第十一話 エーレインの怪物
VR日間一位になってました!!!
ありがとうございます!!!
メイスを作ること十分少々。
「これで良し」
最後に形を綺麗に整えて、それから武器に名前を付けた。
[鮫戦棍ギレミス]
必要STR:48
特殊効果:攻撃力+27、打撃強化+3、装甲貫通+1
「ちょうどいい感じじゃない?」
『普通に実用レベルっぽい?』
『少なくとも店売りよりは強い』
『初心者でここまで作れるのか……レベルも低そうなのに』
『マニュアルならある程度プレイヤースキルでどうにかなるみたいだからな。まあステータスとかスキルまでついてきたらもっと強いの作れるわけだけど』
「ステータスかー……レベル上げとかしないといけないんだっけ」
なんとなくでここまで作ってきたけど、やっぱステータスとかは影響出るよね。
なんて思いながらステータス画面を開く。
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PN:ユーカリ=スターク
レベル:8
種族:ウィスドール
職業:武器職人(6)
所持金:1200リィン
HP:132
MP:126
STR:15
VIT:11
DEX:37(+15)
AGI:13
MND:13
LUC:17
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「あれ、戦ってないのにいつの間にか上がってる?」
『このゲーム、魔物と戦闘しなくてもレベル上がるよ』
「マジか」
『レベルって書いてある奴が基礎レベルで、これは色々な行動によって上がっていく。職業の横に括弧付きで書いてあるのが職業レベルで、これはその職業に合った行動で上がっていく』
『DEXの+15は職業レベルのステータスボーナスやね』
『種族毎のステータス差は結構あるけど、職業のボーナスがあるから意外と色々出来るんだよな』
『まあなんなら種族も変えられるしな。課金アイテムだけど』
なるほど。レベル上げのためにモンスターと戦わないといけないのかなって思ってたけど、その必要はないらしい。とりあえず武器だけ作ってれば大丈夫みたいだ。
「まだそんなにやってないと思うんだけど、結構レベル上がるの早いね」
『序盤はそんなもんよ』
『基礎レベルは経験値の要求量どんどん増えていくみたいだからなあ』
『この段階で職業レベル6は早くない?』
『多分レアなアイテム使ってるからだと思うよ。私もレアな素材使ったときに結構レベル上がったし』
「そういう感じなんだ」
本来ならレアな素材はしっかり効果が引き出せるようになってから使おうって思考になるんだろうけど、私の場合は使える素材が大量にあるのでレベル上げのために使うのがいいかもしれない。
金にものを言わせたパワーレベリングだな。
「あとはスキルも……増えてるね」
スキル画面を開くと、思ったよりも色々なスキルを会得していた。
どうやら殆どがパッシブスキルらしく、気づいていなかったけど効果は発動していたらしい。
アクティブスキルは今のところ、ハンマーの威力を上げる《フルスイング》と壊れやすい素材を扱いやすくする《シルクタッチ》の二つ。
フルスイングは波打つ大角を平らにした時みたいな状況なら使えそうかな。シルクタッチは今のところ必要な素材に出会ってないけど、将来的には必要になると思う。
「壊れやすい素材ってあるかな……どんなのがあると思う?」
『リビネの硝子珠とか見るからに脆かったな。レアアイテムだけど』
『まあ基本的なアイテムにはあんまりなさそうだよね』
『探せばあるんじゃね?』
「まあ、ちょっと見てみようかな」
そう言って、私は素材ボックスを開け——その瞬間、大きく突き上げる様な揺れが突如馬車を襲った。
「!?」
『何だこれ!?』
『めっちゃ揺れてたな』
『あ、そうかエーレインルートか』
コメントが一気に流れていくのを横目で見つつ、私は馬車から飛び出した。
「シダ、大丈夫!?」
「平気です! エリアボスの登場演出ですからね!」
「エリアボス……?」
シダが指差した方を見ると、巨大なイカが海から顔を覗かせてこちらを睨んでいた。
ファンタジー世界のお約束に則れば「クラーケン」と呼ぶべきであろうその怪物は、一際大きな二本の足を、道を封鎖する様に地面に投げ出している。さっきの振動はこれによるものだったのかもしれない。
「さあ、このくらいなら私でなんとか出来ますから、任せておいてください!」
そう言って飛び出していったシダを、私は呼び止めた。
「シダ!」
「? どうかしましたか?」
「が……がんばって!」
私からシダへ声援を。
あまりこんなことを言うタイプでもないと思っているけれど、これが戦闘能力を持たない自分が出来る精一杯だから。
「せ、先生……!!」
シダは感極まった様な声でそう言って、それから私に向かって両手を合わせた。
「……え、何で拝んでるの?」
「推しが尊くて……」
『シダPwww』
『推しって言い方よ』
『気持ちはわかる』
パトロンってそう言うものなの?
「応援ありがとうございます!! すごく元気出ました!! しっかり倒していきますよ!!」
笑顔でそう言って、今度こそシダはクラーケンとの戦闘を開始したのだった。
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あと「仇討つ魔眼の桃色少女」というVR小説を同時に書いているので、興味があればそちらも読んでいただけたら嬉しいです