第111話 王都に到着
「おはよう、ジョン」
人形ジョン『おはよう、アン』
「ジョンもゆっくり休めた」
人形ジョン『そうですね。シェルターにいるほうが落ち着きます』
「やっぱり、自分の家が一番だよね」
「今日は、馬の世話はどうするんだろう」
人形ジョン『宿に泊まっても、いつもと同じだと思います』
「そうなの。じゃあ、馬の世話をしに行ったほうがいいかな」
人形ジョン『とりあえず、行ってみましょう』
宿の厩舎に行ってみる。
アリソン子爵家の馬たちと他のお客の馬もいた。
「アレク、ベン、おはよう」
『『おはよう、アン』』
「ゆっくり休めた」
『他の馬がいて気にはなるが、森で休むよりは安心出来たぞ』
「そっか、良かったね」
お水をあげたいが、まだ準備されていないようだ。
「お水は、まだ用意されていないから、クリーンを先に掛けるね」
『頼むぞ』
「クリーン」
「どう、さっぱりした」
『ああ、とても気持ちが良いぞ』
「じゃあ、ブラッシングするね」
ジョンも、自分が騎乗している馬にブラッシングをしている。
団員たちが集まってきた。
みな、自分が騎乗している馬の世話をしにきた。
馬の世話をすることで、コミュニケーションをはかるようだ。
「おはようございます」
「「「おはよう」」」
エドが来たので「おはようございます。クリーンとブラッシングは終わりました」
「おはよう。水と餌やりはやるから、朝食を食べてきていいぞ」
「はい、ありがとうございます」
ジョンのところに行き、水と餌やりを手伝ってから、食堂に向かった。
朝食は、野菜スープとパンだった。
大きめにカットされた野菜とウインナーが入っていた。
子爵のいる屋敷には、5時30分に迎えに行く。
本来は、他人の屋敷で早朝に出発するのはよくないが、王都には期日までに到着しないとまずいので、失礼を承知で早朝出発となった。
迎えもスムーズにいき、今は門に並んでいる。
子爵閣下は、気疲れのせいか、ぐったりしているようにもみえた。
顔見知り程度の人と一晩過ごすのも疲れるのだろう。
順調に進み、明日には王都到着できる所まで来たが事件が起きた。
サーチに引っかかった。今度は魔物ではなくて人だ。
休憩しているようには、感じなかった。
地図上も赤いマークだ。
「前方に人がいます。人数は20人ほどです」
「盗賊か」
「たぶん、そうだと思います」
エドが合図を送る。
また、並走している騎士が近づいてきた。
「何があった」
「前方に人が20人ほどいるらしい、盗賊かもしれない」
「分かった」
今度は、反論されなかった。エドの言い方もあったのかな。
騎士は前を走っている騎士まで行き、説明しているようだ。
騎士が戻ってきて、「前方に20人ほど人がいる。盗賊かもしれん警戒せよ」
全体に緊張がはしる。
アレクたちにも教えないと。
『アレク、ベン、前方に盗賊がいるから、結界を張るね。だから、安心していいからね』
『分かった。助かる』
馬車にも二重結界を張る。
攻撃されたら倍返しにしてある。
エドが馬車の小窓から話しかける。
「お館様、前方に盗賊らしき人が20人ほどいます。注意してください」
「分かった。任せろ」
「お館様は、馬車の中にいてください。絶対に外には出ないでください」
「このまま走り抜けるんですか。それとも止まるんですか」
「ここで止まる。走り抜けて騎士たちと分断されるほうがまずい」
「分かりました」
「ここで、馬車を守ればいいんですね」
「ああ、そうだ」
「結界があるので、閣下が外に出ない限りは大丈夫なはずです」
「そうか」
森からわらわらと人が出てきた。
やっぱり、盗賊だったか。
馬に向かって矢が飛んできたが、キーンと音とともに矢が跳ね返される。
跳ね返った矢は、打った人に刺さる。
それからも、何本かは打たれたが、みな跳ね返されるので止めたようだ。
今のうちに、こっそりと盗賊たちが持っている毒や隠し武器を回収しておく。
武器にも毒が塗ってあるかもしれないのか。
じゃあ、武器にはクリーンを掛けておこう。
このくらいの手助けならば、バレないよね。
騎士たちも、どんどん打ち負かしていく。
それでも、盗賊たちの中にも強者はいるもんだ。
騎士とかなりの打ち合いをしている人もいた。
怪我をされたら困るので、騎士に結界を張る。
盗賊たちも負けを感じたのか、逃げ出そうとする輩もでてきた。
そうは問屋が卸さないぞ。
逃げ出そうとしている奴らには、『バインド』で拘束する。
ジタバタともがいているが、無駄な抵抗は止めるんだ。
私の拘束は、そう簡単にはとけないからな。
回収するのは面倒なので、プニュプニュの結界で包み、エアーでこちらに戻るようにした。
大の男が拘束されて、コロコロと転がされてくる様は、滑稽だね。
騎士たちも、討伐が終わったようだ。
盗賊の中には、死んだ者がいるが、仕方ない。
亡骸は、森に埋めるそうだ。
まあ、道に放置は出来ないからね。
騎士団長が馬車に近寄り「お館様、盗賊の討伐は完了しました」
子爵閣下が馬車から降りてきて「討伐ご苦労。怪我人はいるか」
「はっ、多少の怪我はありますが、問題ございません」
「そうか。無事で何よりだ」
「怪我人には手当をしてやれ」
「しかし、こいつらはどうするかな」
「縄で縛って、近くの町まで歩かせますか」
「仕方が無い。速度が遅くなるが歩かせるか」
盗賊たちからは、武器は回収して歩かせ、近くの町で引き渡した。
引き渡しの手続きも、時間がかかる。
まあ、仕方ないか。
場所はどこで、どんな風に襲って来たか、など色々と報告しなくてはいけないらしい。
それならば、始末して森に埋めてしまったほうが楽そうだ。
そこからは、問題なく進み。
無事に王都に到着した。
全員が一つの宿に泊まれた。
「ジョンとアンもお疲れ様」
「四日後に城に登城するから、そこまでは自由にして良い」
「但し、朝と晩には必ず戻れよ」
「帰る日程は、登城した後に決めるから」
「はい、分かりました」
「お疲れ様でした」
宿の部屋に入り、一息つく。
「やっと、王都だね」
人形ジョン『そうですね。魔物や盗賊がでて厄介でした』
「明日には、ギルドをまわる?」
人形ジョン『そうですね。早い方がいいでしょう』
「着替えはどうしようか。冒険者の服じゃまずいでしょ」
人形ジョン『そうですね。出来ることならば着替えた方がいいでしょう』
「どこか、ホテルを取る?」
「今から行くの」
人形ジョン『私が一人で行ってきましょう』
「えっ、ジョン一人で大丈夫なの」
人形ジョン『一人の方が目立ちませんから』
「そっか。認識阻害を掛けていってね。それから、結界もね」
「悪い奴は10m範囲に近寄れないようにしよう」
「マントは、上質な物を着た方がいいかもね」
「宿を出てから、チェンジしたほうがいいかな」
人形ジョン『では、行ってきます』
「気をつけてね」
30分ほどで、ジョンは戻ってきた。
「お帰り。どうだった」
人形ジョン『はい、スイートルームの予約を四日間取れました』
「四日も」
人形ジョン『子爵が四日までは、自由と言われていましたから』
「予約は問題なく取れたの」
人形ジョン『ええ、満室ではなかったようです』
「そうなの。それならば良かった」
「泊まらないのに、勿体ない気もするけれど、着替えなくちゃいけないし、仕方ないか」




