第44話 海に行こう
海の幸が食べたい。
イカ、タコ、マグロ、サーモン、アジ、エビ、ホタテ、アサリ、ハマグリに真珠、赤いサンゴも欲しい。
イカの丸焼き、イカのバター醤油炒め、イカ刺し、タコ焼き、マグロのお刺身、伊勢海老はいるのか。
異世界のネットで調べられるが、人形に聞いたほうが早い。
「ねえ、異世界の海の幸は食べられるの」
人形『えーまぁー食べられる』
「何そのたぶんみたいな言いかたは」
人形『地球よりもかなり大きい』
「普通サイズはいないの? イカは船を襲うぐらいの大きさなの?」
人形『普通サイズ、巨大もいる』
「それって採りに行ってもいいの」
人形『人に見つからなければ、問題ない、討伐対称』
「なら問題ないね。海の幸が採れる場所で治安のいい町はある?」
「海の町で買い物をしてみたいし、食べ歩きもしたい」
「小さな漁村だと目立つから、それなりの町で活気がある場所がいい。難しいかな」
人形『グナレス侯爵領のレウイシア干潟がいい』
「じゃあ、早速行こう」
「その前に聞きたいんだけれど、異世界に来てから地球の物ばかり食べているけれど問題ないの」
「異世界の物を食べなくても平気?」
人形『問題ない。空気中にある魔素を身体に取り込んでいる』
『でも異世界の物を食べてもいい』
「タブレットで地図を表示して、グナレス侯爵領のレウイシア干潟を入力」
人形『私も一緒に行く』
「はっ、なんで!!!」
「そんな、のっぺらぼうの顔、しかも人形が外に行けるわけないじゃない」
「それにシェルターから出られるの」
人形『問題ない。海の町は荒くれものが多い。用心棒として一緒に行く。顔は今から作ってくる』
「顔だけじゃないし、身体だって人形っぽいじゃない。皮膚とかどうするの」
「町の入り口の門で水晶検査されたら、血とか魔力もどうするの」
人形『それも作る。身分証はある。療養していた設定のヨセリネラ領のが』
「それは偽造っていうんだよ」
人形『問題ない。私が作ったものが人間にバレることはない』
「・・・・・聞きたくないけれど、あんたは何者なの?」
人形『神様が創造でつくった。時々更新している』
「アンドロイドか、さらにバージョンアップもしているだと」
「いや、人形からアンドロイドに進化するのか」
「名前とか性別とか年齢はどうするの。身分証はどうなっているの」
人形『・・・・・』
「さては、何も考えていなかったな。どんな身分証だよ。まったく」
人形『名前はジョン・ゲインズ・タンディ、性別は男性、年齢は28歳』
「名前はいいとして、年齢はまた微妙だな。私と一回り違うのか。おやじのほうがいいか、アラサーでいいか」
「問題があれば、作り替えてもらおう」
人形が消えてから、30分ほどで戻ってきた。
誰を参考にしたのか不明だが、そこそこのイケメンだ。
フツメンのほうがトラブルが無いような気がするが、どうだろう。
人形『身分証も変えてきた。人間のように皮膚と血もある。切ったら血がでるようにしてある。身体も男性だ』
「色々と突っ込みたいところだが、今は気にしないでおこう」
「じゃあ、シェルターで移動するのでいいのかな」
地図に目的地を設定して、「ポチッ」
「わあ、本当に海に来たよ。人形」
人形『・・・この姿の時は、人形呼びではなくて「ジョン」で』
「あ~まあそうだよね。わかったよ、ジョン」
「それで、巨大イカは沖に行けばいいの」
人形ジョン『サーチしてみればいいのでは』
それもそうか、「サーチ 巨大イカ」
遠くのほうに、マッピングの表示があるので行ってみる。
表示されたところまで行くと、海の深い場所にいるようだ。
どうやって捕まえようか。
結界で囲んで、雷魔法で仕留めるか。
「結界、サンダーボルト弱」
どうかな。うまくいったようだ。
「収納」
「どうする。もっと捕まえる?」
人形ジョン『そうですね。できたらもう少し』
「サーチ 食べられる巨大な生物」
あっ、タコとカニが表示された。
「結界 サンダーボルト弱」
巨大サイズはもういいから、普通サイズを捕まえようよ。
「サーチ エビ、マグロ、サーモン、アジ、エビ、ホタテ、アサリ、はまぐり、フリージング」
「収納」
やったね。沢山採れたよ。
「じゃあ次は、真珠がいいな、真珠ってあるよね」
人形ジョン『そうですね。形はマチマチだと思う』
まあ形は仕方ないか。
「サーチ 真珠」「収納」
次はサンゴ。
「サーチ 赤サンゴとピンクサンゴ 少しだけ」「収納」
サンゴはあまり採ってしまうのは、よくないから。
「沢山採れたから、町に行こうか。門から入る、それとも町の中に直接入る」
人形ジョン『トラブルを避けるために、正規の門から入りましょう』
門から徒歩で30分離れた場所で外にでた。もちろん、周りに人や魔物がいないのを確かめて。
二人とも軽く認識阻害をかけている。
門の列に並ぶが、人形ジョンの身分証が大丈夫か心配になってきた。
本人は涼しい顔をして並んでいるが、人形だから表情はないのかは不明だが。
自分たちの番になった。
「身分証はありますか」
「はい、あります」
冒険者カードを見せる。
「問題ないですね。こちらには何用で」
「観光目的で、海の幸が食べてみたくて」
「そうですか、ここの海で採れるものは美味しいですよ。楽しんで」
「ありがとうございます」
次は人形ジョンの番だ。
「身分証はありますか」
「こちらで」
「問題ないです。ご一緒ですか。では楽しんで」
はあ、心臓がドキドキしたよ。
無事に門を通れてよかった。
気のせいか、人形ジョンがドヤ顔しているように見える。
しばらく歩くと商店街に着いた。
生の魚や店先で焼いていたりする。
「どれも美味しそう。ジョンは食べられるの?」
人形ジョン『身体の中にストックする場所は創ってきました。時間がたつと消去されます』
『人間のように消化器官がありませんので』
『違和感のないように、食べているように見えることにしたまでです』
「そうだよね。他の人がいるときに食べないのも変だしね」
「じゃあ特に食べたいものはないの」
人形ジョン『今日はお任せします』
じゃあ、イカの丸焼きとホタテのバター醬油焼きを買うね。
近くのベンチに座り食べる
「うま! 新鮮なだけあるね」
この世界にも醤油があってよかった。
アジの開きがある、これはお土産用に買おう。
一か所で沢山買うと変に思われるかもしれないので、10枚にした。
イカの一夜干しまであるよ。ここは日本か。
イカは20杯買った。このくらいなら大丈夫かと。
他のお店でもアジの開きを追加で買って、サンマの醤油漬けも買った。
時々、路地に入って空間収納にしまう。
手元には少しだけ残してね。全部しまうのも怪しまれそうだから。
マグロ丼のお店を見つけた。
人形ジョンに聞くと、一緒に入ってもいいようで店内に入る。
「いらっしゃい。何にしますか」
「マグロ丼を2つ」
ここは人気店かな。空席が少ない。
これは期待できるかも。
「食べるのが大変だったら、もらうよ」
人形ジョン『たぶん問題ない。無理なら言う』
「わかった。その時は言ってね」
「はい、お待たせ」
お~見た目は日本と同じようだ。
薄切りにされたマグロを一口。
「これも、うま!!!」
トロっとして甘いよ。感動ものだ。日本人はマグロ好きなのだ。
人形を見るが、問題なく食べている。
これならば、どこに行っても大丈夫そうだ。よかった。
あれ、これからはいつも一緒に行動するわけじゃないよね。
この町だからだよね。これは後で確認案件だ。
「ねえ、この後どうする。もう色々採れたし、買い物もしたから帰る?」
人形ジョン『帰る。門衛が交代しているから、路地から帰れる』
「じゃあ、そうしよう」
周りに人が居ないことと、こちらを見ている人が居ないことを確認。
「帰還」
シェルターに戻ってきました。
「そういえば、シェルターで移動したよね。今はどこの場所にいるの」
人形ジョン『特に指定がなければ、「最初の地」に自動で戻ります』
「もしかして、別の場所に行くときもタウンウォッチングしたときみたいに、シェルター内から外を見て、外に出るときだけ地図をポチッとすれば目的の外に出られるの」
人形ジョン『そうですね。それでも問題ない』
「え~どっちがいいの」
人形ジョン『どちらでも、手順が違うだけで、問題ない』
なんだか、納得できないがまあいいか。
「これから冒険者の活動するときも、ジョンはついてくるの」
人形ジョン『うーん・・・危なくなければ今のままかと、たぶん』
「曖昧だなあ。もし危なくなったらどうするの」
人形ジョン『うーん・・・まだわかりませんが、たぶん助けに行くかと』
「なんだそれは。何か条件でもあるの」
人形ジョン『バージョンアップ次第かと』
「ジョンってさ、最初からは現れなかったよね。急に出てきたよね。なんで」
人形ジョン『準備中でした』
「はっ、お店かよ」「じゃあ、シェルターが出来た時に作り始めたってこと」
人形ジョン『たぶん、そうかと』
神様が急いで作ったのか。
「テレビやタブレットからは自由に出られるの」
人形ジョン『もうすぐ、出られるようになる』
「それは私の意思に関係なく、出てくるってこと」
人形ジョン『・・・・・出てくると迷惑』
「迷惑かと聞かれると、困るなあ。ただ一人だと思っている時に急に現れるとビックリするからさあ」
人形ジョン『事前に念話で連絡』
「いや、それも結局は急に頭に連絡くるんでしょ。ビックリするよ」
「ジョンはどうしたい。外に出ていたいか、テレビの中にいたいか」
人形ジョン『基本は外にいたい。作業するときだけテレビの中』
「これからは、ほとんどシェルター内で過ごすのでいいんだね」
「じゃあ、ジョンの部屋を作ろう。出てきたときはその部屋を使えばいいよ」
「3階は私専用になっているけれど、どこにする?」
人形ジョン『とりあえずは、1階で』
「わかった。都合が悪くなったら変えるから言ってね」
「1階に私と同じ部屋を。クリエイト」
出来たっぽい。
「一緒に見に行こうよ」
二人?で部屋に行く。本当に同じ部屋だ。
ただ、私の部屋は女性らしい雰囲気だが、ジョンの部屋は男性らしくなっていた。
「どお、イヤならば変えるけれど」
人形ジョン『問題ない』
リビングに戻り、お茶休憩する。
「昨日、ギルドで女性冒険者に声をかけられたの。ソロだから心配してくれたみたい」
「今までは、他の冒険者を避けてきたけれど、これからは関わったほうがいいかな」
人形ジョン『今後はわからないが、今はまだこの世界に慣れるほうが先でいい』
「そっか、わかった」
「もうお風呂に入ったら寝るけれど、ジョンはどうする」
人形ジョン『部屋にいる』
「そう、じゃあおやすみ」
人形ジョン『おやすみ』
なんか、楽しかったけれど、とんだ一日だった。




