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転生ヒーロー  作者: 衛門
プロローグ
8/8

第8話 能力の限界

「博士。吾妻さんの訓練結果です。」


姫宮君がそう言うと私のデスクにメールが届けられる。

私はメガネ型のARデバイスを掛けると空中に浮いた報告書を手元に引き寄せ目を通して行く。


「ふむ…。基本動作に違和感は無い様だね。」

「スポーツテストも特別問題なし…。」


何やら初耳のスポーツが全体の2/3を占めているが特に気にしない。

姫宮君のセンスは常人に理解出来ない部分がある。

逐一気にしていたら日が暮れるだろう。


「ほう。能力テストも出来たのかい?」


「はい。本当は明日に行う予定でしたが吾妻さんたっての希望でしたので。」


「良くも悪くも想定通りだね。」


吾妻君の能力は発電、放電、電流の操作を想定していたが概ね予想通りの結果となった。


まずは発電の能力だが

発電にはブドウ糖とミネラルを消費して行われており脳の活動に密接な繋がりが見て取れる。


要は脳が活動していれば発電自体は不随意的に行われている。

しかし特出すべきはその発電効率である。

消費しているカロリーに対しておよそ1000倍以上の発電を行っている。

人間の消費カロリーを発電換算すると一日で漸く白熱電球を付ける事が出来るとしたら

吾妻君はスポーツカーの馬力に相当するものだ。

これを随意的に行った場合の発電限界値に期待したいところだ。


次に放電だがこちらも不随意的運動と言えるだろう。

発電した電力を充電する能力無いため自己感電を防ぐ為に行っていると言える。

言わば自衛手段である。

随意的に発電すれば放電を同時に行っている為

ある程度は操作が可能と考えられる。


最後に電流だがこれに関してはあまり期待は出来ない。

アンペアは先の二つの能力に依存するのはもちろんの事。

意図的に操作出来る電流の方向性もせいぜい身体と認識している範囲でしかない。

これぐらいなら一般人でも可能である。


例えるなら腕を曲げようと脳が腕に電気信号を送り

腕が曲がり出すのと同程度の事である。


しかしにより優れている部分もある。

電気信号を出してから腕が動き出すタイムラグが運動神経とよべるものだが

この反応速度が極めて高い。


訓練や吾妻君に与える義体次第ではライフルの弾を目視し回避する事も可能である。


まさしく漫画の様な戦士となってくれるだろう。


私はこのデータを義体に反映させる作業を始めていく。

嬉しくてたまらない。

私の理想がもう間もなく現実となるのだから。


そうした作業を行いながら先程から気になっていた事を姫宮君に質問する。


「これだけの結果を出しながら吾妻君はどうしたのかね?」

「拗ねている様に見えるが?」


私は吾妻君が入ったケースを見やりながら姫宮君にたずねる。


パッと見は何も変わらないが音声システムが吾妻君側から全面カットされている。

復旧は簡単だが人間誰しもプライバシーと言うものがある。


「実はそれが…。」


姫宮君が事の経緯を説明してくれる。


「要は雷を撃ちたかったと?」


「そう言う事になりますね。」


姫宮君はやや呆れながら肯定する。


「彼はこの建物の電力全てをまかなう気でいたのかね?」


雷の電圧が約1億V。

電力にして約2,200世帯の一日分に相当する。

そんな電力を一瞬で義体に通されたら義体がまず保たない。

角付きの全高18mのロボットでも作れば話は別だろうが。


だがしかし吾妻君の気持ちはよく分かる。

男子たる者電気使いなれば雷を撃ちたいと思うのは当然である。


雷と炎は男子の夢なのである。

その失意の程は押して図るものである。


「今日はしっかりと休んで貰って明日は戦闘訓練の予定となっています。」


姫宮君には吾妻君の失意のほどが理解出来ない様で特に気にする様子も無く明日の予定を告げていく。


頑張れ吾妻君!負けるな吾妻君!

君の理解者はここに居る!

雷は無理だが男子の夢を叶える努力は嘘はつかないのだよ!

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