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一組目

宜しくお願いします。

「こんにちは。やっとここまで来ましたね。心の準備は大丈夫ですか?」


「はっはい!緊張であまり眠れませんでしたが…。やっと会えるのですから…。嬉しいです!」


この丹頂鶴の鳥獣人の方は番申請後様々なセミナーを経て、今日が初めての面会だ。番との初会話だ。緊張されるのは無理もない。


「ご利用者様はここまで良く頑張っておられました。ですが、お客様とはまだ始まっていません。今日が一歩目なのです。笑顔が大事ですよ。なるべく穏やかであるように心がけてくださりませ。」


僕達はこの人達を名前で読んだりしない。名前とはこの番、半身にはとても重要で以前それでやらかした魔人がいたのだ。

なのでお見合い係の中で一番取り扱い注意なのが名前である。なるべく種族で分けて管理し名前が情報流出することが無いように僕達は教育されている。

でも呼び方がないと不便ということで便宜上番、半身申請側がご利用者様。申請された側がお客様と呼ぶようにしている。


このご利用者様は鶴さんなだけあって背が高く顔もちょっと濃いがカッコいい方だと思う。まつ毛が長い!だから第一印象は悪くないと思うのだ。

落ち着いてお話しをしてくれればだが…。


「では、行きましょうか。」


「はい!」


コンコンコン。


「はい。」


返事が帰ってきたので部屋に入室する。一回目の面会ではパーティションで間仕切りしてある部屋に通される。部屋には僕と警備員が3人だ。なんでそんなに?と思われるかもしれないが…何故かは直ぐにわかる。


「失礼します。お客様。ご利用者様をお連れしました。落ち着いて座っていて下さいね。」


「はい…。」


「番…やっと会えた!!僕の番ー!!」


ドッ!バタン!

警備員3人に壁に押さえつけられるご利用者様。うん。通常通り。皆こうなるのです。番の匂いに当てられてね。だから、お客様には初回面会ではこうなりますからとセミナーで説明してある。貴方を望んでいるという証ですとね。

だから獣人には力が強い方が多いので警備員が3人いるんです。この警備員さんも騎士出身の方や番持ちの獣人さんが職に着かれています。これがドラゴンや魔族となると話は変わる。エルフ族や四獣様や四獣様のご家族様方やカルミアの王族方が呼ばれる。人族や獣人では太刀打ちできないからだ。


「ご利用者様匂いになれましたか?落ち着かれましたか?自分で抑えられないのであれば面会はここで終了ですよ?抑えてくださいませ。」


「…っ。はい…はい。頑張ります。もう少し待ってください。」


おっ。返事が帰ってきたならば大丈夫かな?しかも自分の理性をコントロールしようとしている。ならばこちらもフォローしよう。


「お客様。もう少しお待ち頂けますか?ご利用者様はお客様を尊重できるようにご自分を律しようとされています。これからもこういうことは有るでしょう。お客様を求めることはご利用者様にとって本能なのです。心からあなた様を求めて要るのですよ。でも、ご利用者様はそれがお客様を傷つけることがあるとご存じです。抑える事が出来るとお客様に見せようとされているのですよ?」


だからお客様も彼を受け入れられるようにして下さいね。ご利用者様がこんなにも努力しているのですから。


「はい。解りました。待ちます。」


お客様の顔色は若干悪いが真剣な顔で頷いている。うむ。こちらのスタートも良い感じだ。セミナー側からも今のところ問題なしとは聞いていたが良かった。だが、この後カウンセリングは必要だろう。目の前で成人男性が押さえつけられるということを目撃したのだから。僕は書類に書き込みを行った。




「ではこれから面会を始めます。お茶を運ばせますね。」


2人の準備が整ったのを見計らい僕は声をかけた。

さて、問題です。いちょうくんはどなたのお子さんでしょうか??

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