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第102話 イアン反省せず

今日は、一週間に一度のアリソン子爵邸で模擬戦をする日だ。

このルーティンにも慣れてきたが、いつまで続けるのだろう。


いつものように馬車でアリソン子爵邸に向かう。

門を通されて訓練場に行かず、応接室に案内された。

しばらく待っていると、アリソン子爵、騎士団長、副団長が入ってきた。

「やあ、アン、待たせたな。今日は話しがあってな」

「入って来なさい」

誰か紹介されるのかと思いきや、入ってきたのは、前回模擬戦の最中に後ろから襲ってきた奴だった。

「アン、この男が誰か分かるか」

「はい、もちろんでございます」

「アンから何か言うことはあるか」

「いえ、何もございません」

「ほう、そうなのか」

「はい」

「なんだ、残念だな。もっと色々と言うのかと思っていたが」

「別にございません」

「ふーん、論ずるに値しないというわけか」

「・・・・・」

「イアン、アンからしたらお前はその程度だということだ」

まったく、子爵は何がしたいのか。

私は、子爵の顔を見て、イアンの方は見ないようにした。

見る価値もないしね。

「イアン、お前からは何か言うことは無いのか」

「・・・」

「正直、納得は出来ません。俺は騎士でそいつは冒険者なのに」

「お前は、騎士は冒険者よりも強いと思っているのか」

「はい、そうです。騎士は毎日訓練していますし、貴族です」

「騎士のなかには、平民もいるぞ」

「それでも、騎士です」

「なるほど、お前は俺の事をそんな風に思っていたんだな」

「えっ、お館様は違います」

「なぜだ」

「だって、お館様は騎士でもありますし、貴族です」

「お前は馬鹿か。俺は今でも冒険者で元平民だ」

「えっ」

「なんだ、お前は知らなかったのか」

「つまりは、お前は俺の事も馬鹿にしていたってことだよな」

「いえ、そんなつもりはありません」

「ならば、どういうつもりだ」

「お館様とそいつは違います」

「だから、どう違うんだ」

「お館様は貴族で騎士団のトップですから」

「だから、さっきも言っただろう。俺は今でも冒険者で元々平民だって」

「アンと同じなんだよ」

「えっ、でも・・・」

「だいたい、冒険者より騎士の方が強いだなんて、お前の勝手な思い込みだ」

「冒険者の方が強い奴なんて、ゴロゴロいるぞ」

「いや、むしろ冒険者のほうが強い」

「なぜなら、冒険者は魔物討伐する頻度か多い」

「それに比べて騎士は、魔物討伐は偶にしかしないし、対人戦もあまりしない」

「まあ、そのほうが平和でいいんだがな」

「訓練だって、確かに騎士は毎日しているが、冒険者だってそれなりにはしている」

「冒険者は、訓練よりも実践のほうが多いからより身につくんだ」

「実際にアンの模擬戦は、団長や副団長とも、いい勝負になっているだろう」

「それは、団長たちが手加減をしているから」

「お前には、手加減しているように見えるんだ」

「だって、そうでなければ互角に戦えるはずがありません」

「たしかに、全力は出していないだろうが、手加減しているわけではない」

「それは、アンも同じだ」


「それに、冒険者が強いはずがないというならば、なぜ、同性のジョンを狙わなかった」

「いや、ジョンは男だし」

「男だからなんだ」

「いやですから、女のアンが対等に戦っているのは、ズルをしているからで」

「お前には、ズルをしているように見えるのか」

「それは、どんなズルだ」

「いや、それは、なんか魔法で」

「魔法で、なんだ」

「えっと・・・」

「お前の目は節穴なんだな」

「確かに、アンは身体強化ぐらいしているだろう。でも、それだけだ」

「まあ、身体強化も魔法といえばそうだが、女の子がガタイのいい男と訓練するんだから、それくらい当り前だろう」

「お前は、何だかんだ言い訳をしているが、要は女の子に負けたのが悔しくて納得できないだけだ」

「アンは、基礎もしっかりしているし、いくつもの型を知っている」

「どうして、それだけの型を使いこなせているのかは不思議だが、恐らくはジョンが指導しているのだろう」

「相当訓練しないと使いこなせないはずだ」

「お前だけが、訓練をしていると思うなよ」


「そんなに冒険者を見下しているならば、ギルドに頼んでやるから他の冒険者と模擬戦をしてみろ」

「まずは、ギルマスから、その次はA.B.Cランクとすればいい」

「お前は、俺を見下していたんだからな、本来ならば信用できない部下は必要ないんだが、チャンスぐらいは与えてやろう」

「はい、ありがとうございます」

「・・・・・」

「もういい、下がれ。今日からは罰として、見習いと同じ仕事をしていろ」

「えっ、どうして・・・、いえ、分かりました」

あーあ、イアンは最後の情けも無駄にしたようだ。


「はぁ、まったく、アンは意外と容赦ないんだな」

「そうですね。私の仲間ではありませんから、助けてあげる義理もなければ、教育する義務もありませんから」

「ふーん、それにしては、ギルマスには良くしているようじゃないか」

「まあ、多少の恩もありますし、あのギルドは信用できますから」

「そうなのか、他のギルドは信用できないのか」

「・・・・・」

「なんだよ。言えないのか」

「子爵閣下に答える必要はないかと」

「お前、不敬って言葉知っているか」

「プライバシーの侵害です」

「なんだ、そのプライバシーとかは」

「個人情報の保護です」

「はぁ、生意気な」

無言で、ニコリと笑っておく。


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