説教で御座います。
このまま帰る。
アレンは馭者に言った。
「アレン様。教会は……」
アルルがおずおずと言うと、アレンはじっとアルルを見詰めた。
「教会を廻ってくれ」
アレンがそう言ったのでアルルはほっとした。
しかし、さっきの話は大変気の毒だった。私だって泣きそうだわ。
アルルはそう思った。
その悲しみを私が共有して差し上げたい。
聖母の心でアレン様を慰めてあげましょう。
シエル様では無くて私が。
これも看護師の仕事ですわ。
憐れみと愛情のこもった眼差しでアレンを見る。
教会に着くとアレンはアルルに言った。
「降りなさい」
「はい? 」
「アルルだけ行くんだ。私は屋敷に戻る。帰りは教会の者に送って貰えばいい。私の名前を出せば送ってくれる」
「私、一人で行くんですか?」
「そうだ。早く降りてくれ」
アルルはむすりとして馬車を降りた。
馬車がアルルを置いて走り出した。
アルルは去って行く馬車を見て「ちっ」と舌打ちした。
◇◇◇◇
屋敷に戻って来ると、アレンはすぐにステファンを探した。
ステファンを自室に呼ぶ。
「ステファン。どう言う事だ? シエルは死産だったのか? シエルの話と違う。どうしてちゃんと教えないんだ!」
ステファンを叱り飛ばす。
ステファンは冷静に返した。
「あまりにも辛いお話なので、旦那様のお怪我が良くなってから奥様がご自分でお話すると言う事だったので私は黙っておりました」
「良くなっても言わなかった」
「ゆっくりとお話をされる機会が無かったのでしょう。……旦那様はいつもアルル様とご一緒でしたし、奥様はお一人で領地の事々でお忙しかったので」
「あ……」
「お散歩さえもアルル様とされていましたので。奥様をお誘いすればきっとお話もできたでしょう」
ステファンの言葉にアレンは顔を歪めた。
「それに、最初に仰ったでは有りませんか。奥様の顔を見るのが辛いと。顔を見なければ話も出来ません。当然ですが」
「……それは、あの時は」
「旦那様もお辛かったかもしれませんが、奥様はその数倍もお辛かった事でしょう。……7カ月もずっとお腹の中に抱えて大事に慈しんで来た我が子が死んでしまったのですから。その悲しみをたった一人で乗り越えていらっしゃったのです。私は何度も奥様がお部屋で一人で嘆いていらっしゃるのを聞きました」
ステファンは静かに言う。
アレンはステファンを見詰めるばかりだ。
「はっきりと申し上げますなら、シエル様の命だって危なかったのですよ」
その言葉に雷に打たれた様に感じた。
「腕のいい産婆だからシエル様は助かったのです」
「シエルの命が……?」
茫然とする。
「そうです」
「……転んだと仰っていました。誰もが忙しくて、城外の人間も駆け付けて多くの人間がぱたぱたと動く中、廊下が濡れていたらしいです。豪雨が続いたから……。普段ならこまめに掃除も出来るのですが、多くの避難民に炊き出しが大変で。……それでちょっとお尻を付いてしまったと」
「それとも過重なストレスがお腹の赤子に毒になったのかも知れません。誰もが奥様の体を思い遣って気を付けていたのですが……。奥様がお子様を失われてしまったのは私が至らなかったせいで御座います。どうぞ恨むなら私をお恨みください」
ステファンは再度深々と頭を下げた。
無言の時が過ぎる。
「その産婆はどこに住んでいる?」
「街中に住んでいます」
「後で礼を言いに行こう。名前と住所を教えてくれ」
「分かりました」
「赤子は仕方が無い。シエルの命が助かって良かった。……ただ、それだけだ」
アレンはそう言った。
ステファンは深々と頭を下げた。
皆様、おはようございます。
ようやく土曜日です。
今日、お仕事の方もいらっしゃる事でしょう。
授業がある方も。
ご苦労様で御座います。
出勤、通学前の軽い息抜きに読んでくださると嬉しいです。
ちょっとした楽しみにしてくださるともっと嬉しいです。
エピソード名を変えてみました。
ちょっとうざいですかね? (笑)
言いたくないけれど、また来週から何とか生きていきましょう。
ひえ~。考えたくなーい。




