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 考えた末、ディアはベラウドの元で一晩を明かすことに決めた。

 アリスの隣に腰かけ、彼女の身体をディアの方に倒す。ぽすっ、とディアの膝に頭を預けたアリスはうぅんと唸ったが、やがてすぅ、すぅと寝息が聞こえた。


 「……」


 「……ンだよ」


 「いや」


 何か言いたげなベラウドだったが、何も言わずに口を閉じた。

 少しして静寂が訪れたが、ぼうっと前を見ていたディアが口を開いた。


 「嗚呼、色々と冷静になったら、聞かなきゃいけないことを段々思い出してきたぜ」


 「まだ何か聞きたいことがあるのか?」


 「ありまくりだわ。千年経ってるとか、同族のこととかで意識の隅に追いやっちまってたが……応えろ。ここに来る前に戦ったあのデカブツ、あれはテメェが産み出したやつか?」


 ここに来る前に戦った石の巨人。まるで立ち会抱かるように退治したあの石の巨人とベラウドは関係があるとディアは踏んだ。

 その質問に、ああ、とベラウドは思い出したように言った。


 「そういえば言っていなかった。ああ、そうだとも。正確には、この迷宮(ダンジョン)の主がワタシとなる」


 「……迷宮?」


 「……知らないのか。ああ、いやわかった。知ろうともしなかったんだ、お前は」


 「あ?」


 若干馬鹿にしたようなベラウドの言い方にディアはムッとする。

 ベラウドはそんなディアを無視して話し始めた。


 「貴様がいた時代から、極稀に”洞窟”が作り出されるようになった」


 ――それは森の中、街の中、山の中と、場所問わずに突然出現した。

 当時出現したその”洞窟”に人々は困惑したが、その突然出現した”洞窟”を放っておくわけにも行かず、腕の立つもの達を派遣してその”洞窟”の調査を行った。

 結果的に判明したのは、その”洞窟”がモンスターの巣窟となっていること。”洞窟”によって構造が異なっており、至る所に罠が仕掛けられていたり、一度入れば二度と出られない迷路となっていたりと、その”洞窟”は人類の手には負えない程、凶悪なものだった。

 やがて人類はその”洞窟”を迷宮(ダンジョン)と呼称した。凶悪なモンスターが住み着き、危険な罠がそこら中に張り巡らされている危険な洞窟。差別化を図る為に呼ばれたその名はすぐに広まり、今では迷宮は腕の立つものしか立ち入りが禁止されている。


 「その迷宮がどうやって作り出されているのか、お前は知らないだろう」


 「知らねえ」


 「迷宮には、必ず”主”が存在する。人類はなんと言っていたか……ああ、ボス、と言っていたか」


 迷宮には、必ずその迷宮を牛耳る”ボス”がいる。

 迷宮はその”ボス”の意志によって作り出されているのを人類が知ったのは、ディアが封印されてから随分後のことだった。


 「……じゃあここを作ったのはテメェってことか?」


 「そうだ」


 「何のためにだよ。てかどうやって作ってんだよ」


 「……来る日の為に作った、今はそれだけしか言えない」


 ベラウドはそう言った後口を閉ざし、この件に関しては何も言わなかった。

 そんな曖昧な反応をされて納得がいかないディアであったが、ここで指摘して口論になって体力を消耗するのも馬鹿馬鹿しいので、話題を変えることにした。


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