第48話 仮想地球⑤
今日は、ジョンと一緒に地球に行く。
朝食は、地球で食べたいので、今はコーヒーを飲むだけにする。
どこを案内しようか。
季節は、春か秋か、冬もいいけれど、それはまた今度。
秋のほうが、紅葉の美しさに驚くだろう。
でも、春からはじめよう。
桜の満開の様子を見せてあげたいし、優しい気持ちになってほしいから。
人形に優しさを求めてもいいかは、わからない。
私のいた世界を見たいと言った、ジョンならば何かを感じてくれると思いたい。
先日ケーキバイキングしたホテルで、庭園を見ながら、朝食を食べよう。
東京の桜の名所を巡り、東京タワーやスカイツリー。
きっと、想像以上の高さに驚くだろう。
実家も紹介して、奈良や京都に行き、古き日本を感じてもらおう。
温泉も入りたい。
人形でも入れるのか。後で確認しなくては。
広大な北海道をあの名曲を聴きながら、眺めよう。
函館でイカやホタテ、積丹半島でウニ、ボタンエビはどこだったか。
とにかく、新鮮な海鮮を食べたい。
そんなことを考えていたらジョンがきた。
「おはよう」
人形ジョン『おはよう』
「今日は、仮想地球に行くでしょ。大丈夫」
人形ジョン『はい、問題ないです』
洋服は、何を着ていこうか。
春先だとまだ寒かったりするよね。
上着にワンピースにするか。
ジョンは、Gパンにするか、スラックスにするか。
GパンにTシャツ、ジャケットにしよう。
地球のネット通販で購入。
「ジョン、地球用の服を買ったから、これを着てね」
人形ジョン『わかりました』
「準備が良ければ、行くけれど」
人形ジョン『大丈夫です』
「じゃあ、行くから、念のために手をつなごうか」
朝食を食べに、某ホテル入口を目的地。
「ここで、朝食を食べよう。ジョンも食べる?」
人形ジョン『そうですね。せっかくなので一緒にたべます』
おっ、珍しい。食べる行為の練習と思えばいいか。
「このホテルは、この前ケーキバイキングで来たの」
人形ジョン『そうなんですか。とても、高級そうですね』
「確かにね。一般人は気おくれしちゃうよね」
「どう、地球は」
人形ジョン『やはり、異世界とは作りとか雰囲気が違います』
庭園の見える席について、朝食を注文。
オムレツ、ハム、ソーセージ、サラダ、チーズが数種類、ヨーグルト、クロワッサン、ディニュッシュ、牛乳、にんじんジュース、果物盛り合わせ。
ふわふわのオムレツが美味しい、家庭ではまねできない、ふわふわ感。
ハムだって、いつも買うのと違いすぎる。
クロワッサンは、バターの風味がありパリパリで何個でも食べられそう。
「ジョン、どう朝食は」
人形ジョン『味はわかりませんが、豪華だとは思います』
「まあ、味までは無理だよね」
「食べ終わったら、庭園を見て回ろう」
「どう、日本の庭園は。貴族のお屋敷の庭園とは違うでしょ」
人形ジョン『そうですね。なんだか落ち着くような気がします』
「次は高い建物に行こう」
東京タワーが良く見える場所に移動。
「あれはね。東京タワーっていうの」
「昔は、日本一高い建物だったの。今は、もっと高い建物があるから」
「そうだよね。想像できないよね」
「あの塔の展望台に行こう」
手をつないで、展望台に転移。
たぶん、小学生の時に来た以来かな。
人形ジョン『信じられない高さです。天まで届きそうです』
「足がすくむよね」
ジョンは展望台から見える景色を、食い入るように見ていた。
「ジョン、次に行くよ。これよりも高い塔へ」
スカイツリーの展望台に転移。
「ここは、東京スカイツリーっていうの」
「さっきより、高いでしょ」
もうこの高さぐらいになると、違いは分からないかも。
人形ジョン『日本には、このような高い場所はいくつもあるのですか』
「そうだね。何か所かあったと思う」
「次は、私の実家ね」
まだありましたよ、実家が。
人形ジョン『ここがアンの住んでいた場所』
「そう、大人になるまで住んでいたの」
「中に入ろう」
玄関で靴は脱いでもらう。
「これは、日本風の家の作りなの。畳があるでしょ。ここに直に座るの」
人形ジョン『椅子とかはないのですね』
「そうねえ。でも今は畳のある家は少なくなってきたかも」
人形ジョン『なんだか、アンを感じます』
「そう。ありがとう」
「あっ、桜を見に行かなくちゃ」
「次は、桜を見に行こう。日本の花でとても綺麗なんだよ」
「これが、桜の花。綺麗でしょ」
「この花が咲くと、日本人は皆この花を見に行くの」
人形ジョン『はい、とても美しいです』
『アンが地球に来たい気持ちが、わかったような気がします』
「そうでしょ。地球はとても素敵なところなの」
「まだ、まだ、行くよ」
「奈良は、昔の昔、古い時代1300年前からある町なの」
「建物とか仏像は、とても古い作りだけれど、今でも綺麗に残っているの」
人形ジョン『今まで見てきた建物とは違いますね』
「そうなの。日本人はとても大切にしているの」
人形ジョン『古い物を大切にするのは、すごいことです』
「奈良に来たから、柿の葉寿司を買わないと」
「大好きな食べ物なの、ジョンも食べてみて」
人形ジョン『葉に包まれているのですか、変わっています』
「この葉が、柿の木の葉なの。殺菌効果もあるから包んでいるの。面白いでしょ」
人形ジョン『そんな意味があったのですね。すばらしい利用方法です』
「京都は、以前来たけれど、半分も見て回れなかった」
「見る場所も多いけれど、敷地も広いからね。見るのに時間もかかるの」
人形ジョン『そうですね。こんなに広いと歩いて見てまわるのも大変そうです』
「京都は、秋になるともみじが紅葉して、とても綺麗なんだよ。だから、また来ようよ」
人形ジョン『見たいです』
「日本には、『八百万の神』といわれ、八百万の数、神様がいるといわれているの」
「奈良と京都もそうなの」
「すごい数でしょ。日本独特の考えなの」
人形ジョン『異世界の神様はイシノス様だけです』
「地球の他国も、一神教だからね」
「日本は、自然なもの海、山、川、滝、池、湖、木、岩、米粒、人、動物も神様としてとらえてきたから多いの」
人形ジョン『日本人は、自然を大切にしているのですね』
「そうねえ、でも自然は破壊しているけれどね」
「次は、広大な景色が広がる北海道に行くよ」
人形ジョン『とても広いです。あれは畑ですか』
「そうだよ。北海道の畑はとても広くて、色々な野菜を育てているの、じゃがいも、玉ねぎ、とうもろこしなどは有名なの。それにすごく美味しい」
あの名曲を流す。
人形ジョン『この音はなんですか』
「これは、歌を歌っているの」
「日本では有名な曲で、北海道に来るとこの歌を聞きたくなるの」
「声も素敵でしょ」
人形ジョン『とても、優しい声です』
別の曲も聞かせたいが、あれが歌だと理解するだろうか。
ジョンと一緒に地球に来るから、携帯電話を購入したのだ。
地球では、つながるようだ。
自撮りも沢山した。
ジョンとの写真も撮った。
ジョンも最初は何をしているのか、わからなかったが、写真を見せれば驚いていた。
人形ジョン『あれは何ですか、生き物のようですが』
「あれは、牛という動物。牛乳という飲み物やお肉にするために育てているの」
「牛乳は、チーズとかバターにもなるよ」
人形ジョン『勉強になります』
「美味しい物を食べに行こう」
揚げいも、ソフトクリーム、とうもろこし、海鮮と食べつくした。
「北海道は、美味しいものが沢山あるの」
人形ジョン『異世界の食べ物は、まだ、まだですね』
「ねえ、ジョンはお風呂には入れるの?」
人形ジョン『お風呂ですか、たぶん問題ないと思います』
「じゃあ温泉に行こう」
露天風呂なら、秋田がいいかな。
「これが温泉。地中から熱いお湯が出てくるの、それぞれ効能もあるんだよ」
人形ジョン『お湯が白いです』
「そう、ここのお湯は白いのが特徴なの。普通の水の色の場所もあるし、赤くて鉄っぽいのもあるよ」
「さあ、ジョンも一緒に入ろうよ」
マナー違反だが、バスタオルは巻いた。
他に人はいないのだから、そのままでもいいのだが、ジョンの顔ができてから見られると思うとね。
ジョンが服のまま入ろうとするので。
「ジョン、服は全部脱ぐの」
人形ジョン『そうなんですか、わかりました』
ジョンは、素直に服をぬぎ、そのままの姿で入ってきましたよ。
私は、気にしないったら、気にしない。
人形ジョン『アンは、なぜバスタオルを巻いているのですか』
「え~と、なんとなく」
人形ジョン『全部脱ぐのですよね』
「・・・・・」
「わかった」
ジョンの視線に負けました。
「色んな場所を見て、美味しいものも食べて温泉も入れたし、帰ろうか」
人形ジョン『そうですね。帰りましょう、でもまた、来たいです』
「そうだね。また、来よう」
「帰還」
二人でリビングでまったりしています。
「ジョン、地球はどうだった」
人形ジョン『はい、とても素敵な場所でした。是非また一緒に行きたいです』
『この世界とは違って、景色も食べ物も温泉もすごいです』
「日本中を案内したいし、他の国にも行ってみようね」
人形ジョン『はい、楽しみにしています』
ふふ、なんだかジョンが子供になったみたい。
人形だけれど、人間ぽくなったかも。
ジョンが楽しめてよかった。




