優秀看護師アルルで御座います。
その日、アレンは改めて自分が伴って帰って来た女性をシエルに紹介した。
「この女性は北の修道院から派遣されて来た看護師でアルルと言う。アルルは有能な看護師だ。私だけではなく、大勢の兵士を助けてくれたのだ」
アレンがそう言うと看護師である女性はにっこりと笑った。
さっきまでの厳しい顔付きとは違って笑顔が可愛らしい。
「修道院で怪我を負った兵士達の看護をしておりました、アルルで御座います」
燃える様な赤毛に大きな目。若いがしっかりした感じである。
小柄だが胸にもお尻にもしっかりお肉が付いている。
ちょっとぽっちゃり目。
「アルルはシエルよりも1つ下の20歳だ。しっかりしているから年上に見られるが、君よりも年下なんだよ」
アレンが言った。
「まあ、その言い方! 老けて見えるって事ですか? 私に失礼ですよね? 奥様」
アルルが頬を膨らませてシエルを見る。
シエルは頭を下げた。
「夫が失礼な事を言いましたね。……あの、有難う御座いました。アルルさんのお陰で旦那様が無事に帰って来る事が出来ました。本当に感謝いたしております。どんなに感謝しても足りません」
アルルは満足そうに頷く。
「アルルもこの屋敷に泊まって私の看護をする事になっているから宜しく頼む。アルルの部屋は私の部屋の近くにしてくれ。ステファン、急いでメイド達に部屋を整える様に伝えてくれ」
「はい」
「それで、……」
ちらりとシエルを見る。
「食事は暫く部屋で取る。君は私の世話をする必要はない。アルルがするから。君は今まで通りに食堂で取ってくれ。済まない。シエル。……今は君の顔を見るのが辛いんだ」
アレンはそう言った。
◇◇◇◇
アレンが帰還した3日後、兵達が帰還した。
彼等を労う宴が催され、兵達は給料と数日間の休暇を与えられた。
休暇が終わると、彼等はレナル川の堤防工事の仕事に行く事になっていた。
兵が出掛けて行って城はまた静かになった。




