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第七十話 霊力制御講座③

※用語解説

増霊器ブースター:霊法の威力を増幅させる、術士にとっては必須道具。

・体内エネルギー:霊技を発動するには、二つの体内エネルギーが必要。

 一つは“生命力エネルギー”、もう一つが“霊力エネルギー”。

・生命力エネルギー:体力や筋力など、多くの訓練や経験によって積み上げられる体内エネルギー。

 略称、生命力。

・霊力エネルギー:“霊的エネルギー”そのもの。“霊法”の源になる体内エネルギーで、個人差が大きい。

 略称、霊力。


※謙一郎先生の戦闘システム講座!!

[その1 祓い士の戦い方 通常攻撃ver]

① 【あ! やせいの

  ラッコ型・樹属性中級悪霊が とびだしてきた!

  ゆけっ! ケンイチロウ!】

 ケンイチロウ:HP(生命力エネルギー)100%/RP(霊力エネルギー)100%。(元気いっぱい!)

 ※HP0%=死!/RP0%=“霊技”発動不可!

②【ケンイチロウは

  風の精霊手裏剣で 通常攻撃をくりだした!】

 ケンイチロウ:HP100%→90%/RP100%のまま。(霊技を使っていないので消費なし)

③【てきの ラッコ型・樹属性中級悪霊は たおれた!】

 ケンイチロウ:HP90%/RP100%。


【東京都港区 お台場海浜公園】


「ここでは、霊脈も含めて一から説明しよう。」

「一から口頭で説明しても、どうせ麻璃流先輩には伝わりませんよ。

 それより、さっきみたいに図を使って、シンプルに説明したほうがいいと思います。」

「そ、そんな……萌華ちゃん……

 褒めないでよ。照れちゃう!」

「まったく褒めてませんけどね!」


萌華のツッコミの叫びが鋭く炸裂した。


「そうだな。それじゃあ、これもさっきのRPG風の図で説明しよう。」


オレはスマホをスライドさせ、画面を見せた。


◆【術士の戦い方 〜霊法発動方法(遠距離戦闘ver)〜】◆

例:ケンイチロウが、「風の中級霊法 (ウインドブレイド)」を繰り出す。


①【あ! やせいの

  ハエトリグサ型・雷属性中級悪霊が とびだしてきた!

  ゆけっ! ケンイチロウ! まずは大剣(増霊器)に 霊法を込めるんだ!】

 ケンイチロウ:HP100%/RP100%。

②【ケンイチロウは 詠唱をはじめた!】

 「精霊よ 我が霊力を糧とし 風の力を与え賜え」

 ケンイチロウ:HP100%/RP100%。

③【風の精霊が召喚された!

  風の精霊は ケンイチロウに宿った!】

 ケンイチロウ:HP100%/RP100%。

④【風の精霊が ケンイチロウから霊力(RP30%)を 霊脈を通じて吸収した!

  風の精霊は ケンイチロウに 風の力(霊法)を与えた!

  ケンイチロウは 霊法発動が可能になった!】

 ケンイチロウ:HP100%/RP100%→70%。

↓ 

⑤【ケンイチロウは 霊法を 大剣に込めた!】

 ケンイチロウ:HP100%/RP70%。

⑥【ケンイチロウは 大剣から 霊法を発動した!】

 「ウインドブレイド!!」

 ケンイチロウ:HP100%/RP70%。

⑦【てきの ハエトリグサ型・雷属性中級悪霊は たおれた!】

 ケンイチロウ:HP100%/RP70%。


「うん!これはわかりますよ!

 さっきも言いましたけど、中等部の時は、あたしも“術士”として初級悪霊を祓ってましたので!

 萌華ちゃんもだよね!?」

「はい、そうです。

 いまでもやろうと思えばできます。」

「それは話が早くて助かる。

 じゃあ次は、祓い士の場合。」


そう言って、オレは再びスマホをスライドさせた。 


◆【祓い士の戦い方 〜霊技発動方法(霊斬ver)〜】◆

例:ケンイチロウが、「風の霊斬(風の叫び THE THIRD 鎌韋太刀)」を繰り出す。


①【あ! やせいの

  カメレオン型・影属性中級悪霊が たくさんとびだしてきた!

  ゆけっ! ケンイチロウ! 霊斬を発動するんだ!】

 ケンイチロウ:HP100%/RP100%。

②【ケンイチロウは 自身の霊力(RP10%)を 霊脈を通じて 風の精霊手裏剣の柄へ送り込んだ!

  ケンイチロウは 霊斬発動が可能になった!】

 ケンイチロウ:HP100%/RP100%→90%。

③【ケンイチロウは 霊斬を発動した!】

 「風の叫び THE THIRD!! 鎌韋太刀!!!!」 

 ケンイチロウ:HP100%→ 90%/RP90%。

④【てきの カメレオン型・影属性中級悪霊は たおれた!】

 ケンイチロウ:HP90%/RP90%。


「エネルギー消費面で見ると、霊斬の特徴は、HPとRPの両方を消費する点だな。

 んじゃ次、霊法。」


スマホを指先でスライドする。


◆【祓い士の戦い方 〜霊技発動方法(霊法ver)〜】◆

例:ケンイチロウが、「風の霊法 (風の叫び THE FOURTH 竜巻連風陣)」を繰り出す。


①【あ! やせいの

  ラッコ型・樹属性中級悪霊が たくさんとびだしてきた!

  ゆけっ! ケンイチロウ! 霊法を発動するんだ!】

 ケンイチロウ:HP100%/RP100%。

②【ケンイチロウは 自身の霊力(RP20%)を 霊脈を通じて 風の精霊手裏剣の柄へ送り込んだ!

  ケンイチロウは 霊法発動が可能になった!】

 ケンイチロウ:HP100%/RP100%→RP80%。

③【ケンイチロウは 霊法を発動した!】

 「風の叫び THE FOURTH!! 竜巻連風陣!!!!」 

 ケンイチロウ:HP100%/RP80%。

④【てきの ラッコ型・樹属性中級悪霊は たおれた!】

 HP100%/RP80%。


「これも同じくエネルギー面から見ると、霊法の特徴は、霊斬と違ってHPを消費しない。

 ただし、その分RPの消費量が多い点には注意が必要だ。……ということで、以上。

 これを見れば一目瞭然だろ。

 発動方法の違いについての説明は……いらないよな、麻璃流?」

「はいっ!」


麻璃流は元気いっぱいに返事をした。


──怪しい。


「……ちなみに、どこが違うか言ってみろ。」

「出てくる悪霊が変わってるところです!」


ズッコーーーンッ!!


オレは再び、盛大にずっこけてしまった。


「どこを見とるんだ、お前はっ!」


一喝。

だが麻璃流は、まるで子どものような無邪気な笑顔で、はしゃいでいた。


「……はあ。

 萌華、お前は分かるか?」

「……バカにしないでもらえます?

 術士の場合、精霊が術士から必要な霊力だけを、霊脈を通じて吸い取ってくれている。

 それに対し、祓い士の場合は、自分で制御(コントロール)して必要な霊力だけを、霊脈を通じて柄に送らないといけない。」

「その通りだ。

 まとめると──祓い士の霊技と術士の霊法、その“発動方法”の違いは、“霊力制御の有無”にある。

 術士が霊法を使う場合、霊力の制御は必要ない。なぜなら、精霊が自動的に必要な分だけの霊力を吸収してくれるからだ。

 それに対して祓い士は、霊技を発動する際に、霊力を自ら制御する必要がある。

 つまり、正確な霊力量を、霊脈を通じて、柄に供給しなければならない。

 そして、その霊力に応じた威力・範囲の霊技を大精霊が発動する──というわけだ。」

「……発動の主体も違ってますよね?」

「おっ、萌華!いいところに気がついたな!

 そう、術士の霊法発動の主体は、あくまで術士自身。

 精霊が術士から霊力を吸収し、風の力 (霊法)を与え、術士が霊法を発動する。

 一方で、祓い士の霊技発動の主体は、大精霊!

 祓い士は、柄に霊力を供給するだけ。

 その霊力を使って、大精霊が霊技を発動するんだ。

 だから、たとえ同じだけの霊力を消費したとしても──

 術士の場合は──人間が放つ、精霊の力を借りた霊法。

 祓い士の場合は──大精霊が放つ、人間の力を借りた霊技。

 ……根本的に、仕組みがまるで違うんだよ。」

「……ちなみに麻璃流先輩、ここまでついてこれてます?」

「うん!

 簡単に言えば、霊力制御っていうのは──

 術士は精霊がやってくれる!祓い士は自分でやらなきゃいけない!

 発動の主体は──

 術士は術士!祓い士は大精霊!……ってことだよね?」

「……そう、それです!

 発動方法がこれまで(中等部のとき)とはまるで違ってくるから、“霊力制御訓練”が必要になってくるというわけですよね?」

「その通り。

 繰り返しになるが、上級悪霊の身体や悪霊玉は、中級に比べてはるかに硬い。……ってことは、必然的に求められる霊力も増えてくる。

 つまり、柄に込める霊力も、悪霊の強さや数に応じて増やさなきゃならないってことだ。

 最後の図で示した霊法verの場合──中級悪霊が複数に対し必要な霊力は、およそ20%だった。

 じゃあ、上級悪霊が複数の場合は?

 もちろん、上級にも個体差はある。中級寄りの“弱めの上級”もいれば、超常級に近いヤバいのもいる。

 数によってもまた変わってくるが、ざっくり言えば──必要霊力は倍の40%くらいは見積もっておいた方がいい。

 そして──さっきも言ったように、柄に流し込んだ霊力量によって、霊技の威力や範囲が決まる。

 もしうまく制御できなければ──

 霊技が暴発して周囲に被害を与えたり、すぐに霊力が尽き、霊技が使えなくなって、自分の身が危うくなったりする。

 ──というわけで、いよいよ重要なラスト。

 ④“霊力制御”の仕方についてだ。」

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