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本部長の残業

おはようございます。


今回もユズ視点となっております!


宜しくお願いします。


「皆。落ち着きなさい。本部長も其ぐらいで。怒りは解りますが、後になさい。今はエルフのお客様をどうするかですわ。なるべく早くご退去頂かないとね。ご利用者様もゆっくり休めないでしょ?今ご利用者様の部屋を守っているのはどなた?」


その良く通る声は私を…いや皆を冷静にする。背筋がずんとするのだ…。


「すみません。取り乱しました。ご利用者様の部屋に通じる扉にはイチョウが待機しています。ドアの前には魔道具を持たせた警備員3人を配置しております。」


「そう。では問題ないわね。エルフ族のお客様にはこうお伝えして。『カルミア国王妃イチゴが直接出向こうか?』と仰られているとね。光栄なことですわねぇ。と」


そっちになったのか。早く帰らねぇと国のトップが出歯って来るぞ?しかもエルフ族の神子が直接だぞ?という脅し…。


「りょ了解しました。直ぐに!」


「後程本部長ユズ、担当マネージャーヤマブキ、指導係となったストレプトカーパスは私の部屋へ。この件の後始末をせねばなりません。」


「「「承知いたしました。」」」


エルフのお客様は真っ青なお顔で逃げるように帰っていったそうだ。不甲斐ないな。もう少し粘れよ。王族が出てくるまでになれば楽に進められたのになぁ。


「本部長ユズだ。全員に通達。エルフのお客様のご退去を確認。レベルを2に引き下げ。出入り口の警戒はそのまま。警備隊は魔道具携帯し、必ず魔力のある者を配置する事。お見合い係のイチョウ。待機ご苦労だった。戻っていいぞ。警備隊は魔族のご利用者様の部屋のドアの前の警備員数をそのままを維持。隊長シフトを組んでくれ。」


「イチョウです。了解しました。」


「警備隊長タケです。了解しました。」


あー疲れた。私は本部長室のソファーにどかりと腰を下ろした。皆に被害が及ばず良かったが…今回が大丈夫だっただけで次もそうかは解らない。今回はイチョウがいたからカルミアの王族からの脅しで済んだが何時もはそうではない。直ぐ様王族に来て貰っている。一番最初の一喝が大事だし、マジで暴れるヤツが多いのだ。蔑ろにしておいて取りあげられると判ると全力で抵抗してくる。

幼子の癇癪と同じだ。

だからこちらも最初に全力で叩く。お前の言うことを聞くのは番、半身だからであり、だからこそ言うことを聞くしか無かっただけだと。それが無くなれば価値は無くなるのだと。


そこまでやると大体が心が折れて指導が入りやすいのだが、こちらも無傷では済まない。今回は相手がエルフ族だ。フィーリングカップルに居る警備隊ではほとんどが太刀打ちできない。何とか数名それも魔道具を所持してやっとエルフ1人と戦える位だ。だから必ず王族と騎士団団長クラスの協力が居る。それでも怪我人が必ず出る。

え?イチョウはお見合い係でしょ?だって?

ソウデスケドナニカ?

特別ボーナス有給で三連休はどうでしょうか?とお願いしましたよ?代わりに扉の前で待機し、威圧を出し続けて下さいとね。

笑顔で頷いてくれましたよ!

イチョウさんの正体は探らない!これフィーリングカップルのお約束!この先も精神的にも身体的にも幸せに暮らしたかったらね!

あのエルフのお客様はイチョウの威圧とトドメの王族参上の脅しで撤退せざるを負えなくなっただけである。

はぁ…お家に帰りたい。でも、帰れなーい。

これから所長と楽しいお茶会ー。

私は身支度を行い、二人と合流し、所長の部屋へと訪れた。


コンコンコン。

「本部長のユズ以下2名共に参上致しました。」


「お入りなさい。」


ガチャ。


「失礼します。」


一人掛けにの椅子に座られた所長に迎えられ、私達は部屋に入った。うん。相変わらず広くて空気が清んだ部屋だな。私は二人掛けのソファーに一人で、反対側に主任マネージャーのヤマブキがストレプトカーパスと二人並んで座った。


「本日はお疲れさまでした。被害が無くて良かったわ。」


「はい。何とか皆が無傷で終えることが出来ました。お見合い係イチョウの待機への褒章ですが、特別ボーナス有給三連休で交渉しました。宜しかったでしょうか?」


「ええ。構いませんよ。寧ろそれぐらいの費用を抑えられたのですから安いものです。他のお見合い係が忙しくなりますが、私から何か元気が出るものを差し入れしてあげましょう。」


「ありがとうございます。お見合い係も皆喜ぶでしょう。」


お互いほっとした顔になったが、直ぐ様いつもの顔に戻った。柔らかい話題はここまでだ。ここからが本題だからだ。


「で?どのようにあのエルフ族のお客様を指導していくつもりなのかしら?」


所長の美しい笑顔はマネージャー二人に向けられた。

私も二人の言葉を待つ。あの無線で告げられた言葉は消せないからだ。皆が聞いている無線である。マネージャーのストレプトカーパスが口を開いた。


「あの…申し訳ありませんでした。私の言葉が不適切でした。ですが、イチョウさんから説明もなく、あのように急に伴侶を取りあげられたお客様が…かわいそ」


「そこまで。主任マネージャー。貴方は今までどのように下の子達を指導してきたのかしら?マネージャーの講習は行っているはずよね?このマネージャーの意識が昔のもので止まっているように感じるのだけど?」


指導係になっただろ!って言ったのに、これか…?不味いな。ここからかよ。そんな時間ねーよ。


「申し訳ありませんでした。私もその…このような意識の者であったとは知らず…その…カルミア出身のマネージャーには当たり前でしたので…。長いマネージャー経験の有る者をそもそもそこから指導したりしませんし…。正直な所。私もこの事態となり、そこから!?と驚いて居る次第です。私の監督不行き届きです。申し訳ありませんでした。」


主任マネージャーは立ち上がって九十度のお辞儀をしている。しかも頭を下げたまま、上げない。うん!賢いね。この所長の前で変な言い訳しない方がいい。

しかも、主任マネージャーが頭を下げているのにストレートカーパスさんは未だに何が悪かったのか判らず、頭を捻ってるからね。


「エルフ国へ至急教育の見直しを提案いたしますわ。それと全世界に有るフィーリングカップル支部へ全ての部門に再度の講習を通達致します。しかも、カルミアでは初等教育で行う番、半身への接し方、夫婦のあり方入門書でです!秘書官!全支部長に明日の朝一番から全体会議を行うから無線機の前で待機しておくように連絡してちょうだい。」


「畏まりまして。」


いつもの所長の後ろにぴったりとくっついて微動だにしない秘書官が…喋るの初めて見たな。


うわぁー。マジかよ。明日の会議は紛糾するぞ。何せ古株こそ信用できないと証明するような者だ。私も怒られるだろう…主任マネージャーの監督不行き届きは私にも言える。私も見合い係出身の支部長だからか、マネージャーの範囲に弱い部分があったのだ。私の責任でもある。


「所長。主任マネージャーの監督不行き届きは私の責任でもあります。申し訳ありませんでした。」


「そうですわね。ですが、それを言うのであれば私も責があります。エルフ国やドワーフ国の者達への教育不足は前から問題となっていのですから。カルミアや魔国の者達は十分ですのに…。そこを忘れていた我々責任者全体の問題でしょう。私は全体の教育の見直し、本部長貴方はイチョウへこの事を報告する事と主任マネージャーと共にエルフ族のお客様の指導計画を建てることを罰とします。主任マネージャーは部下の代わりにエルフのお客様の指導係となることを罰とします。本部長とマネージャーの意識のすり合わせをなさい。担当マネージャーであったストレプトカーパスは担当を外し一週間の謹慎後再度一からの講習全てに参加を義務付けます。全ての参加が無ければマネージャーの復帰は認めません。」


ひいぃ。と出そうになる声を何とか押し込める。マネージャーとの意識のすり合わせは分かる。寧ろ有難い采配だ。

だが、イチョウに報告…無駄が大嫌いなイチョウに初等教育の講習を受けるように通達…。イヤだぁー。

可愛い伯父さんに虫けらを見るような目線を贈られるのは辛いんだよぉー。

次回はイチョウ君に戻すのか、別の人間にするかー悩んでおりまして…まだ、いちょうくん視点には戻らないかも…。


宜しくお願いします。

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