用語集
・異人
この世界における、異能の力を持つ異能者の総称。または後述の稀異人ではない異人もこう呼ぶ。生まれつき後述の異源素をその身に宿し、人の理から外れた者たち。
個体ごとにそれぞれ特殊な能力を持ち、身体能力も常人より高い。チカラを発現する年齢も個人差があり、その殆どが幼少期、十代を占める。
鍛えれば異人としてのチカラも強くなり、心の感情が強ければ強いほど威力が増す。
*表社会の異人に対する認識
表社会側は異人を見て見ぬふりをしていて認めておらず危険視している傾向にある。表には殆ど公になっていない存在のため、明確に知らない者も多い。
メディアにおいても裏社会の事件は正しく報道されず、もしくは報道すらしない。映っても表社会寄りで事件を話題作り、オカルト的に持ちあげている。
スポーツにおいてもドーピング対策とその教育のためという理由で、アマチュアでも必ずメディカルチェックを受けなければならず、それに合格しなければスポーツへの参加を認めない制度がある。そして異人だと診断を受けた者はメディカルチェックで不合格にすることで排除し、スポーツへの参加を認めていない。
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・稀異人
通常の異人よりも更に強いチカラを持った者がそう呼ばれる。
本来は異人が戦闘を重ねたり鍛練の末に磨きをかけて、稀異人と呼ばれる領域に達するのが通例で、その道のりも決して簡単ではない。ゆえに誰もが簡単になれるわけではない。
例外として生まれつき、通常の異人よりも最初から強いチカラと素質を持った個体が誕生することがある。初月諒花はこれに該当し、わずか十四歳で稀異人と呼ばれている。
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・異源素
異能エネルギー。この世界のあらゆる異能を引き起こす元であり、異人の力の源。
生き物の心に大きく影響し反応する特性があり、それが強ければ強いほど強力なチカラを引き起こす媒体となる。感情とともに異人によって様々な色のオーラとなってわきあがる。
*異人と異源素の関係
異人はこれをその身に宿しており、それを元にチカラを発動させるMPとしての役割を担う。
能力は無限に発動出来るものではなく、使いすぎると体に宿す異源素が消費され、エネルギー切れを起こす。休息や時間が挟めばまた回復する。どれぐらいでエネルギー切れを起こすかも異人によって異なり、チカラの特性と本人の実力次第で左右する。
強力なチカラを持つ異人ほど、強い異源素反応を発し、そのエネルギー量を機械で測定することで稀異人か否かが分かるようになっている。
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・異原石
異源素の宿った特殊な鉱石。見た目は赤、青、緑、黄、紫、桃と様々な色に輝く美しい鉱石である。多くは欠片となって発見され、砕いたり加工して使っても効果を発揮する。
異人の異源素同様に感情に作用する働きがある。鉱石によって宿っている異源素の質が異なるため、どのようなチカラが宿っているかも様々。
これを武器や防具の開発素材として使うことで異人と同等のチカラを宿した装備を作ることが出来る。使い方次第で異能を引き起こす、見た目は綺麗だが悪用すればとんでもないことになる、爆薬と同レベルで危険なアイテム。
裏社会においてはこれがどこからともなく採掘され、後述の異能武器などの装備が開発されている。
・異能武器
異原石を使って作られた武器の総称。普通の武器と異なり、その名の通り異能を宿している。
先端の重り部分に異原石を使って出来た氷の金棒、製造に異原石を使ったことで誕生した相手を感電させる稲妻銃弾など、形状は様々。
また、これと同じ方法によって、鎧の素材に異原石を使うことで特殊装甲の装備の開発にも成功している。
装備することで普通の人間でも異人同等のチカラを行使することが出来、普通の人間が異人に立ち向かう最も効果的な対抗手段。装備した人間の心に異能武器の異原石が反応することで異人にも劣らない戦闘力を得られる。
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・XIED
正式名称は異人専門捜査局。
アルファベット四文字の由来は英名の「Xeno Investigation Expert Department」の各単語の頭文字をとったもの。
裏社会の警察業務を専門に担当し、表社会の警察とは対を成す、影の治安を預かる組織。
裏から表社会の秩序を乱そうとするものなら、XIEDの存在が必ず付きまとう。彼らに捕まれば逮捕どころか最悪、武力でそのまま粛清される。
この世界の裏と表のバランスを保つ影の抑止力であり、武力行使も辞さない彼らを裏社会を生きる異人たちは常に警戒している。
初月諒花の実母、初月花凛は生前、この組織の捜査員だった。
XIED東日本支部の長官、中郷利雄は警視庁で言う所の警視総監に位置する、非常に高い地位を持った人物。
*XIEDと表社会の警察の関係
表社会の警察とは連携して事件捜査にあたる。警察側も捜査している事件の犯人が異人だと太刀打ち出来ないため、戦闘に長けたXIEDに捜査協力を要請する。XIEDが捜査をする際も警察に捜査協力を要請して後方支援を依頼するなど、基本的には互いに持ちつ持たれつの関係。
しかし、警察とXIEDの間を取り持つ刑事の蔭山貴三郎は、令状を出して半ば強引に捜査権を奪っていく中郷利雄のことを煙たがっているなど、人と人は完全に温厚な関係とは言えない。
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・部流是礼厨
渋谷に突如現れた、腕にハエのタトゥーをした謎の集団。泣く子も黙るギャングであり、異能武器を所持している。強盗、スリ、万引きの他、女性から荷物をひったくってスマホを盗み、裏社会の店に売り飛ばす悪事をしていた。本拠地は渋谷街外れの六階建ての古ビル。
その正体は物語開始の三か月前に池袋に拠点を構えていた、悪魔グラト・ヴェルゼバルを信仰するカルト教団、ベルブブ教の残党。
ベルブブ教は三か月前に突如頭角を現し、池袋を中心に急速に信者を増やしていった。だが、元々池袋に事務所を構えている暴力団、円川組との戦争に敗北し壊滅。逃げ延びた敗北者たちのうち、ごく一部が渋谷に現れ、部流是礼厨を名乗って悪事を始めたのが彼らであった。
残党となった彼らにアジトとして空きビルとなっていた古ビルと異能武器を与え、支援していたのはレーツァンである。レーツァンは彼らの信仰する悪魔グラト・ヴェルゼバルになりすまして信頼を得ると、初月諒花と戦わせるために都合よく彼らを手先として動かしていた。
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・異人限定バトルトーナメント
物語開始の三か月前、裏社会の帝王として知られるレーツァンが余興で開いたというトーナメント。開催場所は不明。
大バサミのシーザーと死神の樫木麻彩が決勝戦で戦い、見事優勝して栄冠と賞金を手にしたのは樫木麻彩。シーザーは準優勝者として、二人は裏社会に名を知らしめることになる。




