第五十八話 第一回戦・3on3
【注意!!】
※今話は、国立十文字学園高等部八戸校祓い科二年、佐藤銀河の視線に戻ります。
第一回戦 3on3(3人制バスケットボール)
ルール
・総当たり戦(同率の場合、代表者によるフリースロー10本勝負で勝敗を決める)
・チーム構成:1チーム3名
・試合時間:10分(同点の場合、代表者によるフリースロー10本勝負で勝敗を決める)
・得点:2Pライン内側、フリースロー=1点。2Pライン外側=2点
・ショットクロック:12秒
・ファウル:7回で相手チームにフリースロー2回。10回でフリースロー2回と攻撃権が与えられる
・精霊刀剣の使用は禁止(当たり前)
【国立十文字学園高等部東京校 六階 体育館】
「牙恩!ボールちょうだいっ!」
「そうはさせませんわっ!!」
刹那さんの鋭いディフェンスが、牙恩からおれへのパスコースを完全に封じる。
「くそっ!パスできないっ!
なら……1on1で勝負だ!」
牙恩が巧みなドリブルから、鋭いクロスオーバーで強引に切り込む。しかし──
「がはっ!この感触……!?刹那さんの……やわらか……っ!!」
刹那さんとの接触と同時に、牙恩は鼻血を噴いて崩れ落ちた。
“おっぱいディフェンス”により、牙恩、戦闘不能。
ボールは刹那さんの手に渡る。
「残り20秒!いきますわよっ!」
「させるかっ!」
おれは急いで刹那さんの前に立ち塞がる。
スコアは同点。残り時間はあとわずか。
次の得点が、そのまま勝敗を決めるかもしれない──!
「シューーーット!!」
「打たせるかっ!!」
おれはシュートブロックを試みる──が、
むにゅっ♡
あれ?このボール……やけに柔らかいような……?
「ダ、ダーリン!?それはボールじゃありませんわっ!?」
「え……?あわわっ!ご、ごめんなさい!!」
おれはボールと間違えて、刹那さんの胸を掴んでしまっていた。
互いに顔を真っ赤に染め、恥ずかしさのあまりその場に崩れ落ちる。
“おっぱいボール”により、両者、戦闘不能。
ボールは天嶺叉さんの手に渡る。
「残り時間は……10秒!」
「来いっ!!」
立ちはだかるのは謙一郎さん。
「ドライブか?パスか?……それともシュートか!?」
謙一郎さんは相手の動きを予測するため、天嶺叉さんの目をじっと見つめている。
その眼差しに気づいた天嶺叉さんは、みるみる赤面していき──
ついには顔から頭のてっぺんまで真っ赤に染まり、「ボンッ!」と音を立ててその場に崩れ落ちた。
謙一郎さんの“ガン見”により、天嶺叉さん、戦闘不能。
ボールは謙一郎さんの手に渡る。
向かい合う、謙一郎さんと麻璃流。
残り時間は……5秒!
「お願いします!謙一郎さん!」
「お願い!麻璃流さん!」
──この瞬間、チームの運命を背負う二人が、最後の対決に挑む。
謙一郎さんは、左腰に携行していた剣の鞘から、十字型の柄を引き抜く。
「行くぞ!!!隼風丸!!!」
風の大精霊・隼風丸を召喚。
柄が、風の精霊手裏剣へと姿を変える。
「チームの勝利のため、絶対に決める!
風の叫び THE FIFTH!!
直線風!!!!」
謙一郎さんの足元に“風の三角形型霊法陣”が形成され、真下から噴き上がる上昇風が自身の体を持ち上げ、体育館の天井を突き破るかのような勢いで垂直に宙へと舞い上がる。
「うわぁぁぁぁっ!やっぱそれ、楽しそう!……って、言ってる場合じゃなかった!
そう来るかっ!ならばこちらも!
よ〜し!燃えてきたーっ!!」
すると今度は麻璃流が、背中に携行していた剣の鞘から、柄を引き抜いた。
「来なさい!!!水青龍!!!」
水の大精霊・水青龍を召喚。
柄が、水の精霊分離剣へと姿を変える。
「チームのために、このゴールを……死んでも守り抜いてみせる!
水の叫び THE SECOND!!
水円陣!!!!」
麻璃流の足元に“水の円形型霊法陣”が形成されると、バスケットゴール全体を包み込むように、水のドーム状の結界が展開された。
「そうきたか!ならばもう一度!直線風!!」
謙一郎さんの頭上に再び“風の三角形型霊法陣”が出現。
今度は真上から吹き下ろす下降風が発生すると、リング目掛けて一気に急降下していく。
「うおおおおおおおおおおっっっ!!」
「はああああああああああっっっ!!」
──ドシャッ!!
空中から高速で突っ込む謙一郎さんと、麻璃流の展開した“水の結界”が衝突した。
「ぶくくくっっ……!」
「うがががっっ……!」
結界の強烈な水圧に、謙一郎さんの動きが鈍る。
全身で結界に突っ込んだ謙一郎さんは、水膜に溺れかけながらも、風の力を削がれまいと踏ん張っていた。
──拮抗。
だが、次の瞬間──
「ぶくくくがあああああっっ!!」
謙一郎さんが叫びとともに、水の結界を突き破り──
──ガンッ!!
スラムダンクが炸裂した。
「やったああああああ!!」
俺と牙恩は抱き合い、勝利を確信したその瞬間──
「ピーーーッ!!」
体育館に響き渡る笛の音。
「え!?まさか……間に合わなかった!?」
慌ててタイマーを見ると、残り時間は……0秒。
全員が審判──愛淫主審に視線を向ける。
そして、愛淫主審は腕を上げてこう宣告した。
「両チーム──
精霊刀剣の使用により、失格!」
『え……?』
八戸校、神戸校、両チームの選手全員が凍りつく。
静まり返る体育館に、ハイテンションな声が響き渡った。
「さあて!始まりました!
祓い科のNo.1チームを決める、祓い科の祓い科による祓い科のための大運動会!!」
マイクを握り、絶叫しているのは白亜先生。
「解説はわたくし、祓い科の担任、夜太刀白亜がお送りいたします!!
しかし、早速の第一回戦、3on3──
なんと、両チーム失格ーーーっ!!!
誰がこの結末を予想できたというのか!? これはまさに、波乱の幕開けだーー!!」
『・・・』
テンションMAXな白亜先生をよそに、ステージ上で観戦していた東京校チームの選手たちは、ただただ唖然としていた。
「それでは、一位となった東京校チームのみなさんに感想を聞いていきましょう!
まずは、キャプテンの山本桜蘭々さん!」
マイクを向けられた桜蘭々さんは、淡々と言った。
「ルールをちゃんと聞いていなかったのか、あの者らは……
ともあれこれが、“戦わずして勝つ”ということですね、白亜先生」
「えっと、うん、そういうこと……になるのかな?
うん!きっとそういうことでしょう!!たぶん!
さあ、続いては中村是隠くん!」
是隠は、静かに頷きながら言った。
「失格を恐れず、全力で戦う
……そうか、これが青春」
「えっと、うん、そうだね!これも青春だーーーー!!
じゃあ最後に、小林萌華さん!」
萌華さんはニコリと微笑んで一言。
「はい、“バスケ対決”というより、“バカ対決”を観戦しているようでした♡」
「なんという毒舌ーーーー!!
これが、本当の“毒の叫び”というやつなのかーー!!」
こうして、白亜先生の思いつきから始まった突発イベント。
その名も──
“青春だよ!全員集合!大運動会!”
その第一回戦・3on3は、八戸校チーム、神戸校チームの両チームとも失格から始まるという波乱の幕開けになるのであった。
【ホワイトボード】
⭐︎⭐︎⭐︎青春だよ!全員集合!大運動会!⭐︎⭐︎⭐︎
全三回戦による総合ポイント制
第一位:3pt
第二位:2pt
第三位:1pt
種目発案者(くじ引きにより、各チームから一種目を採用)
・東京校チーム:桜蘭々「総合格闘技」/是隠「3on3 」/萌華「ダンス」
・八戸校チーム:謙一郎「マラソン」/銀河「テニス」/牙恩「AX」
・神戸校チーム:刹那「フィギュアスケート」/麻璃流「大食い競争」/天嶺叉「かくれんぼ」
第一回戦 3on3
第一位:東京校チーム(不戦勝) 3pt
第二位:無し
第三位:無し
失格:八戸校チーム・神戸校チーム 0pt
第二回戦
第一位:
第二位:
第三位:
第三回戦
第一位:
第二位:
第三位:
総合順位(暫定)
第一位:東京校チーム 3pt
第二位:八戸校チーム・神戸校チーム 0pt
第三位:
♡優勝賞品♡
超高級焼肉or寿司食べ放題(銀座or六本木)
みんな大好き♡白亜先生からの奢りだよ♡キャピキャピ♡