表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
銀河の叫び 〜悪霊となったあなたを精霊刀剣で祓います〜  作者: 十文字 銀河
《序章 精霊刀剣》【選ばれし子どもたち編】
11/104

第六話 水の精霊分離剣

※用語解説

・霊気:霊的存在から自然と発せられる気配や雰囲気。

 周囲に「何かがいる」と感じさせる霊的な空気感。

 人はかつて、霊気をこう呼んでいた──“霊感”と。

 しかし、精霊の存在が明らかになると、“霊気”へと改名された。

 人間でいう“覇気”のようなもの。

(使用例):「この場に漂う霊気……ただ者じゃない……!」

・霊圧:圧倒的な霊気、霊力によって生じる、“威圧感”、“圧力”。

 精神や身体に直接のしかかるような、息苦しさを感じる。

 強者ほど存在するだけで周囲を制圧する力を持つ。

 人間でいう“重圧”のようなもの。

(使用例):「立っているだけで、圧し潰されそうな霊圧だ……!」

・霊力(追加):“霊的エネルギー”そのもの。

 霊法の源となるエネルギー。

(使用例):「全霊力を、この一撃に込める!」


【現代 兵庫県神戸市 国立十文字学園高等部神戸校 食堂】


「おばちゃーん!おかわり!大盛りでっ!」

「あら麻璃流(まりる)ちゃん、今日もいい食いっぷりだねぇ!」

「今日もガッツリ稽古したから、もうお腹がペッコペコで〜!」

「ふふっ!若い子はそうでなくっちゃ!

 はい、大盛りご飯、お待ちどうさま!」

「ありがとうございますっ!」


茶碗からこぼれそうなくらいの大盛りご飯を受け取ったあたしは、席に戻って、生姜焼きに再び箸を伸ばす。


この、口いっぱいにご飯を詰め込んでいるあたしの名前は渡辺(わたなべ)麻璃流(まりる)

国立十文字学園高等部“神戸校”祓い科の二年生。


稽古のあとに食べるご飯って、なんでこんなにおいしいんだろ!?

しかも今日の日替わりは、生姜焼き定食。

肉!タレ!白米!最強タッグ!


ガッツリ動いたあとのご飯といえば、やっぱりお肉!

──って思うの、あたしだけじゃないよね?


「ん〜〜っ、うんま〜〜い♪」


ほっぺが落ちそうな味に、思わず笑みがこぼれる。


幸せ……いまこの瞬間、たぶん世界一幸せ……


そんな、幸せに浸っていたときだった。


「♪〜〜」


テーブルの上で、スマホが軽快な着信音を鳴らした。

画面を見ると、精霊科三年の助助さんからの着信。


「はひっ!」


ご飯を頬張ったまま通話ボタンをタップ。


「桜井だ

 悪霊が出た、すぐに来てくれ

 場所は磨須(ます)海水浴場だ」

「ほうはいへふ!ふふいふはいはふ!」

「……なんて?」


あたしは慌てて口の中のご飯を飲み込み、喉を押さえながらゴホッとひと咳。


「了解です!すぐに向かいます!」

「よろしく頼む」


通話を切ると、あたしは最後のひと口を一気にかきこんで立ち上がった。


「おばちゃーん!ごちそうさまでしたーっ!とってもおいしかったです!」


ニッコリ笑って感謝の言葉を伝えると、食堂を飛び出して磨須海水浴場へと急いだ。


「あともう一杯はいけたなあ……」


─────────────────────────────────────


磨須(ます)海水浴場】


神戸市内でも有名なこの磨須(ます)海水浴場は、砂浜の長さが二キロ近くもある広大なビーチ。

夏になると、たくさんの海の家が立ち並び、海水浴客でめちゃくちゃにぎわう地元の人気スポットだ。


──でも今は、夜。


陽が沈み、浜辺はひっそりとした闇に包まれていた。


「麻璃流!こっちだ!」

「助助さーん!」


助助さんの声に反応して、あたしは砂浜をザッザッと駆け寄る。

その背後には、精霊科の学生が三人。

全員、顔がこわばってる。緊張感ビシバシだ。


「着いたばかりで悪いが、早速現状報告を──」

「それじゃあ、行ってきまーすっ!」

「お、おい!?ちゃんと敵の情報を──」

「大丈夫ですっ!見ればわかりますって!」

「おい麻璃流!……まったく、あいつはいつもこうなんだから……」


助助さんのため息が、潮風に溶けていく。

──でも、もう遅い。

あたしはすでに、夜の海風を切って走り出してた。

悪霊の気配は、はっきりと感じる。

じっとしてるなんて、性に合わないし!それに……


「よ〜し、いっちょ派手にやっちゃいますか〜っ!」


─────────────────────────────────────


磨須(ます)海水浴場 助助の位置から約1km先】


「おっ!はっけーん♪」


夜の波音にまぎれて、あたしの声が弾んだ。


浜辺の先に、烏賊(いか)型の中級悪霊がずらり、ざっと20体。

そのさらに奥、まるで空気ごと歪ませるような異質な霊気を放つ巨大な影──あれが本命、上級悪霊だ。


「よ〜し、先手必勝だね!燃えてきたーっ!!」


あたしは、背中に携行していた剣の鞘から、柄を引き抜く。

そして、柄を強く握りしめ、大声で叫んだ。


「来なさい!!水青龍(すいせいりゅう)!!」


その名を叫んだ瞬間——

あたしの体内から水が一気に噴き出し、空間全体が渦を巻き始めた。


「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」


地を揺るがすような轟音とともに、巨大な水の渦が浜辺を包みこみ──

その中心から、咆哮を上げて龍が出現。

これぞ──


“水の大精霊・水青龍(すいせいりゅう)


全身が透き通るほど澄んだ水で形作られた、巨大な龍。

その姿は──荘厳で、美しくて、幻想的で……それでいて、とてつもなく強そう!!


あたしが今、手に持っているのは──


“水の精霊分離剣(ぶんりけん)


(つか)は、握りの役割を果たすI(アイ)字型の精霊玉だけでできてて、鍔もなし。

一見すると、ただの細長いクリスタルの棒みたいな見た目。


ちなみに、別名は“Water(ウォーター)  Saber(セイバー)”……

って、精霊科の人たちが勝手にそう呼んでるだけなんだけどね。

どうやら、昔めちゃくちゃ流行ったSF映画『MOON WARS』に出てくる武器、“Moon Saber”に形がそっくりなんだって。

……まあ、たしかに見た目は似てるかも。


水青龍は、まるで大河がそのまま空を流れてきたみたいに、ズバーンッて勢いであたしの柄に突っ込んできた!

“精霊玉”に、水青龍が吸い込まれる。


次の瞬間──

透明色だった精霊玉が、青色に染まる。


(つか)の両端から激流が噴き出し、渦を巻くように収束しながら硬質の“水の剣身”を形作った。


今──

この刀は“真なる形”を顕現した。


“柄”だけだった未完成の刀に、大精霊の力が宿り、“水の剣身”がここに生まれ、“水の精霊分離剣”は真価の姿を現した。


これこそが──

大精霊に選ばし者のみが扱うことを許された伝説級の武器。その名も──


“精霊刀剣”。


あたしは、水の精霊分離剣を構える。


「水の叫び THE()  FIRST(ファースト)!!


 流流舞踏剣(るるぶとうけん)!!!!』


──風のような、いや、水流のようにしなやかで速く……


斬る、斬る、また斬る!


奔る剣閃は奔流となって中級悪霊たちをなぎ払い、その一撃一撃が、まるで水の舞踏──

絶え間なく繋がる動きが、攻撃と防御をひとつにし、敵の隙を一瞬たりとも逃さない。

圧倒的な速度、そして流麗な剣技。


“流れるように、踊るように斬る”という言葉が──

いま、ここに具現化されていた。


──え、水でどうして斬れるのかって?


それはね、”ウォータージェット“の原理を応用してるから!


超高圧ポンプの力で圧縮された水が、狭い通路を通って超高速ジェット水流になる。

この柄部分がその“ポンプ”の役割を担ってるってわけ。

その威力、固いものはもちろん、どんなに柔らかい素材でも切断できる。


「グギャアアアア!!」


悪霊たちの核──“悪霊球”を斬り裂いては、次々と祓っていく。


「よーしっ!あとは奥の上級だけ!」


──と思ったそのときだった。


「……あれは!?」


上級悪霊は、自身の頭上に触手を集中させていた。

展開されるのは──


“雷の円形型霊法陣”


「ギィィィィィ!!」


『上級悪霊

 俗名(ぞくみょう)吉川(よしかわ)見谷子(みやこ)

 種別:烏賊(いか)

 属性:雷』


次の瞬間——

“雷の円形型霊法陣” が黄色に輝くと、空気が裂けるような轟音とともに、雷が放たれた。

それは、一点集中。

真っ直ぐ、迷いなく。あたしを貫くための雷。

砂浜を抉り、空気を焦がしながら、雷は一直線に突き進んできた。


「やばっ!」


とっさにジャンプして回避──したけど!


「きゃあっ!」


空中で触手に絡め取られてしまった。


「やだ〜〜っ!ヌルヌルしてて気持ち悪い〜〜っ!!」


触手を斬ろうとしたけど──

この形態……両手持ちじゃ、振りにくいっ!!


「こうなったら……第二形態!!」


I字型の精霊玉、柄中央でパキッと分離。

一本だった柄が、二本の短い柄へと変化する。


そう──この“水の精霊分離剣”は、両剣から双剣へと“分離”できるのだ!


言うなれば──

第一形態は「両剣モード」。

第二形態は「双剣モード」。


──ふっふっふっ♪

刹那さんの“氷の精霊両刀”。そして、天嶺叉の“樹の精霊双刀”。

その両方の特性を兼ね備えた、この”水の精霊分離剣“は──まさに無敵!!


両刀と双刀。いや……

両剣から、双剣へと変化できるこの“水の精霊分離剣”こそ、真なる最強!!


「これなら……いけるっ!」


両手に構えた双剣で、触手をズバズバッと一閃!


「やった!」


拘束を脱したあたしは浜辺に着地。


「第一形態!!」


すぐさま双剣を合体させ、再び両剣へ。


「おっりゃああああああ!」


水の精霊分離剣を全力で振り抜き──

上級悪霊を悪霊球ごと真っ二つに!


「パキィンッ!」


甲高い破裂音が夜空に響く。


静寂の中、砕けた悪霊球からふわりと光が溢れ──

その中から、透き通るような女性の人影が姿を現した。

20代くらいの若い女性。

何も言わず、ただ穏やかに微笑むと──

そのまま、空へと昇っていった。


そのあとを追うように、無数の光が浮かび上がった。

中級悪霊の“元” だった精霊たちの魂もまた、光の粒となって空へ帰っていく。


——祓い、完了。


「良き、来世を」


キンッ!


あたしは、水の精霊分離剣を静かに鞘に収めた。

※キャラクター紹介

プロフィール

名前:渡辺 麻璃流

年齢:17歳

身長:168cm

体重:秘密

職業:国立十文字学園高等部神戸校祓い科二年

武器:水の精霊分離剣

召喚精霊:水の大精霊 水青龍

性格:天真爛漫

一人称:「あたし」

好きな食べ物:なんでも!

最近気になっていること:無し!!(寝れば大抵忘れるので)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ