無駄な才能
さて……俺の説明
100年に1人の逸材と言われた運動神経と
天才科学者並みのIQを持ち
それを隠して普通の高校生をしている。
三田龍矢です。
自惚れ……なんだこいつと思ったかもしれないが。
100メートル走は本気出せば9秒台
一度読んだ本は一言一句間違えずに暗記できる
しかし見た目もイマイチぱっとしない為
外面は普通の高校生、部活もしていない。
学校が終わればすぐに帰宅、そしてゲーム
今はこのフリーダムクエストにハマっている。
「よし……シナリオ50いくか。」
発売から二週間、全国ランキングによると既にシナリオ58までクリアした奴らがいるらしい
俺も負けてられないな……。
そして次の瞬間、俺はゲーム世界に召喚される。
召喚された場所は天空にある大きな城だった。
周りを見渡すと一面に花畑が広がっている。
「まるで天国だな。」
そう呟きながら俺は目の前にいる天使のような姿をした女性に話しかけた。
「どうも。」
「こんにちは、ここは天空都市アスティナ。」
「天空都市?」
「ええ……私はメロリア、貴方のお名前は?」
「りゅうや。」
「よろしくね、りゅうやさん。」
メロリアは俺の手を握ると満面の笑みを浮かべる。
NPCの癖に妙に手に感触が残る……。
それに滅茶苦茶可愛い、しかしこれ程リアリティがあってもゲームの1キャラに過ぎない。
「いきなりで申し訳ありませんが、貴方は選ばれたのです。」
「選ばれた?」
「貴方は大天使ロリエルによって召喚された救世主なのです!」
「俺が救世主?」
AIと会話が成立するのはやっぱりちょっと気持ち悪いな。
「はい……今天界は堕天使達の侵略によって多大な被害を受けています。」
「堕天使……。」
「私たち天使は堕天使が放つ闇の結界を突破する事ができない為、一方的にやられるのを待つしかないのです……うっ。」
いくらNPCでも女の子が泣いてるのを見るのは心が痛いな。
「わかった……俺がなんとかするよ。」
「ほんとですか?」
「ああ。」
メロリアは両手を胸の前であわせ微笑む。
クラスメイトなんかよりよっぽど可愛い。
NPC婚とかいう変な文化も流行るわけだ。
「では大天使ロリエル様の元に案内します。」
「よろしく頼む。」
ここで自分の右上にマップが表示される
「既にアスティアは各地で堕天使の侵略を受けていて、移動する際は戦闘になるかもしれません。」
「ふーん、でもメロリアさんは戦えないんでしょ?」
「はい……その代わり奇跡で貴方の傷を癒します。」
「わかった。」
俺がメロリアと共に移動すると表示されたマップも同時に移動する。
マップはマスで区切られていて、現在は花畑を移動中だ。
到達してない場所は黒く表示されていて、一度通った道には色がついていく。
このゲームは様々な場所で情報を入手する事ができる為、フリープレイになった際は基本的に歩き回る事となる。
「龍矢さん!堕天使です!」
「おう。」
目の前には黒いオーラに包まれ両目が充血した天使が現れる。
俺は右手で円を描きながら呪文を唱える。
「装填:炎龍の鼓動 全身は灼熱 炎翼 炎帝の剣」
俺は全身に炎を纏い堕天使に向かって飛び立つ
そして堕天使の首を切り裂いた。