プロローグ
毎日投稿継続目的の為、全話1000文字〜くらいの文字数感覚で投稿します。
お話によっては説明回が何話にも分かれてしまいます。ご了承ください。
――真っ暗な世界だ。己の足がついているのかも、天井があるのかも、そもそも己の身体自体があるのかすらもわからなくなってくる狂いそうな世界に、彼はずっといる。
あの憎たらしい賢者様にこの世界に封じ込められて、どれだけの時間が経ったのだろう。もう己がどれだけこの世界にいるのかすらわからなくなった程に、彼は永い間ここに閉じ込められていた。
誰も助けてくれない孤独な世界。別に孤独に寂しがるとかそういうことは全く起きなかったが、こうも永い間いると飽きが出てくる。そうすると、刺激が沢山ある『外』の世界に出てみたくなってしまうのだ。しかしそう願っても、この封印はそう簡単に敗れる程でなはく、すごすごと諦めてまた惰眠を貪るのがルーティンのようになっている。
嗚呼、己はこのまま一生、このつまらない世界で過ごしてしまうのか、と残念そうに思っていたその時、彼の視界が眩しい光で覆われる。
なんだ、と目元を手で覆って、そして疑問に思った。――どうして今まで真っ暗だったこの世界が、急に眩しくなったのかと。
慌てて手をどかして、輝きが強い方に目を向ける。――すると、彼の頭上に、まるでガラスにトンカチをぶつけたようなヒビが頭上に入っていることに気づいた。そしてヒビ割れた隙間から、光が漏れているのも視認する。
嗚呼、あの光は、紛れもなく己が渇望していた――『外』の光だと一瞬で気づいた彼は、考えるよりも先にその光に向かって手を伸ばしていた。