第51話 雑用の日②
朝食を食べながら、今日は何をしようか考えている。
昨日の商業ギルドの様子だと、私のことを諦めないと思う。
冒険者ギルドに行きたいが、私の事を何か伝えているかもしれない。
しばらくの間は様子を見て、行かないほうがいいか。
今朝のメニュー。
スクランブルエッグ、厚焼きベーコン、トマト、サラダ、ほうれん草のバター炒め、クロワッサン、クラムチャウダー、キウイフルーツ、ヨーグルト、にんじんジュース、コーヒー。
「おはよう、ジョン」
人形ジョン『おはよう、アン』
「しばらくは、冒険者ギルドに行かないほうがいいかな」
人形ジョン『そうですね。あのギルドですから、何か仕掛けてくるかもしれません』
「そう思うよね。でも、その間は何をしていようか」
「木彫りとか本を沢山作って、換金したらダメかな」
「目立ってしまうけれど、知名度が上がる方が手出し出来にくいでしょ」
人形ジョン『そーですね』
『厄介ごとがどこまで増えるかですね』
『ギルドだけでなく、貴族、豪商、強欲な人は沢山いますから』
「そうなんだよね。考えられるのは、商品の案を盗まれたという人や、権利を奪う人がでてくる可能性があるよね」
人形ジョン『そのような人は、必ず裏がありますから、そこを叩きましょう』
「じゃあ、増産するのはどうする」
人形ジョン『100個だけ作って、様子をみましょう』
「わかった。あとは冒険者活動をどうしようか」
人形ジョン『一週間休みにして、そちらも様子を見ましょう』
『一週間見かけなければ、諦めるかもしれません』
「そうしよう」
「ジョンは、今日何をするの」
人形ジョン『整体師、あん摩マッサージ指圧師、美容整体、エステの勉強をします』
「・・・・・えーっと、なんで?」
人形ジョン『アンの体調管理の為です』
「そこに、美容整体やエステが含まれるんだ」
人形ジョン『もちろんです。美容整体やエステは、より細やかな部分まで改善できるのですから』
「へぇ~、そうなんだぁ。じゃあよろしくね」
人形ジョン『お任せください』
ジョンの今後の方向性は、大丈夫だろうか。
「ねえジョン、王族以外が使用禁止されている色とか品物とかある?」
人形ジョン『色と物ですか。色はないですね。元々色もそれほど種類がありませんし、儀式で使用する色はありますが、特に禁止はされていません』
『王冠は使用できないです。類似品でもダメだったと思います。それ以外は無いはずです』
「そっか、わかった。ぬいぐるみに小さな王冠を着けてもダメなんだね」
人形ジョン『そうですね。この時代は王族の権利は想像以上にありますから』
『アンには馴染がないので、分かりづらいかもしれないですね』
「そうね。地球では日本も海外も色んな物に使っていたからねぇ」
「これからも、この世界独自のことがあるだろうから、教えてね」
人形ジョン『承知いたしました』
「それから、しばらくの間、商業ギルドのあの三人は監視するね」
「【ビューview】機能で監視できると思うから」
人形ジョン『そうですね。その方がいいでしょう』
タブレットから【ビューview】機能を選択し、あの三人をマークして。
「この三人を監視、規定違反、犯罪行為、私に関係することをしたと時に録画、通知すること」
これで、何かしらアクションがあった場合、わかるだろう。
商品を作りはじめよう。
木彫りは、在庫が各40個あるので、各60個を追加。
ぬいぐるみは、最初の5色が在庫各40個あるので、各60個を追加。
新色は在庫が各10個あるので、各90個追加。
「なんだか、ぬいぐるみは各色で100個ずつになったから、すごい数になったなあ」
次は、絵本作りね。
ついでに、大人向けの小説も作ろう。
ジャンルは何にするか。
男性向けは、ミステリー物がいいか、女性向けは、やっぱり恋愛物だよね。
男性向けは、高級感のあるハードカバー仕様にして、女性向けは、ソフトカバーの文庫本にしよう。
ミステリーか。あの連載の探偵ものにしよう。
恋愛物は以外と難しいかも。
よくある平民あがりの貴族が上位貴族に見初められてなんて話は、結ばれた後は不幸になりそうだし。
この小説が元で、実際に流行ったりしたら目も当てられないよね。
周りに迷惑をかけない、純愛ものにしよう。
何冊かデザインの良いハードカバーの本を見本として購入。
探偵小説も1巻から10巻まで購入。
恋愛小説も10冊購入。
探偵小説は、1巻のみを制作。
ハードカバーのデザインを選び、丸背、しおりのリボン付き、裏にはあらすじ、出版をアース商会、商標登録、小説の内容はこの世界に合わせて、あまり過激行動なことや思想は変えて、所々に挿絵、上級用紙使用。
「クリエイト」
「お~、すごいじゃないか。ずいぶんゴージャスな作りになったな」
「コピー100冊」
次は恋愛もので、10冊とも制作。
こちらは、ソフトカバー、表紙は色鮮やかで美しく登場人物の挿絵、文庫本サイズ、しおり付き、裏にあらすじ、出版をアース商会、商標登録、小説内容をこの世界仕様、挿絵多め、上級用紙仕様。
「クリエイト」
「わあ~、これもすごいよ。想像していた以上の仕上がり」
「コピー100冊」
絵本は、前回作ったものに、アース商会の名前と商標登録を記載して。
「各コピー100冊」
「クリエイト」
作るのって楽しいなあ。コピーだけれど。
刺繍物も作ろう。
飾り刺繍にするか、物にするか。
小物とかの方が沢山売れるよね。
刺繍向きの生地と刺繍糸とがま口の金具を購入しよう。
地球のネット通販で、刺繍向きの布で色を、セレステ、孔雀ブルー、ライトイエロー、ライトライム、ミニピンク、スノーにして、刺繍糸は25番と5番のシルク糸で全色、がま口20種類を購入。
見本品を10点購入。
「見本と同色を5個ずつ、色違いを5個ずつ」
「完成品の内側に商標登録の印字とアース商会名も印字」
「クリエイト」
「出来たぁ~、色もそれぞれ綺麗だし、何より可愛い」
念話『ジョン、商品が出来上がったから、見に来ない』
人形ジョン『分かりました。すぐに行きます』
「ジョン、見てみて、すごい数になっちゃった」
「本もね。絵本だけでなく大人向けの小説も作ったの、それから、刺繍の小物入れも」
「どう、問題ないかな」
人形ジョン『これはすごいですね』
ジョンは、一つ一つ手に取ってじっくりと見ていく。
人形ジョン『どれも高級ですね』
「そうなの。貴族相手に売るつもりだから、素材は上級にしたの」
「でもね。いずれ王族用も作るかもしれないから、最上級の素材は使っていないの」
人形ジョン『それはまあ、あるかもしれませんね』
「それで、全部の商品に汚れ防止、破損防止、改ざん防止、偽造防止を付与したいけれど、大丈夫かな」
「最初はね、何も付与しないほうがいいと思ったけれど、わざと壊すとか、他の商会とかに偽造されたら困るなと思って」
「あと何か追加することあるかな」
人形ジョン『そうですね。付与できる人は多くないでしょうから』
『でも、偽造とかの防止は良いと思います』
「そう、よかった」
「本も男性向けと女性向けに分けたの」
「男性向けは恰好いいでしょ。女性向けも綺麗で可愛いし」
「あと、刺繍の小物入れは、デザインと色違いもあって、これも可愛いでしょ」
人形ジョン『ええ、本も素晴らしい出来ですし、小物入れも、とても高級そうで人気がでるでしょう』
「じゃあ、すべての商品に付与するね」
「汚れ防止、破損防止、改ざん防止、偽造防止」
「クリエイト」
「早速、売ろうよ」
タブレットの【換金】を選び、男性向けの本をおく。
すぐに消えて、30万円が表示された。
「えっ、なにこの金額、すごくない」
人形ジョン『本当ですね』
残りの本も置くと、同じように一瞬で消えた。
「やだあ~、一瞬で小金持ちになったよ」
「怖すぎる~」
人形ジョン『ええ、本当に、これからが大変そうです』
次々と商品を置き、すべての商品が一瞬で消えていった。
「これって、大丈夫だと思う?」
人形ジョン『どうでしょうか。神様が問題ないと思われたから換金できたので、たぶん大丈夫かと』
「今まで、怖いから聞かなかったけれど、神様は私に何か要求するわけじゃないよね」
人形ジョン『それはありません。アンには力と能力を与えましたが、要求することはないです』
『アンが好きなように、好きな事をすればいいのです』
「本当? 良かったよぉ。何か要求されるとか強要されたらどうしようかと思っていたから」
「だって、最初に会ったときに、神様は『覚悟はしておいてください』って言ったじゃない」
人形ジョン『あーそのことですか』
『あれは、スキルや魔法を授かったとしても、全てを使いこなすのは大変で、努力もしないといけないからです』
『だから、今までアンには色々な訓練をしてきたでしょう』
『まだ、訓練していないことも、ありますよ』
「うそ~、まだあるの。そうだよね。スキルがあっても、身体に馴染んで使いこなすのは違うものね」
「ほんと、よかった。じゃあ、売れないようなものは、タブレットからも弾かれるんだね」
人形ジョン『そうですね。神様の判断になります』
タブレットに【通知】が表示されているのに、気が付いた。
「なんだろう。通知があるよ」
【通知】を開いてみると、『商業ギルドのギルマスが動きあり』
『ギルド職員に、冒険者ギルドにアン様の呼び出しを依頼』
と表示されました。
「あ~、やっぱり動いたか」
「これって、ギルマスの単独犯かな」
人形ジョン『たぶん、そうでしょう』
「録画出来ているはずだから、見てみようか」
ギルマスの録画を探し見る。
【ギルド side】
「ギルマス、お呼びですか」
「ちょっと、頼みがあってな」
「誰にもバレないように、冒険者ギルドに行ってことづけを頼みたいんだ」
「特に、サブマスにはバレないようにしろよ」
「なんか、まずい依頼ですか」
「ちげぇよ。うちの顧客に内緒で会うだけだよ」
「へぇ、そうなんですか」
「変な勘繰りはやめろ。俺は嫁さん一筋だからな」
「冒険者にアン・スペンサーがいるから、俺に会いに来るように受付に頼んできてくれ」
「わかりました。すぐに行ってきます」
「あ~、やっちゃったね。この男は」
人形ジョン『そうですね。やはり【脳筋】ですね』
『何も考えていないです』
「まあ、しばらく様子をみようよ」
「鑑定マークを広範囲にして、危険人物と私関係の人には赤マークにしておくから」
人形ジョン『それがいいです』




