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第四十話 紅く高貴なる鉄槌

物語を進めなきゃ……って思ったんですけど、武器生産を見に来てる人も多そうなので武器作るだけの話もどんどん入れていきます



「よし、じゃあ次作ろう」



 リガーラットワースを作って、すぐに次の武器に取り掛かる。

 作っている最中にも、いくつかメッセージが届いていた。放送を見てくれてる人が送ってるのかな。

 ゲーム内メッセージを使ってるのでアリフラをやってる人じゃないとリクエストは送れないわけだけど、視聴者の半数以上は実際にプレイしてる人っぽいし。

 もしかしたら、私の配信を見てアリフラを始めた人とか、生産職を始めた人とかがいるかもしれない。いたらいいな。



「リクエスト、思ったよりも多くて迷うなあ」



 この量はちょっと、私一人では到底捌けそうにない。

 オーダーメイドとは違う、依頼する側からすれば結構なランダム要素のあるシステムなのにこれだけ依頼が来るのは、それだけ武器職人がいないということなのかな。


 まあ、リクエストの内容を見ていくと、作れそうなのはその中の半分以下になるわけだけど。

 レーザー兵器は今の技術で作れる気がしないし、エクスカリバーはなんか恐れ多い。というかゲーム内に既に存在してそう。

 良さげなのは……



[叛咬(はんこう)する鉄繊(てっせん)]を使った戦鎚。STRは不問……これ良いかも」



 特定の素材を使うという制限のついた依頼だ。

 これに関するルールは事前に定めてある。

 素材に関しては、受け渡す手段が面倒だったりリクエストの方式的に作る前に受け取ると面倒になったりととにかく面倒なので、一先ずはこちら側で用意することにして、完成した武器を依頼主が購入するならその時に素材を受け取る感じになる。

 もちろん、素材の代わりにその分の料金を上乗せして買うことも出来たり。


 まあその辺はとりあえず置いておいて、指定された素材の方を見ていこう。



叛咬(はんこう)する鉄繊(てっせん)は……これか。鉄の布みたいな感じだね。入手場所はカーガリ鉄橋……って書いてあるけど、どこ?」


『どこだそれ……』

『確かツヴィリングとフォラエラの間のどこかだったはず』

『エリア多すぎてよくわからないよね』

『都市と都市の間って絶対通らないといけないところが基本一つしかないからなあ』


「ツヴィリングは三つ目の都市だったっけ。じゃあ別に最新の素材ってわけでもないか」



 最近ルートが開拓されたレオーネ以降の物ではないらしい。まあ素材箱の中にあるし、金で買えるくらいには流通してる素材ということか。

 まあ、今回は要求STRの制限もないのでその辺りは特に気にしなくてもいいわけだけど。



「パッと思いつくのは鎖帷子(くさりかたびら)みたいな使い方だよね。防具だけど。戦鎚に使うなら……柄に巻く感じになるかな」



 なんて言いつつ、付くスキルを推測するためにフレーバーテキストを読んでみる。



————

叛咬(はんこう)する鉄繊(てっせん)


金属を織って作られた布。

鋭い棘が至る所から突き出ており、触れた者を傷つけるが、握り締めれば強く噛み合い、激痛と引き換えに力を与える。

————



「あー……なんとなく分かった」



 これ多分二択だ。

 戦鎚に当て嵌めるなら……打撃部に使うことで刺突系のダメージを与えられるようにするか、柄に使うことでデメリットと引き換えに高い火力を引き出すか。

 どちらでも効果を発揮しそうな書き方だけど、わざわざこの素材を使うなら……確実に後者だ。



「デメリット付きの高火力。ハンマーを使うプレイヤーなら、火力は高いほうがいいよね」


『火力こそ正義、火力こそ教義』

『ハンマー、マジで爽快だよな』

『ボス戦とか立ち回りむずいけどね』



 さて、一つ決まれば他も連鎖する様に決まってくる。

 戦鎚の形状と柄の棘。その二つを組み合わせて考えた時に思い浮かんだモチーフをもとに、今回の武器を作っていくことにした。



 まず使うのは、金属化した樹木であるアーロイド樹鉄。磨く事で緑色になるこの素材を基本的なハンマーの形に加工し、ベースとする。


 次に、燃え盛る様な赤が特徴的なイデルハイト赤輝鋼を熱して伸ばし、平べったく加工してから反らせるように曲げ、鎚頭に何枚も重ね合わせていく。

 同様に、フィール緑輝鋼も薄くしてから鎚頭と柄の間辺りに配置。

 それから叛咬する鉄繊を柄に巻き、金床で変質させて固定させる。


 工程としてはこのくらいで、あとは装飾を付けていくだけではあるけれど、この時点で既にモチーフの形は見えてきてるはずだ。



『花かー!』

『薔薇かな』


「うん。結構それっぽい形になったかな」


『花のハンマーとか考えたことなかったな』

『なるほどね』

『柄に棘生えてるしピッタリじゃん』


「そこから考えたからね。一つの思いつきから作ったけど、結果的に武器としても上手くまとまったからよし」



 細かい調整などを終えて、武器として完成させる。

 名前は叛く鉄の薔薇(アポスタシー・ローズ)。フレーバーテキストは今回は自分で決めることにした。


 武器のスキルを見てみると、攻撃力や打撃強化など今までとは比べ物にならないくらい強くなっている。

 もちろん、スキル群の先頭に表示された『反動【ダメージ】』というデメリットスキルがあってこその値なのだろうけど。



「薔薇のモチーフは頭に入ってるけど、それをハンマーに合わせるって発想はなかったし、リクエストって結構良い経験になるからみんなもやると良いよ」


『おう!(剣士)』

『任せろ(拳闘士)』

『まずは生産職になるところからだな(狩人)』

『もうお分かりだろう。生産職がいないのである(巫術師)』


「少しは生産職に興味持ってほしいな……」



 配信者として、生産職を流行らせるという使命があるような気がしてきた。


————————

叛く鉄の薔薇(アポスタシー・ローズ)

必要STR:62 武器種:戦鎚

反動【ダメージ】、攻撃力+71、打撃強化+6、風属性強化+2、粉砕付与


薔薇を象った戦鎚(ハンマー)

重さ以上の高い破壊力を備えるが、その代償に振るう度に使用者を傷つけるという『薔薇に棘あり』を体現したような武器である。

————————



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― 新着の感想 ―
[良い点] 今回はバラのハンマー! この作品を読んでいると厨二心が刺激される武器がいっぱいで、次はどんな武器を作るのか楽しみです。 これからもこような武器が出てくることを期待しながら待っています。 […
[一言] 武器制作話すき ついでに要望を挙げると、その武器を買った人の感想も読みたいかなぁ……一話形式でなくても、掲示板の1レス程度でもいいので。
[一言] 『薔薇に棘あり』障子にメアリー 新しいコトワザの出来上がり
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