第四十八話 血浚いの大鎌
鎌はロマン
「……よし、柄はこれで完成」
『すでに禍々しい』
『武器職人楽しそうだな』
『なんかそのまま杖に出来そう』
「確かに形は杖っぽいかも。魔導素材を使ってないから、このままだと槍とか棍棒とかになると思うけど」
一部武器種には、武器がその武器種として認識されるために必要なパーツがあったりする。
以前作った魔剣という武器種には魔力を何かに変換するような性質を持った素材を使う必要があったけど、他の武器でも大体そんな感じで、杖の場合は魔導素材という魔力の流れを制御できる素材が必要になっている。
魔導素材についてはいろいろあるけど、杖の場合は長杖と短杖で魔導素材に求められるものが違っているので更に分けられるらしい。杖はあまり作ったことがないので、今度研究してみよう。
「で、刃の部分を作っていくんだけど、ここからがアプデで少し変わったところ。今までは金属のインゴットを叩いて形を整えて研いで……って感じに刃を作ってたんだけど、最近追加されたラーニングってシステムを使うことで簡単にできるようになってる」
タイミングを見計らってシダがインベントリから別の大鎌を出す。
黒鉄の鎌という、店売りの大鎌だ。
「ラーニングっていうのがどういうシステムなのかというと、簡単に言えば既存の武器の構造をコピーできるって感じ。実際にやってみようか」
スキルで黒鉄の鎌の刃部分を指定し、ラーニングする。データに名前を付けてから開き、消費するアイテムを選択。
こうして要求された量の素材を消費することで、ラーニングした刃と同じ形状のパーツが出来上がった。
「……という感じ。武器職人のマニュアル生産とか難しそうって思う人もいると思うけど、これを使えば既存の武器の好きなパーツを組み合わせた武器を簡単に作れるからおすすめ。形状はそのままに使われてる素材を変えるってことも簡単にできるから、見た目は好きだけど性能が自分と合わないって武器に使ってもいい感じかも」
『めっちゃ便利』
『武器職人になったらすぐに出来んのかな?』
「ラーニング自体は最初の方に覚えると思うけど、武器の強さに応じて必要なDEXが変わるから武器によるかな。あと、このラーニングは他の人が作った武器には使えないみたいだからそこも注意」
ラーニングできるのは、既存の武器と自分が作った武器のみに限定される。
まあ、人が作ったデザインをそのままコピーできるのは良くないという判断なのだろう。
「で、金床で刃を熱して柄と接続して…………よし。これで既に大鎌としてはベーシックな形だからそのまま使っても全然いいと思うんだけど、せっかくだしもっとカスタマイズしていこう」
そう言いながら、インベントリから二種類の素材を取り出す。
「蝕竜鱗と灼竜鱗。いわゆる属性竜素材ってやつ。最近はこれを入手できるエリアまでたどり着いた人が増えてるから、これ系のアイテムも武器に使えるようになったんだよね」
最近のエリアではドラゴン系のモンスターがよく出るらしい。ドラゴンといえばファンタジーの花形モンスターだけど、確かにこれ以前には見たことなかったかも。
火山のエリアで龍と名前のつくモンスターと戦ったけど、あれは肉塊が動いてるだけだったのでノーカウント。
それはともかく、黒い霧のようなオーラを放つ蝕竜鱗と赤く輝く灼竜鱗、それぞれの形を綺麗に整えて、灼竜鱗が少しはみ出るように蝕竜鱗で挟む。
これを三つ作って、柄の刃に近い辺りにくっつけた。
「なんかこういうのかっこいいよね。黒い装甲の隙間から赤とか緑とかの光が覗く感じのやつ」
『わかる』
『わかる』
『パワードスーツとかにあるやつ』
『あー……わからなくはない』
『言わんとしてることはわかるわ』
『黒と原色の組み合わせは最高』
「みんな意外と理解してくれるね。……あ、言い忘れてたけど、素材に使ってるのは竜血鉱石っていう素材。キャパシティ値高いし名前がテーマに合ってたしで採用したよ。説明によると、イドラフィアロ大竜墓っていうエリアで採れるみたい。行ったことないけど」
『全体的に血で統一されてるんだな』
『古傷が痛むぜ』
『イドラフィアロってまあまあ最前線の方のダンジョンよな』
『血属性とか付きそう』
『血属性ってあるんだっけ』
『基本属性には無いよな。他は知らんけど』
という具合で、他にも装飾的なパーツをいくつか付け足していって……
「はい、これで完成。名前は血浚いの大鎌で」
『おおおお』
『8888888888888』
『めっちゃカッコいいな』
『流石だ……』
『これいくら?』
『武器職人ってこんなん作れるのか』
『これ欲しいな。弓使いだから使えないけど』
コメントが沸き上がる。
武器職人に興味持ってくれたらしき人もちらほら見えるし、大成功かも。
ただ、いつも通り私の武器製作はここでは終わらない。
「というわけで……ここからはみんなの出番だよ」
『待ってました!!』
『きたー!』
『夜明けに取り残された闇の結晶を鎌としたもの』
『血の底から這い出る死神が所有するという鎌』
『人の血を浚い、定命を断つ死の鎌』
『血の泉から引き揚げられた神代の遺物』
『オブシディオに対する恨みの声が夜な夜な響くという』
『!?』
『竜一匹分の血を用いて作られた、伝説の鎌』
『なにこれ』
『!?』
『急に長文コメントが大量に』
「私がいうのもあれだけど、だいぶ訓練されてるよね……えっと、これは武器のフレーバーテキストを見てくれてる人に決めてもらおうっていうやつです。エボニーのところではこういうのやってないの?」
「そうね。こういうのも魅力的だけど、私にはうまくできる自信がないわ。フレーバーテキストを決めるというのは、少し興味があるけれど」
『やってみても面白そうだけど収拾つかなくなりそうではあるよね』
『フレーバーテキストってそもそも書けるやつだったのかあ』
『まあ配信スタイルは人それぞれだからね』
『コラボだし今回だけやってみるのも面白いかも?』
「……という感じで、武器職人についてはだいたい分かってもらえたかな。今は武器職人ってほとんどいないけど、プレイヤーの進行度がある程度のところまで行ったら武器職人の需要も一気に増えるだろうし、将来を見据えて今から始めてみるのもいいと思う。気になった人は是非私のチャンネルに。ほとんど毎日配信してるので。……はい、というわけで次はエボニーの番」
「ええ、任せて頂戴」
上手く行ったという満足感と共に、私はエボニーにバトンを渡した。
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血浚いの大鎌
武器種:大鎌 必要STR:46 必要MP:175
攻撃力+44、闇属性強化+7、弱体成功率+5、出血付与+3、斬撃強化、吸血武器、吸血効果『衰弱付与』、吸血強化『闇属性』
血の底から現れる死神が所有するという、人の血を浚い、定命を断つ死の鎌。
黒曜に染まったその柄からは、数多の冒険者の怨嗟の声が響くという。
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