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狼少年の手紙

おはようございます。

予告していた通り、閑話を挟ませて頂きました。


作者的に気になっていた狼少年のお手紙であります!


よろしくお願いします。

僕は今しがた届いたばかりの手紙の前で唸っていた。

何故ならばまだ開封すらしていないからである。

理由は


“俺だ”


だと本来ならば宛名が書いてあるだろう。所にこの文章が書いてあったからである。

いや、誰だよと突っ込みたい。

しかもそこからかい!ってね。

僕はまさか最初からと思っていなくて持っていなかった赤ペンを持ち、開封前の封筒に線を引き、ここは相手の名前を書くところ!と記した。


人様の手紙を添削なんて…の緊張を見事にひっくり返しくれてありがとう!


封筒の裏には送り主の名前今回はイチョウさんの利用者よりと書いて中身はそのままでいいから封筒をやり直して送っておいで。気持ちは伝わったよと褒め言葉の手紙も添えて、問題の封筒を僕がお手本のつもりでを書いた封筒に入れ直して封をし、後ろに僕の名前を記して送り返した。


こういう子は叱るだけではダメ出し一度に全部指摘しても聞こえないというか聞いてない。

教える側だけが疲れるので一つ一つ指摘して身に付けさせた方が良い。しかも言葉でいうより文字で書いた方が視覚からの情報でインプットしやすいのだ。


さてと返信は来週かなぁ?

と思いつつ別の仕事に取りかかった。


どうしてか返事が次の日の夕方の郵便にギリギリ間に合って届いた。

はやー。やる気は十分だね。

獣人国のフィーリングカップルのお見合い係りも大変だな。きっと目の前で書き直されてしまったのだろうな。で、早く送ってねときっとつぶらな瞳で見つめたのだろう。

宛名はしっかりイチョウさんになっていた。ホッとする。

よしよし。

開封の為裏返すと


“イチョウさんの狼より”


になっていた。


…ちょっとちがーう!

これでは僕が番みたいになっちゃうじゃんか。

取りあえず、赤ペンで修正し、開封に着手した。

メンタルが既に削られているのはなんでだろう…何とも恐ろしい手紙だ!


夏期○日

今日は朝から雨だった。湿気で毛が纏まらない。番は大丈夫か?

明日は晴れるといいな。狩りに行きたいんだ。良いものは番のために取って置くんだ。楽しみにしてほしい。いつ会えるかな?早く会いたいな。


だった。

うん。狼少年らしい。何ともほのぼのしている。添削は要らないよな。番の何を心配しているのか解らないとか、毛の問題は意外にナイーブな案件なんだよとか日記かよとかそういう突っ込みは要らないな様な気がしている。

だってこれはこれで味があるしー。

ご利用者様の気持ちがよく解って良かったですよ。

毛の問題はアドバイスを聞く方が良いよー雨の日の手入れはどうしたら良いかなぁ?とかね。

自分のアピールポイントを書いたり、番様は素材に興味があられるかも知れないからどんなものを取っておいた方が良いか聞いてみてはどうですか?

と手紙に記したがこの返事はまだ送らない。だって明日戻ってきたら困るからだ。

週一だって言ったの覚えているのかな?たぶん覚えてないな。

週末に送ろっと。

直ぐに返事が帰ってこないことを覚えて貰わないとね。


その返事。


夏期○日

返事が来た。来ないと悲しい。

来たら嬉しい。

番の時はどんな気持ちになるんだろう。

イチョウさんの手紙でこんな気持ちになるなんて。

怖いよ。

番は毛の手入れをどうしてるの?

どんな素材が好き?

何でも手に入れて番にあげたいんだ。

番の笑顔が見たいから。



なんでポエミー!?

手紙が来ない期間に狼少年の精神に何が!?

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