合流
酒場に着き、中に入ると人でごった返していた。
「ゴブリンの群れの討伐、一緒に行きませんかー!」
「オーク狩りのパーティ組みませんかー!」
「自作ポーション売りますよー!」
などなど、さまざまな人が叫んでいた。
(あいつら、どこにいるんだ?)
周りを見渡すと2人組のプレイヤーが俺に向かって手を振っている。とりあえず近くにいってみると、紙に何かを書き、見せてきた。
「智之ですか?」
そう書かれていた。
「もしかして直樹と響か?」
俺がそういうと、
「こんな人いっぱいのところで本名言うな!この紙使ってくれ」
そう言って直樹が紙とペンを渡してきた。
「お前らは直樹と響だよな?」
と、俺が紙に書き、見せると
「そうだぜ。ここでは本名を言わないように気をつけてくれ」
と書かれた紙を見せられた。まぁ知らない人に自分の本名が知られるのは良い気分では無いし今回は俺が悪い。しかし、それならば何と呼べば良いのだろう。
「何て呼べば良いんだ?」
そう書いて直樹達に見せると、
「俺がナオで、響がキョウだ。名前の読み方や長さを変えただけだからわかりやすいだろ?智之は何てネームなんだ?」
そう返って来たため、
「ネームってどこで設定するんだ?」
っと書き、2人に見せた。
「もう普通に喋っても良いだろ。ネームはシステムからプロフィールを開いて変えられるぜ。」
言われた通りにシステムを開きプロフィールの欄を開く。すると自分のアバターと共に、横にネームと書かれた欄が出てきた。自分のネームを考えたが2人のように名前を若干変えるだけの方が分かりやすいだろう。ネームに
「トモ」
っと入力をした。
「トモって名前だ。分かりやすいだろ?」
「まんまじゃねぇかw」
「お前もだろw」
といって3人で笑った。
「僕、明日のためにもう落ちるねー」
そう響が言うと、
「俺も落ちるわー」
と直樹もそれに続き言った。
「もうそんな時間なのか?」
俺がそう言うと、
「左上見たら時間がわかるぜー」
と言われた。左上を見ると11:50となっていた。
「そんなに経っていたのか。なら、俺も終わろうかな」
「最後にフレンドになっておこうぜー!フレンド申請送っといたぞ!」
「僕も送っといたよー」
2人がそう言うとシステムが
「ナオからフレンド申請が来ています。キョウからフレンド申請が来ています」
と言い、目の前に
フレンド受諾しますか?YES/NO
と出てきたYESを押し、フレンドになったことを2人に言うと、
「フレンドはログインしているかどうかが分かってチャットができるようになるんだ。だから合流したい時とか楽だぜ!」
と言われた。なるほどと感心していると、
「これでいつでも遊べるね!また、明日学校でね!おやすみー!」
「また明日な!おやすみ!」
「2人とも学校なー。おやすみー!」
2人の体が消えてしまった。
2人はログアウトしてしまったし俺もそろそろ寝るか。システムを開き、ログアウトボタンを押す。目の前の視界が一瞬で変わり、見覚えのある、自分の部屋に変わった。
VRマシーンを机の上に置き、電気を消して布団に潜った。そして明日あるであろう新しい冒険に期待をしながら深い眠りに落ちていった。