第49話 雑用の日
今日は、『雑用の日』とする。
朝食を食べながら、そんなことを考えていた。
今朝のメニューは、超有名なホテルの『アメリカンクラブハウスサンド』
フライドポテト、オニオンフライ付きである。
追加で、果物盛り合わせ、ヨーグルト、フレッシュオレンジジュース、コーヒーを注文。
サンドイッチは、パンをそのままの時と、トーストしたのを食べたい時に分かれる、たぶん気分の問題。
雑用の日としたのは、細々な整理が必要になってきたから。
商品の仕入れ入出庫台帳、商品入出庫台帳、経費台帳と、経理や在庫の管理が必要と思われるからだ。
これから、多くの商品を出荷すれば、提出する書類などが出てくるはず。
在庫管理も販売後のトラブル対応に役に立つと思われる。
商業ギルドのナタリアさん、サブマス、受付の腹黒男の鑑定もしていない。
薬草作業室の薬草分類もしたいし、保管棚も整備したい。
木彫りなどの作業部屋も、材料の保管、商品の保管も整理したい。
換金用とギルド用の追加制作。
管理は、収納内で出来るが、部屋にもある程度は置きたい。
商業ギルドに行くときの服も、追加で購入しないとね。
着たきり雀になっても、不審に思われるでしょ。
ボイスレコーダーや撮影機能付きの魔道具も作成したい。
きっと、トラブル時に役に立つ。
絵本とか小説の販売もしたいが、これは慎重にしないと身が危なくなる可能性もある。
思いっきり、パクるつもりでいるのだが、さすがに倫理的に問題かも。
この異世界には、早すぎるか。
ジョンがやってきた。
「おはよう」
人形ジョン『おはよう』
「今日は、出かけないで、雑用をする予定なの」
人形ジョン『そうなんですか。何をするのですか』
「商品の経費と在庫管理に追加制作もするでしょ」
「ギルド職員の鑑定も」
「魔道具も作りたいの」
人形ジョン『どんな魔道具ですか』
「話している会話を記録するとか、普段の様子を記録する魔道具を作るの」
人形ジョン『そんなことが出来るのですか』
「地球には、当たり前にあった魔道具だから、作れると思うよ」
人形ジョン『それはまた、随分危険な魔道具ですね』
「そうだね」
人形ジョン『そうですよ。秘密の会話や様子が証拠として残されるのですから』
「まあね」
人形ジョン『それだけでは、ありません。アン、あなたの身も危険になるのですよ』
「まあ、考えられるよね」
人形ジョン『そんな魔道具を作れる人物は、誰でも欲しがりますから』
「うわ~、怖い」
「でも、権力者相手だと証拠があったほうがいいよね」
人形ジョン『そうですね。とりあえずは、アンと私が使うだけにしましょう』
「そうね。自己防衛用にしよう」
「あとは、商業ギルドに着ていく服は、何着が必要でしょ」
「今度は、地球産でいいかな。それとジョンのも新調する?」
人形ジョン『地球の物でいいでしょ。私の服は同じでいいです』
『従者は基本服装が決まっていて、変えませんので』
『強いて言えば、ネクタイぐらいでしょうか』
「わかった。色は同じ系統で柄だけ変えるね」
「ジョンは今日何をするの?」
人形ジョン『武術訓練と会話の練習ぐらいでしょうか』
『何かお手伝いしますか』
「今のところないけれど、その時はお願いするね」
人形ジョン『わかりました』
最初は、木彫りからはじめよう。
追加の木材を4種類各20ずつ、ぬいぐるみの布は、前と同じ色を、追加で黄、緑、紫色も購入。
リボンは前の残りがあるから足りるかな。
目になる黒曜石とぬいぐるみの中身も購入。
「木彫りをウサギ40個、ティディベア40個、ナンバリングは続きから」
「クリエイト」
今回は、一気に完成まで仕上げた。数も多いからね。
換金用が70個で、ギルド用が10個でいいかな。
「次は、ぬいぐるみで、ウサギとティディベアを前の色で40個ずつ、黄、緑、紫を10個ずつ」
「クリエイト」
リボンは、お任せで。
「クリエイト」
こっちはどうしようかな。前の色を35個で新色を8個ずつ換金しよう。
さて、ワンピースは、何色を購入しようか。
秋だけれど、無地のクリーム色とミントグリーン、モスグリーン、水色の花柄、くすんだピンク色にした。
靴は、白とベージュのふくらはぎまでのブーツ。
鞄も、靴とお揃いで白とベージュにした。
ジョンのネクタイは、グレーのストライプ3種類と薄い模様柄を2種類を購入。
あの顔だから、なんでも似合うのだ。
次は、台帳管理。
ネット通販で探したけれど、希望するような様式はなかった。
仕方がないから、パソコンで管理するか。
ネット通販で、最新のデータ量多めのパソコンを購入した。
一つのデータファイルで管理したいが、良い様式が思い浮かばない。
とりあえず、仕入れ入出庫台帳、商品入出庫台帳、経費台帳を作った。
上手くいかなければ、その時に作り変えよう。
あとは、なんだっけ。
あ~、作業部屋の整理か。
まずは、薬草から。
全部ではなくて、一部のみ収納から取り出して、管理しよう。
名前順にするか、効能順にするか。
効能だと、一つの薬草でいくつもあるから、名前順がいいか。
密閉のよい棚を作って、そこに並べていこう。
これから、増えていくはずだから、スペースをあけながら置いて。
棚には、汚れ防止、破損防止、湿気防止を付与。
次は、ポーション作成の機材を2つずつコピーして、一つを棚に。
薬草の本も、コピー。
次は、木彫りの部屋。
こちらは、棚の中板の高さを細かく調整出来るようにして、同じように汚れ防止、破損防止、湿気防止を付与。
最初に作った記念の品も、ここに飾ろう。
次は、ギルドの鑑定。
【ビューview】機能で商業ギルドを探し、ナタリアさんから。
「鑑定」
ナタリア・フィップス・カヴァナー
人族、女性、28歳、独身。
水魔法、直感スキル、交渉スキル、管理スキル。
犯罪歴なし。
わりと素直。
「やっぱり、あったじゃないか、直感スキルが」
次、サブマスのダーモット・ロンドン。
「鑑定」
ダーモット・タイ・ロンドン
人族、男性、38歳、独身。
火魔法、風魔法、観察スキル、交渉スキル、管理スキル、鑑定スキル。
犯罪歴なし。
几帳面。
「商業ギルドになると、鑑定持ちがいるんだ」
次、受付の腹黒。
「鑑定」
ディック・L・ベンソン
人族、男性、32歳、既婚。
風魔法、観察スキル、記憶力、算術スキル。
犯罪歴なし。
出世欲あり、基本は真面目、お金が好き。
「やっぱり、腹黒だ」
ついでに、ギルマスも鑑定するか。
いたいた、ギルマス。
「鑑定」
トニー・アヤラ・ペリー
人族、男性、42歳、既婚。
火魔法、風魔法、水魔法、直感スキル、観察スキル、鑑定スキル、体術スキル、剣術スキル。
犯罪歴なし。
身体を動かすのが好き。面白いことが好き。管理処理が苦手。
「この人は、冒険者向きでは、そしてよくある管理嫌い」
次は、魔道具。
難しく考えないで、水晶や魔石に付与したらどうかな。
まずは小さな水晶に「映像を記録」「クリエイト」
「鑑定」
一応できたみたい。
少しだけ大きめの魔石に。
「映像記録」「クリエイト」
これも出来た、この大きさだとブローチにしたら使えそうだ。
同じように、ネックレス、髪留めに付与した。
これで、前も後ろもカバー出来るね。
最後は、本だね。
見本として地球から取り寄せよう。
まずは、絵本から。
日本の有名な昔話のひとつ。
「こちらの文字に変えて、挿絵もこちらの平民の容姿に変えて、紙やカバーは上級」
「クリエイト」
こちらの世界でも違和感ない仕上がり。
ただ、この色使いが大丈夫かな。
まあ、色がきれいな方が喜ばれるだろう。
次は、海外の作家にしよう。
これも有名な童話で。
同じように、「クリエイト」
これも良い感じの仕上がり。
あとは、話しの内容が受け入れられるかだね。
ジョンに相談しよう。
念話で『ジョン、いる?』
人形ジョン『はい、自室にいます』
『完成したから見てくれる』
人形ジョン『わかりました』
リビングで、木彫りとぬいぐるみ、魔道具、絵本を並べておく。
「あ、ジョン、木彫りを追加で作ったよ。換金分とギルド分」
人形ジョン『後で、換金してみましょう。その金額によって、ギルドに卸す金額も決めましょう』
「そうだね。次は、魔道具ね。全部、映像を記録するものにしたの」
人形ジョン『こんなに、小さな石で記録できるのですか』
「そうだよ。長時間は無理だけれど、短い間ならできるよ」
「石に魔力を流せば、記録できるようにしたの」
「やってみようか」
石に魔力を流して、5分くらい待つ。そしてまた魔力を流す。
「録画の最初と最後に魔力を流すの」
「見てみよう。再生」
すると、石から映像が空間に映し出される。
そこには、リビングにいるジョンの姿が映し出された。
二人の会話も録画されている。
人形ジョン『すばらしいです。こんな魔道具は誰も考えられていません』
「そうだよね。普通は考えられないよね」
最初に考えた人は偉いなあ。
「これは二人で防衛のために、身に着けようね」
「商業ギルドのナタリアさんと受付の腹黒とサブマス、ギルマスを鑑定したの」
「ナタリアさんは直感スキル持ちで、腹黒は出世欲のある人で既婚者、サブマスは鑑定持ちで几帳面で未婚、ギルマスは直感、観察、鑑定スキル持ちで既婚者だった」
「やっばり、ギルドのトップとなるとスキルもそれなりだね」
人形ジョン『そうですね。こちらも用心しましょう』
「後はねえ。地球の本を異世界の言葉にして、販売したらどうかと思って」
「今は既製品をコピーして、いずれ、自分で創作するかも」
「完全パクリは大丈夫かな」
「目立ちたくはないけれど、この世界は娯楽とか教育が不足しているでしょ」
「だから、地球の本があれば、役に立つと思うの、どう」
人形ジョン『そうですね。あまり想像以上の物を作ると目を付けられます』
『完全パクリは、まあ良しとしましょう』
「やっぱり、そうだよね。だから、当面は換金だけで販売したら、バレないかなって」
「それで、作者名は表記せずに、出版する商会名だけにするの」
「商会は、私たちが登録して」
「とりあえず、見本の本を見て」
人形ジョン『これも素晴らしいです。絵がきれいです。この世界の本は文字だけで、話しも短いです』
「そうなの。絵が綺麗すぎてまずいかな?」
人形ジョン『このくらい、すごければ逆に真似が出来なくていいと思います』
「よかった。じゃあ、何冊か作るね」
人形ジョン『まずは、商会を登録しなくては』
『また、商業ギルドにいきましょう』
「本の見本は、見せなくていいよね」
人形ジョン『そうですね。また騒がれますから』
「じゃあ、明日行こう」
「ジョンのネクタイも買ったの」
人形ジョン『私のですか。嬉しいです。ありがとうございます。明日着けていきます』




