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第三十八話 ジュースをおごってくれる

出したはいいものの扱いに困る設定、それがジュース。ないと不自然だと思ってしまったので出さないという選択肢はありませんでしたけどね。

あと視聴者数とか登録者数に関してはかなり現実的ではないかもしれませんがご了承ください。E-Vaultには100万人越えがゴロゴロいます。



「……という感じのシステムにしたので。依頼というよりリクエストって感じかな。リクエストした人に優先的な購入権が与えられるだけで、言ってしまえばその人のために作るわけじゃない。本当は一人一人の要望に細かく応えて行った方がいいんだけど……この人数は無理だから。店に置く分も確保したいし、不完全だとは思うけどこのシステムでやっていくよ」



 とりあえず、配信の方でシステムを周知することにした。あとで文章としてまとめたものを配信の説明欄とかSNSの方にも貼っておこう。



『そういうシステムなのか。後でメッセージしとこう』

『専業武器職人とか全然居ねえから人も集中するよなあ』

『依頼者とのすり合わせはしない感じ?』


「今のところはすり合わせみたいなのはしないかな。時間かかるし。メッセージの段階で書いてある指定には出来る限り対応するから、細かいところ気にする人はその辺詳しく書いてくれればって感じ」



 将来的に武器職人が増えて依頼先が分散すれば私も時間がとれるようになるし、そうなったら出来るかもしれない。

 正直なところ、ゲームが進行していくにつれて武器職人が作る武器の需要は上がっていくだろうし、多少職人が増えたところでそれほど変わりそうにはないけど。



『というか一気に有名になったね』

『もう登録者数一万人でしょ。ヤバすぎ』


「エボニー達のおかげだよ。あとはまあアリフラがそもそも人気だし、運営も配信への動線整備してくれてるから」



 アリフラとE-Vaultとで連動報酬みたいなのもあるし、配信用の機能も充実してる。配信者に対するサポート的な要素も今後も色々追加していくと公式生放送で言っていた。

 かなり手厚いなと思うけど、実際、配信者って雇わなくても勝手に宣伝してくれるし、その人が何かやらかしたとしても公式に責任が来ないから良いんだろうな。


 なんて思っていると、チャット欄にやたら目立つメッセージが流れてきた。



『登録者10000人突破記念 [JUICE 10000!!]』


「うわ、早速ジュースが……」


『「うわ」てww』

『引いてるやんけ!』

『いつの間にか奢れるようになってる』


「一応できるようになってたし、設定しておこうかなって。いきなり一万円も来ると思わなかったけど……これ上限の設定とか出来ないのかな」



 1000円くらいが精神的に耐えられる限界値だと思う。

 というかジュースって名前なんだし120円とかそのくらいにして欲しい。



「これどうしたら良いの? 名前とか呼んだ方がいい?」


『名前呼ぶ人が殆どじゃね?』

『○○さんありがとうございます、的な』

『やらない人もいるけどね』


「なるほど。じゃあ、えっと……ユーレイさんジュースありがとうございます。……これだけで良いの?」


『大体そんなもんよ』

『ジュースでのチャットはチャット欄に長く残るし、金かかってる分配信者もほぼ確実に読むからその為にやってる人がほとんど』

『アイドル系配信者の頂点の生放送は10万円のジュースが飛び交う』

『そこまでいくとジュースというかドンペリじゃん』



 恐ろしい……だってこれ読まれるだけだし、その為だけに何万も金かけるって凄いな。

 というか読み上げられるだけだったら金額関係ないし。

 もっと有意義な使い方が……って思ったけどその人にとっては有意義なのか。それならもう私からは何も言えない。


 こちらから何か見返りを提示しようかとも思ったけど、それやるとどんどんジュースが増えていくスパイラルに陥りそうなのでやめた。コメントを読む限りではそういうのは求めていないみたいだし。



「まあ、貰ったジュースはありがたく使わせてもらおう。なるべく配信に還元したいんだけど……そうなるとヘッドギアを買い換えるくらいしか思いつかないな」


『好きに使ってええんやで』

『というか今日武器作らないの?』


「あ、武器は作るよ。というかもう作ろうか。早速メッセージも来てるし」



 既に結構な数のメッセージが届いている。

 いくつか開いて見てみると、超巨大ハンマーとか投げる用の刀とかドリルとか、実用的なものから一発ネタみたいなやつまで様々だった。

 というかドリルは作ってみたいな……連鎖剣(チェーンソード)の機構をそのまま転用できそうだし。ただ魔剣だと形状的に厳しそう。魔剣はサブジャンルなので剣系の武器にしかつかないだろうし……魔槍(まそう)とかないのかな。


 作ってみたいものは多いけど、中には条件的に厳しいものも多い。特に装備スキルに関しては、wikiで確認できないようなものだとまず実在するのかどうかから確かめないといけない。

 属性を指定する程度ならどうにでもなるんだけど。


 というかたまに『日輪刀』とか『ベンズの中期型』とか具体的な武器の名前書いてあるんだけど、これ再現しろってことなの?

 既に大喜利が始まってる気がする。あと『機械鎧(オートメイル)』とかあるけどこれはエボニーに頼むべきだと思う。



「まあ……まずはこれかな」



 選んだのは、「風属性強化の付いた弓」というリクエスト。これまでに作ったことのない武器種で、なおかつ条件は緩めだ。

 これまでほとんどの武器に金属系の素材を使っていたけど、弓となると必要STRの関係でその辺はあまり使わないだろうし、新しい技術を会得できるかもしれない。このシステムは自分から作らないような武器を作るきっかけを作るためのものという側面もあるし。



「風属性だから……植物っぽい感じに出来るかな?」



 大まかな完成図を脳内で描きつつ、私は使えそうな素材を探し始めたのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 鬼殺隊が紛れ込んでいるのは草
[良い点] 弓いいね
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