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一瞬、何が起こったのかわからなかった。
モンスターを睨みつけていると、突然目の前が眩い光に包まれた。その瞬間モンスター二体の悲鳴が洞窟内に木霊したかと思えば、バタバタと慌ただしく足音が遠のいていく。
眩しい光に反射的に目を閉じてしまった為、一連の流れに何があったのか目視出来ていない。一体何が起こったのだと、ディアは光が治まった時に恐る恐る目を開けた。
「……あれは……?」
彼が目を開けた時、最初に飛び込んできたのは真っ暗な洞窟内で光る虹色の蝶だった。
赤、橙、黄などの色鮮やかな虹彩を持つ不思議な蝶が、ひらひらとディアとアリスの周りを飛んでいる。
「ちょうちょさんだ……!」
その一頭の蝶を見たアリスは嬉しそうにディアの身体から抜け出した後、蝶に向かって手を伸ばした。すると、蝶はアリスの指に停まり、パタパタと羽を動かす。
わぁい!と満面の笑みで蝶に頬を寄せるアリス。その傍らで、ディアは蝶を見てある既視感を抱いていた。
どこかで見た事がある気がする、と直前の記憶を遡らせると、その既視感の正体は直ぐに判明した。
(思い出した……!この蝶、このガキと一緒に来てたあの蝶だ!)
アリスとディアが出会う直前、ディアはこの虹色の蝶を目にしていた。あの時は草むらの揺れがモンスターだと警戒して、結局この蝶だった為すかしっぺを喰らってしまった為、よく覚えている。
その蝶が何故こんな洞窟にいるのだろうか。追ってきた?そもそもここはこの蝶の群生地?
「ちょうちょさん、なんでここにいるの?」
その疑問はアリスにもあったらしく、アリスは素直に蝶に聞いていた。
蝶は少しだけ羽をはためかせると、徐にアリスの指から離れて、ヒラヒラと洞窟の先へ進んでいく。暫く進んでいるとその場に止まり、ひらひらと八の字を描くように飛び始めた。
何やってんだアレ、とディアは蝶の行動が読めずに怪訝な顔になる。しかしアリスは違うらしく、ハッと何かに気づいた様子で立ち上がった。
「……来てって言ってるんだ……!」
「はぁ……?どういうことだよ……」
「わかんないけど、ちょうちょさんが付いてきてって言ってる!行こ、ディー!」
「おい!」と抗議するディアを無視して、アリスは蝶の方に向けて走り出した。仕方なくディアもついていく。
アリスに追いつくと、蝶がまた羽をはためかせながら前へ進んでいった。そしてまた暫く進むと、ひらひらとその場で八の字を描くように飛ぶ。
「ほら!やっぱりちょうちょさん、ありす達のことまってるんだよ!」
そう断言するアリスに、ディアは「……そう、みたいだな」と何も反論できずにいた。
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