第三十六話 狂人
戦闘後掛け合い集……
といえば有名なのはテイルズオブシリーズですが、新作のリーク情報でてましたね!
その名も……
「テイルズオブオディシア」!!
・・・
アライズみたいにPS4でもだしてくれるかな……
【東京都千代田区 東京駅丸の内駅前広場】
「はっ……!
オレは……一体、ここでなにをしているんだ……?」
謙一郎さんが、ようやく正気を取り戻した。
「大丈夫ですか、謙一郎さん?
どこか痛いところはありませんか?」
「あ、ああ……体は特になんともないが……
それより……なんでオレの制服、こんなにボロボロなんだ?」
「さ、さあ…… な、なんででしょうね……?」
謙一郎さんは、“Phase2:ドMモード”中の記憶を、まったく覚えていないようだった。
これまでに何度か、あのモードを目にしてきた。
そこから判断するに──
どうやらあの状態は無意識に発動し、一度突入すれば一定時間が経過するまで解除されないようだ。
もし今ここで、何があったのかを伝えてしまい、記憶が戻ってしまったら……
また、“ドMモード”に逆戻りしてしまうかも。
それだけは、絶対に避けたい。
だからここは……黙っておこう。
「ほらっ!天嶺叉からだよっ!!」
「う、うぅ……
本当に今回もやるんですか……?」
「もっちろんっ!
昨日、夜遅くまで一生懸命考えたんだから!
だから、ねっ?お願いっ!
せっかく観客もいるし!」
「……それで、麻璃流さん
今朝の集合時間に遅れてきたのですね……
天嶺叉さんが慌てて起こしに行っていなければ、完全に新幹線に乗り遅れていましたわよ?」
「えへへ♪ すみません、刹那さん!
でもギリギリセーフだったし、結果オーライってことで!
──ってことで! お願い、天嶺叉っ!」
神戸校の三人が、なにやらコソコソと相談している。
すると──それは突如、始まった。
「うぅ……
せ、世界三大美女に、負けず劣らずの美貌を持つだけでなく……!」
「強さも兼ね備えた!!」
「それが、わたくしたち──!」
『神戸美少女三姉妹!!』
三人はそれぞれ精霊刀剣を掲げ、ビシッと決め、ポーズを取った。
「“戦闘後に、仲間たちと掛け合いをする”
……そうか、あれが青春」
「あれは、“世界三大バカ”っていうんですよ、是隠先輩
はぁ……桜蘭々様、どうやらこの祓い科でまともなのは、わたしと桜蘭々様だけのようです……」
「ふふふ♪
神戸校の三人も、仲が良さそうで微笑ましいではないか♪
あれが、“戦闘後の掛け合い”というやつか
知識はあったが、やったことがなくてな……
どれ、妾たちも今度やってみるか!」
「えっ……?は、はいっ!!
名案でございます、桜蘭々様!!
セリフはぜひ、この萌華にお任せください!!
神戸校に負けない、最高の掛け合いを──必ずやご用意いたします!」
「……相変わらず、なんて変わり身の早さだ」
今度は東京校の三人が、なにやら楽しげに雑談している。
「やった!!
どうやらうまくいったみたい!♪
さすがあたし!!」
「うぅ……めちゃくちゃ恥ずかしかった……
それに、“人は第一印象が九割“って本には、人間関係は最初の印象で決まるって書いてあったのに……
これ、最悪な第一印象になってませんかね……?大丈夫でしょうか……?」
「大丈夫ですよ、天嶺叉さん
そんなに心配しなくても
──ほら、あそこをご覧なさい!」
刹那さんが指差した先は──
おれと謙一郎さん。
「か……か……かっこいい!!」
「いいな、あれ!!
勝利戦闘後の掛け合いか!!
よし、銀河!!
オレたちも今度やってみようぜ!!」
「いいですね!!やりましょう!!」
そう──
おれと謙一郎さんは、目をキラキラさせながら大興奮。
気づけば、盛大な拍手までしていた。
戦闘後の掛け合い。
まるで、ヒーローの決めポーズのようで──
神戸校の三人が、とてもかっこよく見えたのだ。
「みなさま、ご機嫌よう!
その制服……どうやらわたくしたちと同じ、祓い科のようですわね!
わたくしは神戸校三年、田中刹那と申します
そしてこちらが、二年の渡辺麻璃流さん
こちらが、一年の伊藤天嶺叉さん
どうぞ、よろしくお願いいたしますわ!」
「よろしくおねがいしますっ!!」
「よ、よろしくお願いします……!」
刹那さんは、ヨーロッパの伝統的な挨拶“カーテシー”のように──
スカートの両端を上品につまみ、片足を後ろに引いて、優雅に一礼した。
それに続き、麻璃流さんと天嶺叉さんも、お辞儀をして挨拶を交わす。
「こちらこそ、よろしく頼む
妾は東京校三年、山本桜蘭々
こっちが、二年の中村是隠
そして、一年の小林萌華だ」
「よろしくお願いします」
「ちゃーす」
東京校の三人も、それぞれの調子で挨拶を返した。
「お久しぶりです、桜蘭々さん!
お会いするのは……高等部の入学式以来ですわね!
あのとき、あなたひとりだけ雰囲気……いえ、オーラがまるで別格でしたから、きっとなにかしらの大精霊に選ばれるだろうと、そう思ってはおりましたが……
それが今や、“学園最強の祓い士”とまで称される存在に……!
本当に、さすがとしか言いようがありませんわ!」
「君の活躍も、白亜先生から予々
こうしてまともに話すのは、これが初めてだな
たしか君は、“氷の精霊両刀”に選ばれた直後、すぐ神戸校に配属されたはず……
あの頃は、お互い言葉を交わす暇もなかったからな」
刹那さんと桜蘭々さんが、どこか懐かしそうに語り合っている。
その様子はまるで、かつてのライバル同士が再び顔を合わせたかのように──
互いへの敬意と誇りが、静かに伝わってくるようだった。
互いの背負ってきたものと、積み重ねてきた時間が──
その静かな言葉のひとつひとつから、確かに伝わってくる。
「入学式って、新入生の紹介とかって、ないんですか?」
おれは、隣の謙一郎さんにそっと尋ねた。
「ん?ああ、そうか
銀河は入学式、出てなかったんだったな
高等部の入学式は東京校で行われるって、授業で話したの覚えてるか?」
「はい
そこで、“精霊刀剣の儀”が行われて──
大精霊に選ばれた人は祓い科へ、選ばれなかった人は精霊科へ、自動的に配属されるんですよね?」
「ああ、そうだ
まあ、入学式っていっても、実際は“精霊刀剣の儀”がメインだ
建前だけの形式的な式典で、儀式こそが本番ってやつだな
儀式は体育館でやるんだが、まず新入生全員がそこに集められて、五十音順に名前が呼ばれていく
一人ずつステージに上がって、まだ持ち主が決まってない精霊刀剣の柄に順番に触れていくんだ
そこで、大精霊に選ばれた者だけが、柄の精霊玉を変色させる
そして、選ばれたら祓い科、選ばれなければ精霊科──そういう流れだ」
「へぇぇ……
五十音順ってことは、三年生の場合だと──
高橋謙一郎さん、田中刹那さん、山本桜蘭々さんの順に儀式を受けたってことですね
だから、刹那さんは“氷の大精霊・白氷狼”に選ばれたあと、すぐ神戸校に配属されたから……
その後で、桜蘭々さんが“雷の大精霊・白雷虎”に選ばれたのは、知らなかったってことか!」
「その通り
オレより前に呼ばれたやつらは、みんな精霊刀剣の使い手には選ばれなかった
で、オレも精霊刀剣の儀が終わった後は、すぐに仙台校に向かわされたから、その後のことはまったく知らなかったんだ
ただ、桜蘭々は……さっき刹那が言ったように、最初から別格のオーラを放っていたから、きっとなにかしらの大精霊に選ばれるだろうとは思ってた」
「なるほど、そうだったんですね……
つまりは、刹那さんも桜蘭々さんも、そして謙一郎さんも、こうしてちゃんと話すのは、今回が初めてなんですね?」
「ああ、そういうことになるな
ちなみに、オレたちの代に用意されていた精霊刀剣は──
・氷の精霊両刀
・雷の精霊長刀
・風の精霊手裏剣
・毒の精霊短刀
・水の精霊分離剣
の五本
で、当時の八戸校には、火の精霊刀の使い手と、地の精霊大剣の使い手の二人がいて、
東京校には、樹の精霊双刀の使い手が一人
神戸校には、影の精霊双短刀の使い手が一人いた
だから、人数が少なかった神戸校に刹那が配属されたってわけだ」
「へぇぇ……そういうことだったんですね……」
──八戸校にいた、火の精霊刀の使い手。
それは──金翔兄さんのことか。
「──ということは、そちらの残るお二人が、八戸校の方ですね」
刹那さんがこちらに近づいてくる。
「ああ、オレは三年の高橋謙一郎
こっちが二年の……」
「佐藤銀河です!よろしくお願いします!」
おれと謙一郎さんはそろって頭を下げた。
「あら……?まあ……!
あなたがあの有名な、高橋心二さんの……!」
刹那さんの目がぱっと見開かれる。
「中等部の頃、少しばかり心二さんにお世話になりまして……
まさかこんなところで弟様にお会いできるなんて、光栄ですわ!」
その言葉に、刹那さんは軽やかにカーテシーのような仕草をして微笑んだが──
「・・・」
謙一郎さんはうつむいたまま、何も答えなかった。
「ところで、八戸校は二人だけか?
もう一人いると、白亜先生から聞いているが」
桜蘭々さんから尋ねられる。
「あっ……!」
「そうだ……!あいつはどこいったんだ!?」
「たしか、あっちの方で戦っていたはずです!」
おれは慌てて、牙恩がいた方角を振り返った──その瞬間だった。
視界の端に、光るものが走った。
「っ……!?
刹那さん、危ない!!」
「えっ……?きゃあああああっ!!」
上空から突然、雷弾が飛来。刹那さんを直撃しようとする──!
だが、寸前で誰かが飛び込み、彼女を抱きかかえた。
「おっと、セーフ……大丈夫ですか、お姫様?」
間一髪のところで、刹那さんを救出したのは──牙恩だった。
「え、ええ……ありがとうございます……
助かりましたわ……あれ……?
あなたは確か……」
「はい
あなたの──
王子様でございます」
「え……?」
牙恩は、いつの間にか“怒りモード“に飽きて──
“王子様モード”に変わっていた。
「おいおい、またかよ……
あそこだ!!」
何かを見つけ、謙一郎さんが指さした先。
空一面に広がるのは──
鳥型の悪霊たち。それも、およそ500体。
編隊を組むように整然と空を飛びながら、こちらへ迫ってくる。
「……やはりそうか」
桜蘭々さんがぽつりと呟き、周囲を鋭く見回し始めた。
「ふっ……!やはりな」
桜蘭々さんは東京駅の方向に目を向け、何かを見つけたらしく、口元にうっすらと笑みを浮かべた。
その傍らでは──
「姫様、どこかお怪我はございませんか?」
牙恩が、まだ抱きかかえていた刹那さんを見つめて問いかけた。
「え、ええ……このくらい、平気ですわ」
「そうですか、それは良かっ……」
突如として、牙恩は刹那さんを手放した。
「えっ──?きゃっ!」
──ゴンッ!!
背中から地面に落ちた刹那さんは、そのまま後頭部を打ちつける。
「いったっ……!?
ちょ、ちょっと!なにをなさるんですの!?」
刹那さんが、怒りの表情で牙恩を睨みつける。
「……朕は飽きた」
「は、はい……?」
「朕は、王子様るの、飽きた」
「な、なにをおっしゃって──」
「くっくっくっ……♪
だぁーーひゃっひゃっひゃっひゃっ!♪
たぁーーのしくなってきたぁぁーーーー!♪!♪」
牙恩は突然爆笑し始め、その場でステップを踏みながら踊り出した。
「な、なんだあれは……!?
あれは一体──
“何モード”なんだ!?」
それは──
おれも初めて見る“モード”だった。
牙恩と出会って、まだ二ヶ月あまり。
正直、おれにも、牙恩の“モード”が全部でいくつあるのかなんて、把握しきれていない。
「あ、あいつは……!?」
萌華さんが牙恩を見た途端、ぶるぶると震え出した。
その顔には、明らかな恐怖の色が浮かんでいた。
「どうした、萌華?知り合いか?」
隣の桜蘭々さんが問うと、萌華さんはぎこちなくうなずいた。
「は、はいっ!桜蘭々様……!」
牙恩を睨むように見つめながら、萌華さんは震える声を絞り出す。
「まさか……まさか、あいつが精霊刀剣の使い手に選ばれていたなんて……!
ありえない……信じられない……!
あいつは……あいつは──!」
萌華さんは、震える声で叫んだ。
「中等部時代、前代未聞の問題を起こしまくり──
最終的には精霊省に呼び出しまで食らった、スーパー問題児!!
その名も──
“狂人牙恩!!”」
※キャラクター紹介
プロフィール追加
名前:鈴木 牙恩
一人称:王子様モード時。「朕」
髪型:黒色・短髪(現時点)
(飽きっぽい性格のため、髪型もコロコロ変わる(前回はマッシュヘアだった))
服装:上下制服
上衣:紺色ブレザー(ボタン3つ)
前のボタンはかけずに全開
白色Yシャツ
国立十文字学園の校章入りの紺色ネクタイ
下衣:紺色ズボン
靴:ブラウン(茶色)の革靴