4組目 3
おはようございます。
暑かったり、寒かったり大変ですね。
体調にはお気をつけくださいませ。
4月って何かと気を遣い、ヘトヘトになりますよねー。
適度に自分を大切にしてあげてください。
ユニコーン族のお客様の聞き取りが済んだ後僕は受付へと戻った。
どれ程の事情があったとしてもお泊まりに変わりは無いからなー。
しかし、獣人国緩みすぎじゃないか?何と言うかここ数年教育が後退している気がするんだけど。
アイ先輩は書類仕事に懸命に取り組んでいた。マネージャーにも早く共有しなきゃだからね。
お客様の純潔…守らないといけないし。
アイ先輩は何とか書類を書き上げた様だ。
ふーっと息を付いている。
ベンジャミン先輩は終わったか?とお茶を出してあげていた。優しい!
アイ先輩はマネージャーから帰ってくる返信書類を読み込んでいる。段々顔色が悪くなっているようだ。頭を抱えている。
「どうした?」
「どうしたんですか?」
「嫌…あのユニコーン族のお客様だが…トラウマで女性と獣人が近づくと蕁麻疹と呼吸困難になるらしい。だから種族の確認もまだらしくてな。取りあえず人族のマネージャーをと探したら人族のマネージャーは女性しかいないらしくてな…純潔がどうのとかどうでも良いわ!馬鹿か!という感じの返信を貰った。」
「「…。」」
「オミナエシ講師のアメージングコースのセミナーを予約してくる。」
ダカンと席を立ち、書類をまとめるアイ先輩。
オミナエシ講師のアメージング!は直接予約が必須なのだ。書類をガンガンに揃えてね。講師の許可が無いと受けて貰えないんだのねー。でも、今回のはオミナエシ講師も手放しで許可くれそうな気がする。
「「いってらっしゃい。」」
大量の資料を持って走っていくアイ先輩を僕は見送りながらベンジャミン先輩に聞いた。
「なんだか…獣人国ヤバくないですか?」
ベンジャミン先輩は現在はカルミア国籍だけど生まれは獣人国だからね。
「イチョウの指摘は良く解る。教会からの教育の見直しが指摘されたばかりだしな。だけど…獣人国は基本弱肉強食なのは解るか?」
「はい。強い人に従うってことですよね?」
「強さは腕力だけだとは俺は思わない。種として生き残る生命力も強さだと思う。環境にいかに適応していき、どんな状況下でも柔軟に受け入れられる器のでかさとかな。」
「確かに。それだと人族って以外に強いですよね?」
「ああ。人族は基本雑食だ。どんな食べ物でも栄養に変えられる。しかも、自分達で食べられるようにする能力も高い。食事に適応できる事は強みだな。」
「それと教育と何の関係があるのですか?」
「このフィーリングカップルの制度ができて久しい。獣人国でも頑張ってなんとか世代的にも幅広く教育が浸透している。なのに変わらない事に執着し、自分達の意見を押し通すことを辞めない種族が一定数いる。」
「ドラゴン国式教育法取り入れないのですか?」
ドラゴン国は以前のことがあってかなり教育が進んでいるそうだ。それを取り入れてから問題は起こっていないと聞いている。
神様もそれを認めて下さっているようでドラゴン族だけでなく、竜人族などにも番持ちが増えてきている様だ。
「あれって目の前にサンプルがあるからできる事何だよ。それに獣人国って公的な学校作ってもそれに通わせない孤立大好きな種族や山奥や深海に籠るの大好きな少数種族がいるもんだから中々浸透しなくてな…強制された教育は意味がないし。」
「うわぁ。ドラゴン式はある意味単一民族だからこそなんですね。」
ドラゴン国の教育では番を失ったドラゴンや取り消されたドラゴンやらが長生きを活かしてサンプルとして展示?されていて、それを見学することが決まりになっているそうだ。百聞は一見に如かずだという方針らしい。どんなにフィーリングカップルを否定しようともそれを見せられたドラゴン族や竜人族らは震え上がり教育が入るらしい。僕はドラゴン族の担当経験は無いがスッゴク優秀と聞いているしな。
「ああ。多種族とは多様性でもあるからな。考え方も人それぞれだ。」
「でも、それだと獣人国だけカップル成立率が低いままになりませんか?自分達の首を自分達で閉めている気がします。」
「それがさっきの強さと繋がるんだよ。自分達の意見に固執し、種を残せないものは種族として弱いんだ。淘汰されていくもの達なんだよ。獣人国の王族らはそっちを選んだんだろう。選別は神の御心だとな。」
「なるほど!ということは…しばらくは…。」
「おっ気づいたか?そうだ。しばらくは獣人に一定数のアホがいるし、続くってことだな。よし!交代時間だな。イチョウ!帰る準備だ!」
「聞きたくなかったぁーー!」
「あははは。アイにはもうしばらく内緒にしておけよ。たぶん聞いちゃったら倒れるかも知れないからなぁ。」
ベンジャミン先輩は優しいのか厳しいのか分かんない!
でも、フォルムで許しちゃう!!
ちくしょー!
ベンジャミン先輩!
ズルい!
いちょうを翻弄する貴重な存在であります。
次は閑話を挟もうか悩んでおります。
よろしくお願いします。