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第五十八話 高貴なる禍唱

なんかこれまでの話を確認したら「――」と「——」が混ざってるんですよね。

これ、PCとスマホで繋がって見える方が別になっているみたいです。

自分はスマホとPC両方で書いてるので、そのせいですね。

どちらに統一するかまだ決めてないので、そのうち直すと思います。



「じゃあ……うん、やっていこうか……」


「「「アアアアア゛ア゛」」」


『これは酷い』

『どういう状況????』

『何なのだこれは!』

『音が……』



 とりあえず使える分の怨嗟鉱を出してもらったんだけど、想像以上に酷い状況になった。

 こんなにうるさいのに武器にしてしまって本当に大丈夫なんだろうか。まあ作るけど。


 まずは赤い剣身を作るために、怨嗟鉱を合金化していこうと思う。

 やかましいので一旦全部インベントリに放り込んで、それから合金精錬釜を設置。


 今回、怨嗟鉱の相方に使うのは紅玉鋼という素材だ。

 その名の通り、ルビーのような濃い赤が特徴的な素材で、素材としての使い勝手も良い。



「多分こんな色になると思うんだけど、どう?」


「ふむ……悪くないね。もう少し明るくても良いかと思ったけれど、この輝く青に合わせるのなら、この深い紅が適しているだろう」



 GOサインが出たので早速作っていく。


 ……と、その前に合金の仕様について話しておかないといけない。



「合金には大まかに二種類あって、名称が設定されているものとされていないものがある。例えば黒嘶鋼(こくせいこう)とウィロー雪鉄から作れる輕鋼合金(けいこうごうきん)は名称が設定されているタイプの合金なんだけど、これが仮に名称が設定されていないものだと、合金の名前は『黒嘶鋼-ウィロー雪鉄合金』になる感じ」



 名前が設定されてるものとされていないものでかなり違ってくる部分があるんだけど、今回重要なのは一つだけ。

 固有の名前があるものは運営がその組み合わせを認識しているものだからグラフィックが設定されているけど、名前がない物にはグラフィックの設定がない。

 なら、合金錬成釜で名前のつかない組み合わせの合金を作った場合、出てくるのがどんな見た目になるのかというと、これは左側に入れた素材の見た目が強く反映されることになる。


 つまり、今回の場合は左側に紅玉鋼を、右側に怨嗟鉱を入れれば、紅玉鋼のような見た目の合金を作れるということだ。

 まあ、この組み合わせで名称付きの素材が生まれる可能性もあるんだけど、その時はその時考えるということで。



 紅玉鋼を左に、怨嗟鉱を右に。

 名称のない合金の場合、温度はあまり関係してこないので、どちらも5にセットしてから精錬開始。

 ゴウンゴウンと音を立てて錬成釜が動き出し——



「「「——ア゛ア゛ア゛アアア!!」」」



 錬成釜の中から物凄い悲鳴が上がった。



「えっ?」


『???』

『ヤバすぎるwwww』

『怖』

『うわ』

『何だこれ大丈夫なのか!?』

『絶対呪われるやつww』

『これ中で何が起きてるんだ』



 地の底から響くような悲鳴が予想以上の大音量で流れ続ける地獄絵図。

 パラメーターにSAN値があったらゴリゴリと削られていきそうなこの状況に、流石のアリアも頬を引きつらせていた。


 悲鳴は30秒ほど続き、それが静かになってから合金釜の駆動音も止まる。

 中から出てきたのは、狙い通り紅玉鋼の外見を持った合金だった。名前も「紅玉鋼-ネルフラの怨嗟鉱合金」となっていて、固有の名称を持つ組み合わせでないことがわかる。

 とりあえずこれで想像通りの武器を作れることはわかった……が、残念ながら剣を作るには量が足りない。



「えっと……これをあと何回かやります……」


『嘘だろ』

『耳壊れた』

『勘弁してくれ』

『www』

『死屍累々すぎる……』

『これ以上はSAN値がピンチ』



 流石に悲鳴がうるさすぎるので、ほとんど使っていない二階の居住スペースから毛布を持ってきて合金錬成釜を覆う。

 その状態で起動すると、悲鳴は変わらず聞こえてくるとはいえ、先ほどよりも圧倒的にマシな音量になった。


 これを剣にして大丈夫なのかという不安がよぎりつつも、どうにか剣に必要な量の合金を作り終えたので、早速作っていく。

 さあ、まずは剣身を作っていく、のだけど……



「これ叩いても同じことになりそうだよね」


『それはそう』

『またあの地獄に??』

『鼓膜壊れる』



 私としてもまたあの悲鳴を聴く気にはなれないので、大人しくラーニングを使う。

 アリアに剣を見せてもらったときについでにラーニングもさせてもらったので、今回はその剣身部分を使わせてもらおう。

 必要数の合金を消費し、剣身を生成。



「「「ギッ…………」」」



 なんか断末魔みたいなのが聞こえた気がするけどもう気にしない。

 とりあえずこれで一番やばい工程は終わった。


 さて、ここからどうするかだけど……細剣なので、見栄えの関係上鍔はあまり長くしたくない。

 むしろ無くても良いくらいだ。

 その分剣の根本に装飾を施したいけど、どうしようか。

 正直この赤色に合う色はあまりないと思う。くすんだ金とかはアリだけど、それだけではちょっと弱い。

 それならいっそ剣の根本を二つに分けて、交互に重ね合わせるとかしてみてもいいかもしれない。


 まず二分した根本を左右に曲げ、それから逆方向に曲げて交差させる。これを三回繰り返して、根本部分の装飾とする。

 曲げた角はしっかり直角になるように削って、交点に別の装飾をつけても良い。


 ……と、ここまで目を逸らしてきたけどこれをやるにはさっき作った剣身に加工を加える必要があるわけで。

 なるべくなら避けたいところだけど、背に腹は変えられない。



「……よし。みんな、覚悟決めてね」


『ちょっと待て!!』

『嘘だろ』

『はやまるな!!!』

『配信見てて覚悟求められる状況、あるんだな』

『やめてくれー!』

『鼓膜破っておいた』



 コメント欄の悲鳴と怨嗟鉱の悲鳴が重なる中、私は心を無にして加工を進めて行った。




————————




「……完成」



 悲鳴との格闘の末、柄や装飾までどうにか作り終え、武器が完成した。

 出来上がった剣を掲げると、かなり弱々しくなった怨嗟の声が響く。

 コメント欄は死屍累々。フレーバーテキストを考える元気もなさそうだし、こっちで決めておこう。



「あ、名前の希望はある?」


「……いや、そちらで決めてもらおう。その方が、良いはずだからね……」



 アリアが、げっそりした様子で答える。

 未だに笑顔を浮かべているのはさすがと言う感じだ。



————————

禍唱剣レクイエム

武器種:直剣 必要STR:60

攻撃力+78、斬撃強化+16、闇属性強化+6、特殊強化【絶鳴】


死者の魂を集めて作られた魔の剣。製作中に多数の死者を出したことで知られる。

生者を切り刻む度に歓喜の悲鳴を上げ、力を増すが、所有者の生命力すらも削り取ってしまう諸刃の剣。

————————



 特殊強化【絶鳴】というのは、戦闘中徐々にHPが減るが、時間経過に応じてバフがつくという効果らしい。

 スキルがあまりついていないと思ったけど、恐らくこれがあるからだ。


 作っておいた鞘に剣を納める。

 一応吸音素材で作っておいたけど、持ち歩くときに声がするわけではないだろうし、あまり意味はなさそう。

 まあ気休めということで。



「えっと……これで大丈夫?」


「ああ。歌う剣にならないのは分かっていたし、その上で依頼したのだからね。……ここまでハードなものになるとは思っていなかったが……しかし、これも試練だと受け取ろう。この呪われた剣を使い熟せてこそ、アリア=リューエは輝けるのだから!!」



 このポジティブさ、少しで良いから分けて欲しい。

 作るのはこれまでの中でもかなり大変な方だったけど、結果的にはなかなかかっこいいものができたし、アリアのポジティブさを見習って、今回はいい経験ができたと思うことにしたのだった。



 ……今度エボニーに耳栓作ってもらおうかな。

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― 新着の感想 ―
[一言]  聖属性の鉱石や浄化作用のあるアイテムも混ぜてやれば、讃美歌……にならずともコーラス隊みたいな音を出す物が出来そうだと思ったけど、それは無理筋なのかな?
[一言] 耳栓って防具なのですか? ※一応、騒音を防いでくれるけど...
[一言] 耳栓(イヤホン型)はアクセサリーじゃない? 耳当て(イヤーマフ)なら頭装備枠に入ると思うけど
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