王子に婚約破棄されたら王女の婚約者になりましたわ
「リディア・フォンテーヌ!今ここで、貴様との婚約を破棄する!」
本日は王立学園卒業生に向けてのパーティーが王城の一室を借りて開かれている。そのお祝いの雰囲気をぶち壊そうとしている言動を言っているのは、この国の第一王子に当たるアレックス・ランパード殿下。
彼の後ろでは、見た目だけなら可憐そうで守ってあげたくなるような雰囲気をしている女性が、怯えたように引っ付いている。確か名前はアリス・メイナード男爵令嬢でしたかしら。男爵家の庶子で最近まで平民だった。今の恰好はさながら姫を守る騎士といったところかしらね。
全く何を考えているのかしら。先ほどまでのお祝いの雰囲気が台無しよ。
パーティーに出席していた人々の視線が、彼と私に向けられている。
「婚約破棄……ですか」
申し遅れました。私はフォンテーヌ公爵家の長女、リディア・フォンテーヌと申します。
一応目の前の馬鹿の婚約者……いえ、今この時を持って、元婚約者になるのかしら。
「理由を、お伺いしてもよろしいでしょうか?」
「理由だと?白々しいことを……貴様は、私のアリスに対し幾度にもわたって嫌がらせをしている!そのような悪女は、次期王妃にはふさわしくない!」
「嫌がらせ?私にはそちらの令嬢に嫌がらせをする理由などありませんが?」
「そんなの決まっているだろう!貴様は私に惚れているのだろう?だからアリスに対し嫉妬した。それで君は取り巻きに指示をだしてアリスに……なんて最低な奴なんだ」
……何を言っているんでしょう、この馬鹿王子。私たちの婚約は、王家からの話だったことを忘れているのかしら。私は貴方のことを一度たりとも好きだと思ったことはありません。
我がままで自分勝手で、何かにつけて身分を傘に着て周りに威張り散らして。そのくせ勉強は全く出来ず、学園の成績は毎回赤点。彼が今日卒業できたのも、近隣諸国に対し不名誉な情報は与えないためだというのに。普通の学生なら確実に留年よ。
「殿下。そこまでいうからには私がやったという証拠がおありということですね?」
「証拠だと?そんなもの必要ない!アリスが言っている事なのだ。間違いなどあるはずない!」
王子の言葉を聞いて、私だけでなく周りの方々も、何言っているんだこの王子?と訝し気な様子。恋は盲目とはよく言ったものですわね。元々馬鹿でしたが……ここまで酷かったかしら?呆れ果てて言葉もありません。
私の様子をみた王子は、得意げな表情になり、やり切ったと言わんばかりの様子。
「……私がそちらの方に仰ったのは、『婚約者のいる方に近づく際は、要らぬ噂にならないために、必ず誰か友人と一緒に伺うもの』『爵位が低い方から声を掛けるのは不敬だ』という貴族として当たり前の常識を教えただけですが?」
「そ、そんな……嘘です。私は皆さんに集団でいじめられました。アレックス様、私怖くて不安で夜も眠れなくて……」
「あぁ、可哀そうなアリス。今まで気付いてあげられなくてすまない。これからは私が君を守るからね」
「アレックス様。嬉しいです……」
こちらの話を聞いていないとばかりに自分の世界に入っている二人に、見ていて吐き気がいたします。
なんですか、この茶番。
周りの人たちも「何言ってるんだ」って飽きれているのに気付いていない様子ですし。こんなのが次期国王など、お先真っ暗で仕方ありません。
「リディア・フォンテーヌ!貴様を国外追放とする!しかし王とは寛大でなければならない……アリスに頭を下げて今までのことを詫びれば、特別に側妃として側においてやろうではないか。さぁ、アリスに謝れ!」
お花畑に入っていたと思ったら今度は国外追放ですか。最近平民に流行のロマンス小説じゃあるまいし……ってそこにいる女性は元平民でしたね。その人の入れ知恵かしら。というか貴方にそんなことできるはずないのに……。
「殿下。貴族に対して処分を決定する際には、必ず貴族院で審議に掛けなければなりません。それはこの国の法で定められています。王子の勝手にできることではありません」
「黙れ!そんなの私は知らん!私が次期王なのだ。私の言うことだから貴様が従うのは当然だろ!」
……今すぐこの馬鹿の顔面を殴りたくなりました。手にも持っている扇がミシミシと音を立てています。ほんとに王子でしょうか?この人。この国の法すら知らないなんて。貴族に生まれたものなら子供でも教わっていることなのに。私も周りの方々も王子の言ったことに絶句しています。
学園の授業だけでなく、国王教育すら何かにつけて逃げ出しているというのは、前から知っておりました。そのせいで本来王子が行わなければならない公務は、彼の妹である王女殿下と既に王妃教育が終了していた私で行っていたのですから。
それに彼はまだ第一王子。王太子ではありません。そのことを理解ししていないのでしょうね……。
「殿下。殿下は第一王子ではありますが、王太子ではありません。今の殿下にはそのような権限はありませんよ」
「ええい!何をわけのわからんことを。第一王子の私が次期国王になるのは当然だろう」
彼が言い終わったところで、タイミングを計ったかのように会場の扉が開き、王家の近衛兵が室内へ入ってきた。
「近衛兵か、丁度いいところに来た。お前たちこいつをすぐに連行しろ!」
王家の近衛兵が私たちの方へと近づいてくる。そのまま、私の事を拘束――することはなく、私を素通 りして、王子の元へと近づいていくと、とある人物を拘束する。
――殿下の後ろにいた女性を。
「いやっ!離してっ……!」
「アリスっ!?……貴様ら!捉えるのはリディアのことだろう!アリスから離れろ!不敬罪で処罰してくれる!」
近衛兵が拘束したのは、私ではなくアリス嬢。王子は、アリスを拘束している近衛兵に近づこうとしているのを、同じく近衛兵に押さえつけられている。
近衛兵があなたの言うことを聞くわけないでしょう?近衛兵は国王の兵なのだから、国王が貸し与えない限り、王子の貴方だって使えるわけないでしょうに。それこそ、許可なく使おうとしたら罰せられるのは王子だというのに。
本当にこの王子は……馬鹿は死ぬまで治らないと遠くの国の言葉にありましたが、その通りですわね。
「離せ!罪人は、そこにいるリディアだ。アリスは被害者……」
「罪人はその男爵令嬢ですわ」
王子の声を遮るように、近衛兵の入ってきた部屋の入り口から、声が聞こえてくる。部屋にいる人たちが一斉に声のしたほうを見る。
「アリーシャ……」
「久しぶりですわね。愚兄」
女性の名前は「アリーシャ・ランパード」。この国の王女殿下で、王子の妹君で在らせられるお方。妹といっても、王子は王と側妃の間の子なのに対し、アリーシャ様は現王妃様の子である。彼女は王位継承権第二位に位置しているが、本来彼女が継承権第一位。王太女となるはずだった。
しかし彼女には、王太女になれない問題が1点だけあり、仕方なく王子が継承権第一位に位置している。
最も第一位止まりで王太子には指名されていないのですが……
アリーシャ様は王子とは正反対とさえいえるほどの才媛の持ち主で、10歳の頃には周辺諸国の言語を全て習得しており、王妃様譲りの王国一の美しさと称される美貌も相まって、王妃様が行っていた外交業務を成人前にも拘わらず既に行っているほど。
アリーシャ様が外交を行うようになってから、周辺諸国との間に戦争一歩手前ともいえる緊張関係が全く発生することがなくなっていることからも、アリーシャ様のお力の程が伺える。
王子は昔からアリーシャ様と比較されてきた。アリーシャ様ができることが王子にはどれも全く出来なかった。または習得に時間を要していた。
「アリーシャ様は既にできるのに……」
教育係はおろか、王宮勤めの侍女にも陰でそのようなことを言われる始末。そのことに同情する気持ちはさすがにありますが……。それでも国王陛下から継承権第一位を賜っていたのですから、それに見合う教養を身に着ければいずれは王太子、そして次期国王となるはずであったものを。
「私の妻となり、次期王妃となるアリスが罪人だと……ふざけた事をいうな!こんなことをして……アリーシャであっても只で済むと思うなよ」
王子の相変わらずの発言にアリーシャ様は、呆れ果てていらっしゃる。
「本当に馬鹿ですわね愚兄。ファーラン男爵家は、隣国から金品を受け取り、王国の情報と領土の物資を横流ししておりました。そしてそこの男爵令嬢は、王子を篭絡して機密情報を聞き出すためのスパイ。最終的には次期王妃となり、王国を隣国の属国とすることが目的みたいね」
「……は?」
何を言っているのか理解できないというような表情で、アリスを見ている王子。
「ち、違います!そんなの出鱈目です!信じてくださいアレックス様。私は貴方のことを心から愛しております!」
「無駄ですわ。既に男爵から、全て聞き出しております。それに貴方、愚兄の他に入れ込んでいる殿方がいるそうですね……相手は確か王都にある娼館の男娼……」
「ど、どうしてそれを……」
王子に取り入ってこの場を乗り切ろうとしているアリス嬢だったが、父親である男爵が全てを自白したばかりか、自分の動向を全て知られていることを知り、先ほどまでの必死だった様子が嘘のように、衛兵たちの拘束を振りほどこうと抵抗していた力を抜き、すっかりおとなしくなっている。
「ア、アリス?何かの冗談なんだよな?君は私の事を心から愛していると。アリーシャが言っているのは、馬鹿げた戯言なんだよな……」
王子がアリス嬢にすがるように見ているも、アリスは王子の事を見向きもしない。
「……ええ、そうよ。全て本当の事よ。それが何?」
アリス嬢は先ほどまでの愛らしさを振りまいていた態度と一変して、冷たい視線を王子に向けている。
「……なんだと。貴様、私をだましていたのか!」
「そうよ。それが何?最初からあんたのことなんて好きでも何でもなかったわ。王子じゃなきゃ、あんたみたいな何のとりえもない馬鹿に近づくわけないじゃない。」
「貴様!……よくも、よくも私を謀ってくれたな!不敬だ!処刑だ!今すぐ刑を執行してくれる!」
アリス嬢の言葉を聞いた王子が激高して今にも襲い掛かろうとしているのを、衛兵が必死に押さえつけている。
「勝手に処刑だなんだと仰らないでくださる?この者は、国の法に乗っ取って厳正に処罰します……連れて行きなさい」
アリーシャ様の命に従い、衛兵たちがアリスを連行していく。王子は、さっきまでの優しかった態度と打って変わって、アリスの連行されていく後姿を憎々し気に見ている。なんと心変わりの早いお方。貴方の愛とは所詮その程度のものということですわよ。
それにしても本当に婚約破棄されることになるとはね……ここまで王子が馬鹿だったとは、私も気付きませんでしたわ。ともかくこれで私は自由の身、ですか……この前アリーシャ様が仰った事はどうしましょう。……やっぱり断れませんよねぇ。
「皆のもの!聞いてほしい!やはり私は、リディア・フォンテーヌを私の妻として迎えることをここに宣言する!」
……何言ってるんでしょうこの馬鹿王子?
皆さんも同じ気持ちでしょうか。あたりはしんと静まり返っている。
「リディアよ。君との婚約破棄の破棄を宣言する!やはり私の妻には君がふさわしい。ともにこの国を導いていこうではないか!」
「お断りします」
当然即答します。誰が好き好んで、貴方みたいな馬鹿と一緒になりますか。破棄の破棄って子供の言い訳かなんかですか?どこまで王子教育をサボればここまでのことをいう人になるんでしょうね。理解できませんわ。
「なんだと!次期王たる私だぞ!貴様は将来の王妃になるのだ!どうして断る!」
貴方が王になったら、ほとんどの国民が国から逃げ出すんじゃないかしらね。それに恐らくもう貴方は……。
「あんたは王にはなれませんわ。愚兄」
王子の言葉に割って入るアリーシャ様。
「アリーシャ。馬鹿をいうな。私しか王になれるものはいないのだ。次期王は私に決まっているだろう?そんなこともわからない者が私の身内にいるとは、思いもしなかった」
「貴方の王位継承権はこの場を持ってはく奪されました。王太女は正式に私に決定いたしましたわ。これは国王であるお父様が正式にお決めになったことですわよ」
「……冗談をいうな。、男性に触れる事すらできないであろう。そんな世継ぎを残せないやつが次期国王だと?」
それこそがアリーシャ様が王太女に慣れない理由であった。アリーシャ様は、男性に触れる事ができない。
当初は才能に恵まれ、王妃の息女であるアリーシャ様が王太女となると誰もが思っていた。
しかし、婿候補との顔合わせの際に、アリーシャ様は婿候補全員を完膚なきまでに叩きのめしてしまったのだ。アリーシャ様は、格闘術や剣術に至るまでの能力も秀でており、現騎士団長ですら辛うじて勝利できるほどの実力である事から、その能力の高さがうかがえる。
ここまでだと、婿候補が不敬な行為に及んだのかと誰もが思うが、実際に婿候補たちは、何もしていない。お茶会で話をしてエスコートをしようとしただけだ。貴族子息なら当然の作法で何ら不自然なことはない。
……ただ、アリーシャ様に触れた途端に投げ飛ばされて、ボコボコにされただけ。
ここで一つ言っておくと、アリーシャ様は男性が嫌いというわけではない。父である国王はもちろんのこと、王宮勤めの執事のことも慕っている。条件反射で身体が動いてしまうだけなのだ。
これにより王家の血筋を残すことができないため、国王陛下も仕方なく王子を継承権第一位にしたのだ。
……最も王子教育も全く終わっていないので、継承権第一位止まりで王太子には任命されなかったのだが。
「こちらにいらした時点で予想はしていましたが、交渉は無事終わったのですね」
「ええ、一つ予想外の事がありましたが、まあそれもこちらにとっては、問題ない内容でしたわ。それ以外は無事滞りなくね」
予想外ですか。アリーシャ様がそう言うのは少し気になりますね。一体なんでしょうか……。
「貴様ら私を無視するな!不敬だ!」
王子……いえ、元王子かしらね。何でもかんでも不敬不敬って……意味わかっていってるのかしら。これが本当に王家の人間かと思うと、飽きれて何も言えません。本当にアリーシャ様とは大違いね。
「 リディア・フォンテーヌ公爵令嬢。私の婚約者となってくださいますか?」
そう言うとこちらの右手を差し出しているアリーシャ様。私をまっすぐ見つめる其の眼差しに、無意識にドキッとしてしまいますわ。
「……喜んでお受けいたします」
私がそう言ってアリーシャ様の手をとった後、会場から割れんばかりの拍手が鳴り響いていた。この反応を見るに、私たちのことは皆さん気づいていらっしゃったの?
……少し恥ずかしいですわね。……っとしっかりしなくては。
これからは、アリーシャ様を支えて行かないといけないのですから。今よりもっとしっかりなさいませんと。
「いい加減静まれ!」
そんな雰囲気をぶち壊しにしたのは元王子だった。それには周囲の方々も冷ややかな目を向けているのだが、残念ながら気付いていないらしい。
「女同士で結婚だと?子供を作れない、王家の血筋を残せないのに、何を馬鹿なことを。気が狂ったか?汚らわしい」
その言葉に私は飽きれてしまいます。周りの方々も王子を白い目で見ています。本当に何もご存じないのですね。彼が王になったときは、冗談ではなくこの国が亡くなってしまうのではないかしら。そうならなくて本当よかったわ。
「……何もご存じないのですね。アリーシャ様が何をしていたのかを」
「そんなの私でも知っている。周辺諸国との外交だろ?」
王女の才覚は多岐にわたり、武芸から芸術に語学とあらゆる分野において秀でたものをお持ちだ。既に彼女の母である、現王妃の仕事も一部引き継いでいる。その内容が王国の近隣諸国との外交である。
外交といっても簡単な事ではなく。隙あらば、資源豊かなこの国に進攻しようと考える国も多い。その国々との外交は王妃様でも簡単ではなく。これまでに何度か小規模ながらも争いは起こっていた。
ところが、アリーシャ様が行うようになってから、それらの争いも起こらなくなり、王国は平和そのものといってもいい。最も、王女の能力を周辺諸国が知っているから、恐れて手が出せないといった国も少なくないが……。この功績は貴族のみならず、平民ですら知っているというのに……。
「では隣国で最近発表された、研究成果に関しては?」
「研究成果?そんなの私が知るか!」
……本当に彼は何も知らないのね。なんて愚かなのでしょう。
「呆れましたね。貴族なら知ってなければいけない内容でしょうに。隣国で発表された研究成果。それは……女性同士で子供を作る事ですよ」
「女同士でだと……」
今王女が外交に注力している隣国は、魔導だけでなく、人の生体についても研究を行っており、その隣国で発表された研究成果こそが、女性同士で子供を作ることが可能になったというもので、王女が一番欲していたものであった。
「流石に只で入手できるものではありませんでしたが。……それより喜びなさい愚兄。初めて国のためになることをできるのだから」
「……は?一体何を――」
元王子が言葉を発し終わる前に、近衛兵に拘束されてしまった。
「貴様ら何をする!私は王子だぞ!不敬だ!今すぐ処刑してくれる!」
「アレックス。貴方は廃嫡とし、国外追放とすることに決定いたしました。これは国王陛下が正式にお決めになったことです」
「なんだと、嘘だ……」
「ちなみに行先は隣国ですわ。隣国が研究成果を渡す条件として、貴方を指名してきたの。今行っている研究で貴方の身体が必要なのだそうですわ。男性同士で子供を作る研究にに、必要な遺伝子配列なのだとか……流石に私もそこまで詳しくはありませんが」
アリーシャ様が言い終わると近衛兵は、王子を連れて部屋を出ていこうとする。王子がなおも激しく抵抗している。
「離せ!不敬だ!私はこの国の王になる偉大な男だ!貴様ら覚えてろよ!」
「いい加減に静かにしてくださいませ」
私がそう言うと、王子の顔面を勢いよく殴りました。私ったらはしたない。つい今までのつもり積もった怒りからつい手が出てしまったわ。
王子は私の一撃であっけなく気絶すると、近衛兵に連れられて行った。このまま隣国まで運ばれるみたいね。
「やだ私ったら、はしたない真似を」
「私に比べたら可愛いものさ」
「そうでしょうか、私ちゃんと貴方の隣に立てるでしょうか」
「何を言いますの。あなた以外に、私の隣に立つのにふさわしい方はいらっしゃいませんわ」
そう言って私を見つめるアリーシャ様。そんな凛々しい姿を見せられたら、心臓がドキドキして落ち着きませんわ。これからもアリーシャ様と一緒にいるのですから、早く慣れないと。
ちなみにアリーシャ様は夜は、その凛々しい姿とは打って変わって、私に甘えてくるのですわ。そんな普段とは違う姿を見れるのが、私だけというのもそれはそれで、嬉しいものがありますわね。
その後、アリーシャ様は正式に女王となられました。その横で私が王妃として常に寄り添い、私たちの間には5人の子供をもうけ、その子供たちもアリーシャ様に負けない才覚を示し、この国を大陸有数の大国にしていくことになるのですが、それはまた機会が会ったらお話いたしましょう。
それでは皆さま、ごきげんよう。