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2組目 6

おはようございますー。


寒い日々が続きます。


お体にはお気をつけくださいませ。


狼少年との面会はあの後すんなり決まった。スイレンさんのホラーな言葉が後押しになったと思われる。

本人は気づいていないが…。

気持ちに寄り添う事がますます解らなくなった瞬間だった。


この機会に一度面会したら狼少年は保護者と獣人国に戻ることが決まった。取りあえず国で一度再教育をしてこいとなったのだ。獣人国の成人となるまで…。こっちにいて貰ってもすること無くて困るし…。15歳になったらカルミアに来て本格的なセミナーが始まることとなった。


残業も後もう少し!狼少年が帰れば少しは落ち着くはず!と自分に言い聞かせながら面会までの期間狼少年に教育という言い聞かせ?刷り込み?を行った。


番に会っても飛びかからない。

理由

初対面の人に飛びかかられたら誰でも驚くから。セクハラ禁止。


近づいて匂いを嗅がない。

理由

同上


座ってお話するだけ。

理由

仲良くなるための1歩。自分を知って貰い、相手を知るため。会話をする。


獣化しない。

理由

あり得ない。初対面で全裸見せたいの?ヤバイね…指導いっとく?


私達の立ち会いのもと行う。

理由

暴走を止めるため。何かあればすぐに対象!今回は警備員さんも増やしますから!


面会は2時間のみ。

理由

1日中何て!できるわけ無いでしょうが!


等々…。

なるべく包みつつ話はしたつもりだが…最後らへんはあんまり覚えていないな。疲れはててて…。


当日。親方さんは来ていなかった。あれから色々調べて色んなケースを本で読んで知ったらしい…。これは長期戦だと。例え結婚していて拒否できても、それは一度の面会機会だけで…3年後にまた廻ってくる。そのつぎは6年後と、3年後ごとにやって来るのだ。明らかな違反がない限りずっと付きまとう相手。

お弟子さんはこれは嘆いていれば逃げられる物ではないと親方と話、息子さんとも話をして、けりをつけてから望まれているそうだ。

脳化学的に女性はリアリストが多く、男性はロマンチストが多いと聞くが本当のようだ。


「先日は失礼しました。僕の言葉が過ぎていました。申し訳ありません。」


「いえ。大丈夫です。あれは真実でしたから…。イチョウさんやスイレンさんの…言葉で私も覚悟が決まりました。今日からよろしくお願いします。」


スイレンさんの脅しのような止めの言葉は聞いたらしい。逃げられないよーって言っているようなものだったしな。敵に回さないように気を付けよう。


「準備はよろしいですか?ご利用者様を呼びます。」


「はい。」


僕は狼少年を迎えに行った。最後の念押しの為に。


「ご利用者様。準備はよろしいですか?」


「ああ!やっと会えるんだな!行こうぜ!早く早く!」


「彼女に会ったら?」


「挨拶して、おしゃべりする!」


「彼女には?」


「近づかない!椅子に座っておしゃべり!」


「服は?」


「脱がないし、獣化もしない!」


僕はにっこり笑って頷いた。


「素晴らしいですよ。では参りましょう。」


「おう!」


コンコンコン。ガチャ。


「失礼します。」


「やっと!会えたー!俺の番ー」


次の瞬間。ぶわっと狼少年は尻尾の毛を逆立てて目を見開いた。

警備員さんの4人がはいよーっと取り押さえようと身を乗り出したその時。


部屋の隅っこに一匹の若めの狼は身を縮めていた。


「きゅ。きゅーんきゅーん。」


「…。」×狼以外


「可愛い。」


お客様の言葉が響いた。可愛い?可愛いかな?うん。まぁ。そういうことで。未成年の番への暴走ってこうなるのか。期待。不安。喜び。色んなものが混ざって混乱してしまったんだな。可哀想に…怯えている。


そして、周りの皆の目が何故か僕に冷たい。

え?

僕のせいではないのって?

まさかー。

マジ?

僕は慌ててご利用者様に声をかけた。


「大丈夫ですよ。落ち着いて下さい。誰も貴方を責めたりしません。わざとではないのでしょ?それぐらい僕にも解りますよ。」


「きゅーん。きゅーん。」


涙めで本当?と首をかしげられた。これは…確かに可愛い。撫でたくなるな。ダメダメ、おさわり禁止。

でも、どうすんだよー。この状況。


「あの…私を番だと言ってくださった方ですか?」


お客様が積極的に声をかけて下さった!有難い。

完全に狼になってしまったご利用者様はしゃべれないのか必死に頷いていた。しかし、尻尾はしぼんでお尻に挟んでいる。そこまでびびらなくても…。


「大丈夫ですよ。安心してください。私は怖がっていませんし、嫌だとも思っていません。だからそんなに怖がらないで下さい。戻れるまで待ちますよ?」


とたんに尻尾はピンと逆立ちフリフリしだしたな。解りやすいなー。


「ふふふ。では待ちますから、戻れるように頑張って。」


それから狼は息を整えてみたり、力を込めてみたり、けずくろいをしてみたり、走り回ってみたりと頑張ってはいた。だが…最後にはまた涙目になり、僕をじっと見つめてきた。


え!?


獣人への戻り方なんてしらないよ!?


狼少年とは長い付き合いになることが決定致しましたー。


根は悪い子ではないので心が通じると良いなぁと思っています。

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