第二十七話 学園最強
みなさま、お正月はいかがでしたでしょうか?
わたしは実家で食っちゃ寝の寝正月を過ごしました汗
気持ちを切り替え、みなさまに楽しんでいただけるように2025年も頑張って書いていきます!
【東京都千代田区 東京駅丸の内駅前広場】
悪霊の軍勢が、東京駅構内から現れたひとりの少女に気づいた瞬間——
その突進速度をさらに上げ、一直線に彼女へと迫っていく。
「ま、まずいっ……!そこの人っ、危険です!!
すぐに中へ避難してください!!」
おれは声を張り上げ、必死に叫んだ。
だが、彼女は微動だにせず、まっすぐ敵を見据えたまま、堂々と仁王立ちしていた。
──あれ……?
あの子が着ている制服……おれと同じ、十文字学園の制服……?しかも、“祓い科”の……!
まさか、彼女も——
彼女は悪霊の群れが目前に迫っているというのに、慌てる様子もなく、静かに右手を腰へと伸ばし、何かを取り出した。
それは──“柄”
おれが持つ“火の精霊刀” のものより、少し長めのそれだった。
「柄……?
ってことは、やっぱり——」
彼女は、鋭い眼差しで悪霊たちを見据える。
そして次の瞬間、全身に雷の気配を纏わせながら叫んだ。
「出ろ!!白雷虎!!」
その名を叫んだ瞬間——
彼女の体内から轟雷が炸裂し、全身を駆け巡った電流が一気に放たれる。
まばゆい雷光が天へと奔り、空を引き裂くように炸裂する。
「ーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
先ほどまで晴れ渡っていた東京の空が、一転して暗雲に覆われる。
瞬く間に雷雲が渦巻き、天地が震えるような轟音が街を揺るがす。
そして、その雷雲の中心から咆哮とともに姿を現したのは、雷そのものが虎の姿を取った、巨大な獣であった。
威圧感に満ちたその巨大な雷虎の気迫に押され、突進していた悪霊の群れが一斉に足を止めた。
やがて、雷虎は彼女の手に握られた柄へと吸い込まれていく。
すると、透明だった精霊玉が“黄色”へと変色。
次の瞬間──
柄から雷鳴が轟き、奔る雷が空間を引き裂く。
暴れる電流は一点に収束し、“雷の刀身”を形作る。
迸る雷が鍛鉄のごとく凝縮され、“柄”と“雷の刀身”を合わせたその長さは、彼女の背丈をも超える“長刀”となった。
「あれが──“雷の精霊長刀”……!」
思わず、白亜先生の言葉が脳裏に蘇る。
『まずは東京校から!最初に、三年の山本桜蘭々ちゃん!
“雷の精霊長刀”の使い手で、どんな子かっていうと……うーん、そうだな
思いきりがよくて、豪快な子かな!』
あの人が──“何でも派手にぶっ壊すこと雷獣の如し”で有名な……
“学園最強の祓い士” と噂される、“雷獣の桜蘭々”!?
そう確信した、次の瞬間──
彼女は静かに、しかし威圧感を帯びながら——
雷の精霊長刀を、ゆっくりと上段に構えた。
その動作ひとつで、空気が変わる。
雷が、世界が、彼女にひれ伏すかのように。
「雷の叫び THE SEVENTH!!」
長刀が振るわれ、空間を切り裂くように星の軌跡が描かれていく。
彼女の前に形成されたのは巨大な──
”雷の星形型霊法陣“
直後、霊法陣はみるみる巨大化していく。
そして、次の瞬間──
軍の指揮官が軍勢に一斉射撃を命じるように、彼女は片手で長刀を前へと突き出した。
「千本桜雷!!」
霊法発動の刹那。
”雷の星形型霊法陣“が黄色に輝くと、そこから放たれるのは──
数百……否、“千”という単位に届きうる、雷刀の一斉発射。
怒涛の勢いで悪霊の群れへと放たれ──
一瞬にして──
戦場が“黄”に染まった。
ピシャアァァンッ!!ゴオオオオオッ!!ゴロゴロゴロゴロォッ!!!
天と地の全てを巻き込むかのような雷鳴が轟き、広場そのものが振動する。
千の雷刀が悪霊たちを貫いた瞬間、その肉体は塵と化し、霧散していく。
パキィンッ!パキィンッ!パキィンッ!
甲高い破砕音が次々と鳴り響き、悪霊たちは悲鳴すら上げる間もなく“悪霊玉“が砕け、祓われていく。
「す……すごい……!」
気づけば、おれは声に出していた。
それほどまでに、彼女の一撃は——
圧倒的だった。
これが──“学園最強の祓い士”
その名は、決して嘘でも、誇張でもなかったと、今この瞬間に証明された。
たった一撃。
あの攻撃ひとつで、200を超える悪霊の軍勢が——
跡形もなく、消滅したのだから。
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