ナタリアさんが受付に居たので、カウンターにあった他の書類に混ぜて置くことにした。

「あっ、ナタリアさんが書類に気が付いた」

「すっごく、びっくりしているけれど、封筒を開けてじっくりと見ている」

個室に移動した。ついて行こう。

「なんか、顔が薄笑いしているよね」

人形ジョン『逃げられたと思っていた顧客が戻ってきたのが嬉しいのでしょう』

「でも、手続きしてくれそうでよかった」

しばらくの間様子を見ていたが、緊急で手続きをしてくれたようだ。

「サブマスのところには、報告に行かなかったみたいだね」

人形ジョン『そうですね。前回サブマスの言うことを聞いて信用を無くしましたから内緒にしたのでしょう』

「これで安心だね」


「本は、登録しなくてもいいのかな」

人形ジョン『書籍はどうでしたか。・・・タイトル名や作家名、出版社の登録はしたかもしれません』

「え~、じゃあ本も急いで申請しないと」

急いで、本の申請のために、タイトル名と出版社としてアース商会の名を書き上げた。

「これも封筒に入れたら、ナタリアさんのカウンターに置こう」

ちょうど席に戻ってきたから、封筒の束の2番目に置こう。

「あっ、封筒に気が付いた。今度は周りをキョロキョロしている」

「封筒があるのを不審に思っているのかも」

人形ジョン『そうですね。封筒の束を誰が仕分けたのかによりますね』

『もし、ナタリアさんが仕分けたのならば、あるはずのない封筒になるわけですから』

「また、個室に行ったよ」

「今度もじっくりと書類を読んでいるね」

「作家名を書かなかったけれど、大丈夫かな」

「盗作だと言い出す人がいないかな」

人形ジョン『どこにでも、強欲で馬鹿な人はいますからね』

「ペンネームでも作る」

人形ジョン『どうしましょうか。作者名無しよりはいいのかもしれませんね』

「なんか、良い名前ある?」

「前世の名前を別名にして、『ふじわらの かほる』ってどう」

「苗字だけとか、名前だけよりもいいよね」

「それとも、名前だけの『かほる』だけの方がいいかな」

人形ジョン『実名ではないので、苗字と名前でいいのではないですか』

「じゃあ、早速申請書類に書き足そう」

「クリエイト」

「どれどれ、どうかな」

上手く書き足せたようだ。

「ナタリアさん気が付いたかな」

人形ジョン『書き足された行為には、気が付いてはいないみたいです』

「よかった。これで申請のほうは大丈夫だね」

「発売した本はどうしようか」

「今からでも、書き足して大丈夫かな」

人形ジョン『大丈夫だと思います』

「発売済の本すべてに『作者名 ふじわらの かほる』を追加記載」

「クリエイト」

「フ~間に合ったか」

「これで、忘れていることない?」

人形ジョン『大丈夫です』

「物を売るのも大変だね」


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