一組目 4
おはようございます。
前回のお伝えしていた通り、一話目の改稿を行っております!
今日もいちょうくんががんばりますよー!
「ご利用者様。少しお話を宜しいですか?」
「はい!あれ?今日は面談の日ではなかったですよね…何かありましたか!?」
僕は丹頂鶴さんの宿に足を運んだ。丹頂鶴さんのお家は獣人国にあるため、宿を借りているのだ。番を探しに来られたあるいは見つけてしまった獣人はだいたい宿を取るか、借家を借りるかしている。その間の家や仕事はどうするのよ!と突っ込みたいかもしれないが探しに来た人は、まぁ大体の方は家や仕事などは整理をしてからこちらに来られる。そうだ!番、半身を探しに行こう!と思い立って来た人やたまたま見つけてしまった人はその場ですべて放棄するらしい。さすがに番に理解のある獣人国でも困った状態だったそうで…。このフィーリングカップルが出来た時、協力するから番脳になった獣人に仕事や国にある家などを思い出させて連絡させて欲しいと条件を出されたそうだ。
本当に不可思議な脳だ。
「落ち着いて下さい。大丈夫ですよ。悪く捉えないで下さい。むしろ逆です。」
「逆?」
相変わらず目力がすごいな。
「はい。お客様のお気持ちがご利用者様のお気持ちに追い付いて来ています。」
「追い付く?…追い付くとは?」
「お客様はご利用者様と真剣に向き合いたいと思われています。一歩前進ですね。」
丹頂鶴さんの顔は光輝いた。まぶしっ。
「そっそうか。嬉しいなぁ。だが…解っている。勘違いしてはいけないのだろ?大丈夫だ。一歩だな。一歩。一歩って何だ?」
うん。完璧にプチパニックになってるな。しかもセミナーを受けたばかりだからある程度軟化した番脳なのだろう。
「一歩ですよ。一歩。付き合いたてらしく手など繋いでみてはいかがですか?そういった触れ合いを始めても大丈夫だと言うことですよ?」
「テヲツナグデスカ?」
う?僕何か難しく言っちゃったかな?何でもっとフリーズしちゃったかな。
「手ですよ?手!繋ぐのは難しいですか?うーん。では、頭を撫でるとか?」
「アッ!ア?アタマ!?アアアー」
ヤバイ誤作動を起こしてる!!体に触れること事態がダメとは!?むしろ喜んでくれるとばかり…僕の進め方が厳しすぎたのかな??
「すみません。そのように驚かれるとは…。僕が厳しくしすぎたのかもしれません。もう少し時間を置いてもらえるようにつたえー」
「ちっ違うんだ!その…申し出は嬉しいし、お見合い係さんの指導が厳しいなんてことはないから誤解しないでくれ!ただ…その…。」
「?大丈夫ですよ。待ちます。言葉にしてみて下さい。」
獣人に足りていないと言われることの一つに話をするが挙げられることが多い。直感を大事にする種族というか…言葉が圧倒的に足らないのだ。まぁ。おしゃべりな種族も要るから一概には言えないが…。
「その…彼女が…この前僕に言ったんだ。貴方はいい匂いがするからずっと一緒に居ても幸せな気分で居られるでしょうねって。それを聞いてから…抑えるので必死で…。只でさえギリギリなのに手や頭に触れたら抑えきれなくなるよ!!番がいい匂いって言ってくれたんだぞ!」
「!?」
人族がいい匂いがするって言ったってことになる…。これってもしかして。僕ははっとした。
「事情は理解しました。これよりしばらく面会は中止です。ご利用者様の意図せずお客様からアプローチがあった場合抑えがきかないでしょうから。僕も調べたいことが出来ました。次のデートは何時になっていましたか?」
「明後日です。」
「それは僕から断っておきますので、隠れてあったりなさらないで下さいね!!」
丹頂鶴さんに念押しし、強く頷くのを待ってから宿を出て施設へと急いで戻った。
寒い日が続きます!
体調にはお気をつけくださいませ。