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第二十九話 初コラボ

ゲームタイトルなんですけど、略称とかゲーム内における意味とかを考えた結果〈Alisphere Fragments〉に変更しました。

略称はアリフラです。そこ以外には特に変更点ないのでよろしくお願いします。



「というわけで、今回はゲストとしてエボニーがいます」


『!?』

『説明をすっ飛ばさないで』

『毎回やることが予想外過ぎる』

『シダPのせいで麻痺してたけどこの子も相当ヤバい気がしてきた』

『配信者は大抵おかしいから……』



 店に帰った私は、早速配信を始めた。当然、エボニーも一緒に。

 特に予告とかなしでやったことなのでコメント欄は「!?」で埋め尽くされている。これはこれで愉快。



「というかなんか酷い言われよう」


「正直言って全て事実だと思うわ」


「あれ、もしかして私の味方0人?」



 まあ、私もこんな展開予想していなかったけど。

 まさか自分の店の目の前にエボニーの店があるなんて、偶然……ではないとは思うけれど、少なくとも私は考えていなかった。冷静に考えれば、生産職が極端に少ないらしいこのアリフラにおいて最前線で防具屋を営めるようなプレイヤーと言えばある程度有名なプレイヤーであることが予想できるし、コメントで名前が挙がるくらい有名なエボニーは当然その枠に入ってくるだろう。

 というか店名にもなっている黒檀(こくたん)は英語でエボニーだった。英語力がないので気がつかなかったけど。


 まあ、何はともあれ武器を作ろう。

 四六時中渦巻いている私のインスピレーションだけど、今日は特に調子がいい。きっと他の店を見たからだろう。

 そんなわけで、構想を練りつつ早速材料を見繕っていくことにする。



「武器種は何がいいかな。でっかいハンマーとか作ってみたいけど、それはまたの機会にするとして……」


『刀作って欲しい』

『ライトマシンガン』

『弓』

『双剣とか?』


「なんか絶対に作れないやつがあった気がするけど……うん、私は双剣に惹かれたかな」



 武器種としては結構定番な気がする双剣だけど、私は未だに作ったことがなかった。

 何となく作ろうとしたことはあったけど、どういう判定で双剣になるのかがよく分からなかったので保留にしていたのだ。

 もちろん、その問題は解決していないのでそこから考えていくことになるけれど。



「武器種の判定ってどのタイミングで行われてるのかな」


「防具の場合は、ベースを作成した時点である程度決まるような気がするわね。武器も同じじゃないかしら」


「なるほど……じゃあ、最初の段階で剣が二本あれば双剣として判定してくれるって感じかな」


「まあ、同じように考えるのならそうね。と言っても、大きく形が変わることのない防具と違って武器の場合はスキル付与の段階で結構変わったりすると思うし、一概には言い切れないことだけれど」


「手探り状態でやっていくしかないね」



 仕方ない。まずは軽めの素材で試しに作ってみよう。

 鉄インゴットなどの入手しやすい素材を素材台に並べ、それから金床に移して整形していく。

 双剣として判定される条件に関しては、やはり最初に二本あることだと思う。一概に双剣と言っても種類は様々だし、他の剣の種類のように長さで判別しているとは考えにくい。

 二本あることが条件として、どこまでが双剣に含まれるのか……その辺も若干気になるけど、そういう研究はまたの機会に。


 なんてことを考えつつ、ハンマーを振るう。

 ショートソードを作ったときのように簡単な素材でシンプルにサクサクと。とはいえせっかく武器を作るのだから必要最低限の成形は行っていく。



「はい、完成」



 出来上がった武器は初期装備レベルでシンプルだったけど、武器種に関しては問題なく双剣となっていた。

 簡単な素材を使ったために能力値も平凡。同時使用で発動する双剣特有らしいバフもついていたけど、その効果値も低めだ。

 とりあえずツヴィリング・アイゼンと名前を付けておく。



「wikiに情報がないとこういうのも自分でやらないといけないから大変だよね」


「えっと……私は大抵使用人に任せてるわね」


「あー、確かにそのほうが早いか」



 エボニーならではの人海戦術だ。

 その辺りの仕様を確かめるだけなら生産をやりこんでいなくてもできるだろうし。



『つよい』

『流石エボニー嬢』

『マジ使用人って何者なんだ』

『俺が前やってたMMOは親衛隊クランとかあったけどそんな感じなのかな』

『一人ぐらい持って帰ってもバレなそう』

『すごい世界』


「すごいよね……って、なんかいつもより人多くない?」


「さっき私が誘導しておいたのよ。E-VaultのシステムにLeakage(リーケージ)って言うのがあって、それを使うと自分のチャンネルの視聴者を他のチャンネルに誘導することができるの」


「あ、そうなんだ。ありがとう」



 〈Alisphere(アリスフィア) Fragments(フラグメンツ)〉が提携している配信サイトで、いろいろな連携特典があるということで使っているE-Vaultだけど、使いかたに関してはあまりよくわかっていないところがある。使いこなせれば便利そうだし、今度色々調べてみよう。

 なんというか、アリフラをはじめてから調べる機会が増えた気がする。良いことだと思うけどね。検索力は情報力に繋がっていくし。


 何はともあれ、双剣は作れた。そのうえで、次は本命を作っていこう。

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[良い点] 双剣、それもまたロマン…
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