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3組目 2

おはようございます!


大雪になったり、強風だったりと荒天が続いております。


皆様安全第一でお過ごし下さいませ。


体調にもご注意下さいませ。


この回では男性同士のカップルが出て参ります。


苦手な方はスルーされて下さりませ。

「お越し頂きありがとうございます。ご利用者様。お客様。」


僕らは揃って軽くお辞儀した。もう既にケンカ中の彼らにようこそなどと言おうものならギャアギャア喧しいので僕らは学んだ。もうウエルカム的にこのご夫夫?は迎えないと。


「イチョウさんからも言ってくれよ!離婚なんてあり得ないって!半身を手放すなんてことするわけないって!」


「……。」


「だから、何度も言ってるだろうが!話はわかってるって!わかった上でもう、嫌だって言ってるんだよ!飽きたんだ!お前と結婚してかれこれ50年だぞ!もう十分だろ!俺も自由になりたいんだよ!旅にも出たい!」


「旅ならー!」


「1人で!」


「嫌だーうわーん。」


うーむ。大人のうわーん。なんて聞くことになるとは…うん。微妙。今の話で解るように僕がはじめから担当している訳ではない。僕は3年目なのだから。どうやったって無理である。

50年も経てば担当のお見合い係が変わるのも当たり前だが、この人達は更に仕方がない。ご利用者は魔族でお客様はエルフ族と寿命が長いのだ。そして、お客様に至っては旅好きとあってあちこち国を回っている。定住が無いために節目の面会がその時に居る国になってしまい、あちこちのフィーリングカップルの支部で設定されることになる。

今回の節目の面会は本部になってしまったらしい。

有り難くて涙がでる。

マネージャーのストレさんには同族って事で拒否権は無かったらしいが、僕はくじ引きだったのだ!見事大当たり~。

引きの強さに更に涙した。


「落ち着いてください。まだ、面会は始まっていません。まずは個別に面談致します。ご利用者様こちらへ。お客様はストレさんよろしくお願いします。」


「お任せくださいませ。お客様?参りますよ?あ、ち、らへ。」


何だろう。ストレさんからオーラが出てる…。あれ、多分怒られるんだろうな。お客様がすごすご付いていってるし…。

僕はお客様の部屋とはだいぶ離れた部屋に通した。飲み物を用意し、少し落ち着いた頃を見計らって声をかけた。


「大丈夫ですか?ご利用者様?」


「はい。…すみません。お恥ずかしい所をお見せしました。」


「いえ。大丈夫ですよ?お気になさらず。唯…その。あのケンカは今日だけですか?いつ頃からですか?」


「ここ一週間ずっとこんなケンカだな。だけど…この手のケンカはもう、数えられない位だな。」


ふーん。う?数えられない位?50年って言ってたよね?元気だなぁ?そんなに一緒に居るのにケンカが絶えないとは…。


「そうですか…辛いですね。何とか乗り越えられるように話し合って行きましょう。」


「うん。ありがとう。お見合い係さんはいつも優しいよな。イチョウさんもごめんね。びっくりした?」


「そんなことはありませんよ。ご夫夫にも色々ございますから。ご心配無く。ご利用者様は一番嫌なことは何ですか?離婚ですか?お客様がひとり旅に行かれることですか?」


3年もやってれば色々あるもんだ。しかもちゃんと君たちの資料はあるのだよ。他の支部から送られてきてるのよ。エルフ国からもね。だから、まぁ。賑やかな方々だとは知ってたよ?


「ざっくり聞くね。イチョウさんって。うん。僕が一番嫌なことは離婚だよ?嫌って言うか…無理だよ?出来ないことを望まれてもね。」


「ですよねー。では…ひとり旅に…。」


「うん。そう思うよね?ひとり旅位行かせてあげてって。でもね、あのひとり旅って…浮気のための旅行何だよ?許せると思う?」


「…マジデスカ?」


そっちかよ!それは…許せるわけがない。1人になりたい時は誰にだってあるから何て…この人はずっと言われ続けてきたんだな。


「うん。全部。他の男食べてきちゃってた。っていうかそれが目的だからね。誤魔化しても…解ってしまうんだよ。魔力が…付いてるんだ。」


「……。」


全部とは…。この人はそうか…もう。我慢の限界なんだな。


「僕と出会ったのもエルフ国にいたら多数と出来ないからって旅に出てる時だから。ははは。魔力なんて解らなければ…浮気に気づかなくて済むのにね~。」


「そうですか…」


うーん。根っからの自由恋愛な人なんだな。お客様も何とか我慢して最初の10年は何も無かったらしい。だが叶わずに一回浮気。それからは5年、3年、ここ最近では一年に一回だったらしい。一回って所に変なこだわりを感じる。一回だけだからを免罪符にでもしているのだろうか。ご利用者様も頑張って全てを許して来たんだ。


「うん。そう。我慢してくれてるみたい。でも、どうしても他の人としたくなるらしいんだ。俺だけではダメなんだって。俺には理解できないよ。何で俺だけではダメなのか…。俺はあいつだけなのに…。何度も話し合って居るけど…お互い理解できなみたいなんだ。はは…もう…どうしていいのか…。」


だろうなぁ。しかし…話を聞いていて感じるこのヤバい…ヒリヒリした感じ…。これ、かなり不味いな。お客様ではなく、ご利用者様のが。


「辛いですね。辛かったですね。ご利用者様は頑張っていますよ。頑張りすぎている位です。心にお休みが必要の様に見えます。少しで良いのです。心を休めませんか?」


「心を休める?」


「ええ。」


「初めて言われたけど…何か…すがりたくなる言葉だな。」


「ご利用者様に必要な言葉だからではないですか?大丈夫です。少しだけです。深呼吸をして、目を閉てお待ちください。」


「解った。」


ご利用者様が目を閉じて深呼吸していることを確認して僕は書類に記入を始めた。これから僕が行う緊急措置には段階がいる。まずは先輩2名の了解が必要なのだ。記入を終えた僕は無線で先輩方に連絡した。


「こちらイチョウです。魂の休息をコールします。」

いちょうくん初の緊急コールでございます。


さてさて今回のカップルはどうなってしまうのでしょうか??

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