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世界初のゴキブリ転生

異世界転生勉強しながら小説書いていきます。


不定期ですがどうがよろしくお願いします。

 俺の名前はゴキブリのゴキ太だ。

 何ともかぐわしい臭いを放つ排水溝に住んでいたのだが、家の主の奴殺虫スプレーを振り撒きやがった。

 毒の霧が排水溝の中まで侵食し、カサカサカサと急いで飛び出した。

 どちらが上かどちらが下が、わけもわからず走る。

 スポンッ!!! と黒カビが繁殖している排水口から出てきて、わっ!! と驚いてる大きな顔が眼前に見えた。


 へっ!!! こんなのおいらからしたらスローモーションだぜ!!!


 バチンッ!! と丸めた新聞紙を振り下ろしてくるが、ゴキブリの性能を遺憾なく発揮し避けて避けて避けまくる。


 見ろこのスピード!!! スキル持ってないのにこんなに速いんだぞ!!!


 新聞紙を右手に左手に殺虫スプレーを持ち、ゴキブリを撲殺毒殺する二刀流でおいらに挑んできた。

 

 新聞紙よりも殺虫スプレーの広範囲攻撃の方がキツク、何度背中に噴きかけられて腹を見てガタガタとのたうち回る。


 まだだ!!! まだまだ!!! 俺は終わってねー!!! あめーよご主人、おいらを倒すには百万光年早いんだよ!!! ちょっと生理的嫌悪抱くからって……おいらに攻撃しまくりなー


 その俊敏なスピードだけじゃない、おいらには死にぞこないの生命力がある。

 どんなに新聞紙に叩かれ殺虫スプレーを噴きかけられようが、ちょっと背中が痛痒いだけだぜ!!!


 まぁー体力はゴリゴリ削られてるんだけど……


 この家からおさらばしなければいけないなーと朦朧する意識で考えると、背中をバコンッ!! と叩かれてしまった。

 一寸の命でよろよろと千鳥足みたいに動き、まだだまだだ……という思考は2度目の新聞紙の打撃に今度こそ死んでしまった。


 コテンッとその場でこけて茶色の腹を見せながら、両手両足を内側に畳んだ。


 立て続けに殺虫スプレーを3度降り掛けられてから、ゴミ拾い用のトングに拾われて、ビニール袋に入れられて、ティッシュ数枚で包まれて、ゴミ箱にポイッと捨てられた。


 確かにトングを使った女の手は恐怖にプルプルと震えていて、ゴキブリは死んでも尚恐怖を怯えを抱かせる存在だった。



♢♢♢



 視界が真っ黒に染まったかと思ったら、急に日差しを感じて全身が燃えるような錯覚がした。

 こけていた体を起こし四足歩行でカサカサと……あれ? 俊敏に動けない? なぜ?

 周りに居るなんか耳が尖ってる生物? おいらのことを目の敵にしてる人間? が奇異な目を向けてきた。

 盗むことと逃げることに関して優秀なゴキブリにも弱点があり、頭が糞悪かった。


 ヤバイヤバイヤバイ……隠れられるところ、隠れられるところ!!!


「急に現れたけど、あんた何?」


 なんか知らないけど人間がおいらに話しかけて来たぞ!!!

 なんだこいつは、おいらはお前らが嫌ってるゴキブリなんだぞ?


「きょどったりして、あんたあまりにも怪しいわね」


 なんか知らないけど疑ってるぞこの人間、おおいらがお天道様の下に居たらおかしいって言うのか!!

 確かにおいらは薄汚いところや、人間のフケとか唾液とか分泌液とか大好きで養分にするほど根暗だけど!! お、おいらだって意味わからない!!


「ちょっと来なさい、正義者に突き出してやる」


 胸倉の部分をグッ? と掴まれて? おいらはこの女に連れて行かれる。

 ゴキブリの時にはなかった部位があり、なにか知らないが服を身に付けているのだ。

 裸一貫でこれまで薄暗い場所で生活していたのに、いきなり何をトチ狂ったのか敵である人間の真似事をして頭がいかれたとしか思えなかった。


「言い訳は無用だわーあんたみたいな頭のおかしい人間が居てたまるもんですか」


 人間? こいつおいらのこと人間って言ったか?

 新手のいやがらせか? ななんでおいらが人間のカテゴリーに入ってるんだ!! 人間とかまっぴらごめんだ!!

 ただおいらが外に出ただけで、鬼のような形相で攻撃してきて、おいらが何をしたというのか!! ちょびっとゴミでも漁ろうとしていただけじゃないか。


「そもそも口を開いたらどうなの?」


 この女、おいらよりも頭が悪いぞ!!! 矛盾のバーゲンセールだ!!!

 って……どうしておいら人間の言ってる言葉がわかるんだ? 自分が気持ち悪い!!!


「言い訳無用って言ったのは、あんたの方だろう」


「・・・・・・」


 口を開けと言われたから喋ったら、珍妙な虫を見るような目を向けられたぞ。

 やっぱりおいらの言葉がわからないんだ、人間と打ち解ける気なんてサラサラないが、会話出来ないままなのはちょっぴり寂しい。

 ゴキブリを目の敵にして、新聞紙と殺虫スプレーの二刀流でけしかけてくる理由もわかるかもしれないのに。


「い、いきなり喋らないでよビックリするじゃない!!!」


「えっ?」


 おいらの言葉が通じた? おおいらは夢を見てるのか!!!

 おいらの足を誰か引き千切ってくれ!!! それで痛かったらここが現実だとわかるから!!!


「根暗なら根暗のままいなさいよ!!」


 根暗という意味が、おいらにはわからないんだが。

 何語だろうか? ゴキブリ語ではないのは確かである。


「今から正義者に突き出してやるから」


「正義者ってなんだ?」


「今更世間知らずぶっても許さないんだから!! 悪者を成敗してくれる組織よ!!」


「悪者!? 悪者は人間の方だろう!!」


「あなた妙なことを言うのね、人間ってあなたも人間じゃないの」


「おいらはゴキブリだ!! 誇り高きゴキブリなんだよ!!」


「ゴキブリ? 聞いたことがない種族ね」


 ゴキブリを知らないとか、こいつ何人だ? そんな狭苦しい空間にずっといたのか?

 そんなのどうでもいいわ、おいらは人間に拉致されるところなんだ、どうにかしないと!!!


 あっ、俊敏な動きが出来ない。

 あっ、なんか知らないけど大きくなってる。

 あっ、滑空することしか出来ず飛ぶことが出来ない羽が反応しない。

 あっ、おいらの黒いボディーが……

 あっ、おおいら……人間みたいな容姿になってる……

 あっ、なぜか知らないけど……人間と同じ言葉が喋れてるぞ……


「急に大人しくなったわねーそうよ人間諦めが肝心よ」


「……」


 もう煮るなり焼くなり好きにしてくれ……おいらはもう生きる希望を失くした……

読者様からの感想と評価待っています。


もし目が留まりましたら何卒よろしくお願いします。

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