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好きな男のタイプは黒豹で御座います。

「アルル。君はシエルに何を吹き込んだ?」

アレンは聞いた。

「別に。大した事は言っていませんわ。ただアレン様のベッドで眠っていたら、突然怒り出したのです。だから、そんなに嫉妬深いから旦那様からお呼びが掛からないのですよって教えてあげただけです。奥様は欲求不満ですね」

「余計なお世話だ。そんな事を君に言われる筋合いはない。私が君を抱いたって言っただろう?」

「だって抱いたんですもの」

「それは嘘だ。何度も言った。有り得ない事だ。私は怪我で動けなかったのだから。

……君は私と妻の仲を壊したいのか?」

「あら? そんな事は御座いませんわ。平民の私にご領主様の妻の座はちょっと重いですからね。愛人で結構ですのよ? 私はアレン様をとてもお慕いしておりますから」

アレンはびっくりした。

慌てて返した。

「君に恋愛感情は無い。誤解するな」

「まあ。今更そんな事を言っても駄目ですよ」

「だからそれは君の誤解だ。君は看護師だ。だから私もつい頼ってしまった。妻に迷惑を掛けたく無かったんだ。忙しい妻に。だが、その考えは間違っていたと分かった」

「あんなに我儘を言って置いて虫のいい言葉だこと」

「……仕方がない」

アレンはむっとして言った。

仕方が無い?

アルルは笑った。



ふと真面目な顔になる。

「それよりも奥様の態度は問題です。……戦地で戦っている夫の苦労も、怪我をした兵士を看護する私達の苦労も知らないで、偉そうにしているあの態度。あれにはちょっとムカ付きます。領地で安全にのうのうと暮らしている、あの態度にですよ。シエル様、心が広いってアレン様は仰っていますけれど、それ、勘違いですよ。嫉妬深くて……」

そう言ってアレンの顔を見る。

はっとしてアルルは口を噤んだ。


「二度と言うな。今度言ったら即修道院に送り返す」

アレンは刺す様な目でそう言った。

アルルは背中がぞわりとする。

冷酷な黒豹の視線。

久々に見たわ。本当にしびれちゃう。

このナイフみたいな視線が好き。ぞくぞくするわ。

アルルの脳裏に敵をなぎ倒す黒い軍服姿のアレンの姿が浮かんだ。

無慈悲で冷酷な黒豹。

戦場でこそ輝くお方だわ。

窓の外を眺めるアレンの精悍な横顔をアルルはうっとりと眺めた。


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