お見合い係の残業
よろしくお願いします!
目の腫れや痛み等は暫くすれば治ると痛み止めと腫れが引く目薬をお医者様から処方があった。
治療が済むまで館内で生活をして貰うように手配し、保護者を呼んで貰うように狼獣人さんに頼んだ。
「目と鼻のことはもういいからよー。気にすんな!医者も問題なく治るって言ってたじゃん!この年で親呼び出しとか恥ずかしいんだけど…。」
「では、連絡先を教えていただけませんか?私からご連絡して来た頂けるように事情の説明をしますので。」
「解ったよ。」
僕はほっとしたが問題が解決したわけではない。この問題を受けて僕は事故報告書と対応策をまとめた報告書を事務所で書いていた。
この後フィーリングカップルの所長にも呼ばれている。泣きそうだ。
あの後の会議ではこれからどう事前に未成年だと確認するかも話し合われた。
「書類を事前に記入してもらってから申請を受け付けるのはどうでしょうか?」
「それが出来るならば今回の事件は起こっていない。記入でもめていたからな。」
「年齢だけでも記入してもらうとか?」
「何で記入に拘るのですか??」
マネージャー達は受付に着いたことがないため記入が何故そんなに大事なのか?と聞いてきている。
「あぁ。そうか。知らせていなかったな。これも魔道具だとは知ってるだろ?嘘を書くと赤く光るんだよ。」
「え!?」×3
僕らには常識だったが…。少し職種が変わると解らないこともあるんだな。見合い係は申請者に記入させた上で赤の部分を重点的に聞き、訂正する。僕は未だにオールレッドに出会った事はないが先輩のお一人にミラクルに遭遇した方がいて…その先輩はお泊まりを実施したと聞いた。そんなミラクル絶対にお断りだが…相手が嘘をつくという前提で相手を丸裸にするための記入なのだ。そして、マネージャーには訂正されて青くなった書類が共有される。マネージャーはお客様との信頼関係を築く為に、身分の証明以外は聞き取りながらマネージャーが直接記入する為、赤にならない。お客様は嘘をついても良い。そうすることでカウンセリングもかねているのだ。書類の目的が違うと言える。この事件が明るみに出れば、申請側が未成年でも結婚できない事がこれから獣人国やドラゴン国、魔国にも直ぐに伝わるだろう。おそらく嘘をつく者達が増えるはずだ。
いや…おそらくではないな…絶対だ。
「これから問題になるのは未成年だと申請側でも結婚できないということだろう。知らなかったとはいえ、見合い係が未成年にスプレーを使ったことも問題なのだが、そっちはたぶん大きくはならないだろう。狼獣人の未成年も暴れていたことは事実だしな。それにこれは年齢が確認できれば解決する。それよりは番や半身と結婚できないことの方がきっと重要で困ると思うはずだ。苦情が殺到するぞ。嘘をつく奴が絶対出てくる。だから嘘だと見抜ける様にしておかなければ…それと暴れる未成年をどう制圧するかも警備員と話し合わなければならないな。」
皆が頷いていた。
ある程度話し合い、まとまったところで後は上の判断を伺わなければ決まらないなということになった。
今日と明日の予定を考えると…僕の残業が決まった瞬間だった。狼少年の親御さんにも連絡しないといけないしな。
僕は通信機を使って獣人国側の支部に連絡した。
「支部長お疲れ様です。イチョウです。」
「お疲れさま!久々だな。元気か?」
「ええ。僕は元気です!ですが、こちらで問題が発生しました。今日、狼の獣人様から番申請があったのですが…未成年でした。」
「そいつは…慎重にいかないといけないな。狼は番の執着が特につよ」
「いえ。お客様ではなくて、ご利用者様がです。」
「マジかよ。」
「詳細は後程上に報告書をあげますので支部にも来ると思います。そのご利用者様に未成年と知らずスプレーを使用してしまいまして…。それに未成年は例外無く結婚できないですし…。保護者の方にこちらに来て頂かないといけないのです。本来ならば僕が迎えに行くのが筋ですが…かなり時間がかかりますから、そちらから人員を出して頂ければ助かります。」
「どうして年齢を確認しなかったんだ。」
「記入前にごねられました。お話しが通じず…すみません。」
「ならば仕方ない!未成年が来るとは想定されていなかったからな。そいつも悪い!状態は?」
「医者を呼び、治療は既に済んでいます。目薬を処方されていますが、少しすれば問題なく治るそうです。それまでは本部に滞在していただいております。」
「まぁ。スプレー自体はそんなにヤバイやつではないからな。解った。迎えに行ってそっちに連れて行けばいいんだろ?引き受けてやる。だが、経費はそっちもちな。」
「はい。宜しくお願いします。」
通信が済むと、僕は椅子にグテンと座り込んだ。
次は書類と…所長に報告だ。
読んでくださってありがとうございます。