一組目 5
とっても寒いですね。
雪や風が強いところもあるようです。
気をつけてお過ごしくださいませ。
コンコンバタン。
「失礼します!ユズ本部長!」
「ひっい!いや…イチョウ!いくらなんでも返事が帰ってきてから開けてくださいよ!びっくりしたよ!」
「すみません!聞きたいことができまして。以前…」
「清々しく謝ったけど、全然悪いって思ってないでしょ!急いでいることは解ったよ…。座りなさい。ちゃんと聞くから。」
はぁとため息をついてソファーを進めてくれた。
この本部長は所長の次に偉い人となる。まぁ。支部長とは呼び方が違うだけで同じ地位だが…。うちの施設はNo.2がたくさん要ることになる。
でも…この人は貴族だから身分で言えばこの人の方が上か?どうでもいいか。
「僕が担当している丹頂鶴の獣人のご利用者様のことなんですが…。マネージャーよりお客様のお心が真剣になりつつあると報告がありまして、少し緩めてもよいだろうと共通の認識が出来ましたので、ご利用者様にお伝えしたのです。すると…お客様が人族であるのにご利用者様からよい匂いがしていると言われたそうです。この状態聞き覚えがあったのですが…本部長どうですか?」
「本当に?」
「はい。だから抑えが効かなくなるから触れ合いは無理だと言われました。」
「私の担当以来だね。そのまま上手くいけば、そのカップルが真の番になれるかもしれない…喜ばしいことだよ。人族やドワーフ族、エルフ族は番の感覚がないとは有名だよね。でもこれ一部間違いなんだ。獣人族らは匂いと言うかフェロモンをかぎ分けているって言われているけど…。人族にもドワーフ族にもエルフ族にも鼻はあるし、動物何だから匂いやフェロモンはかぎ分けられるんだよ。獣人族ら程鋭く無いだけなんだ。かぎ分けることで自分の遺伝子と遠い配偶者を探しているんだ。そうでないと良い子を産めないからね。だからある年齢になると近しい遺伝子を持つ親などの匂いが臭いと感じるようになる。今では父、母の嘆きになってしまっているけどね。」
「あーー。なるほど。」
そんな原理が!!世ののお父さんお母さんにお知らせしたい!!
「だから、一緒の空間に居ても不快にならないと言うだけで匂いを受け入れているのだからある種今までのお客様の方はご利用者様方を受け入れていると思って良んだ。でもこれ表に出ちゃうとご利用者様方が鬱陶しい状態になるから機密になっているだよねー。イチョウくんも内緒だよ?」
ですよねー。俺の匂いをかげ!ってすごいことになりそう…。公にしない!賛成です!
「守ります。絶対に!」
「稀に匂いを感じるようになるお客様もいるんだ。しかも幸福を感じているのならばもう当たりだね。真の番になれると思うよ。しくじらなければ。」
「うっ。今は面会中止にしています。どうすれば良いか解らなくて…二人の流れに任せた方が良いですか?」
「うん。私はそっちを選択したよ。周りがギャアギャアいうと寧ろ悪化するかもと思ってね。一週間分位の食料と風呂付きと防音付きの部屋に2人を押し込めた。後からめっちゃ怒られたけどねぇー。」
「でしょうね。」
本部長はニコニコ顔でふーと紅茶を冷ましながら僕の答えを待っている。面白そうに!
チッ。やっぱり確信犯だった!!
「解りました。僕も腹をくくります。本部長が押し込めたお部屋は何処にあるのですか?」
「よくぞ聞いてくれました!!立ち入り禁止の離れがそうだよ。鍵は渡しておくね!掃除もヨロシク!食料うんぬんは私が可愛いぃー大叔父さんのために用意して経費で挙げといてあげる。掃除終わったら声かけてねー。」
ちくしょー!!
僕は掃除道具一式を持って離れにと走り、掃除に明け暮れた。準備が整うと本部長に連絡を取り食料を搬入してもらい、2人を呼び出した。
後は後始末。物凄く大変だろうと思われたが2人が既に成人同士のラブラブ。むしろありがとうと感謝され、しかもこの蜜月でおめでた。
まぁ。獣人で鳥人族で丹頂鶴。おめでた迄の期間はミラクルというか早すぎない?としか言いようがないが…。
そして、ご利用者様は絶滅危惧種の丹頂鶴族。良いことしかない!と言うことであまり怒られずにすんだが…始末書と報告書をまたも所長に出さなければならなくなり…僕の残業は決まった。
お家に帰りたい。
本部長の名前は家名にしたかったのですが…。まだ、そうするといちょうくんの正体が!?
ということになりまして…鳴りを潜めることにしました。
作者もいちょうくんに睨まれたくありません。