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…………………………。
「…………………………」
……………………………………。
「……………………え」
段々と意味を理解したアリスは、茫然とした様子を見せた。
「……ベイ、しんじゃうの……?」
ふるふると瞳を揺らす彼女に、ベラウドは静かに言う。
「元々、ワタシはもう死んでいる身だ。今のワタシはとっくに死んでいる身体を無理矢理生きらせて動かしているだけ。死ぬ時は、直ぐに死ぬ」
「で、でも、今は大丈夫なんじゃないの……?」
「……いいや、もう、無理だろう。自分の身体の事は、自分が一番よくわかっている」
ベラウドの命は、本来なら五百年以上前にとっくに散っているはずだ。それを、森から供給されるエネルギーを貰うことで今日まで生きることが出来た。
しかし、それはただ置いた身体を誤魔化しているに過ぎない。
ベラウドの身体はとっくの昔に限界を迎えているのだ。たとえエネルギーが供給されていたとしても、老いた体には勝てない。
「……し、しんじゃやだ」
「…………」
「やだぁ」
逃れられない運命だと頭ではわかっていても、アリスには受け入れることが出来なかった。
泣きそうな顔でベラウドの身体に額を擦り付けるアリスを、ベラウドは愛おしげに見つめた。
「……お前は、会って間もないワタシの死を、悲しんでくれるんだな」
「だって、だってぇ――友達がしんじゃうの、やだもん……!」
「――お前はワタシを、友と呼んでくれるのか」
「……?ベイは、友達でしょ?」
まだ会って数時間しか経っていないのに。
戦いをけしかけたドラゴンだというのに。
それでも彼女は、アリスはベラウドを「友」と認めた。
(嗚呼、お前は本当に変わらない)
アリスの本質を最初から知っているベラウドは、何も変わらないアリスに心が暖かくなるのを感じた。
「…………おい、起きているだろう、ディア・フィアエナ」
突然目付きを鋭くし、アリスの後ろをベラウドは睨みつける。
そこにはこちらに背を向けて眠っているディアの姿があったが、ベラウドがそう言うと、ディアは億劫そうに起き上がった。
「……いつから気づいてたんだよ」
「アリスが起きた時点でお前も起きただろう」
「全部バレてんじゃねえかよ……ンで、なんだよ」
頭をガリガリと掻きながら、ディアは促した。
「……本当なら朝日が昇った時に話そうと思ったが、今話しておくべきだと思ってな。――この森から出た後のことを」




