プロローグ 昔話1
少し長めの作品を完成させる前に前に、しっかりと完結させられる様な少し短めのお話を描いてみたいと思ったんだ
だいたい20〜30話ぐらいで完結予定かな
あれは保育園を卒業し、小学生に成り立ての春少し浮ついた気持ちで新しい学校生活が始まった春
僕、伊藤守は人生で初めて「理不尽」と言う言葉を覚えた
親がキレて「理不尽だろ!ふざけるな!」と教師に怒鳴りつけていたのを目の当たりにしたからだ
いやぁ、今自分で思い返したら凄い話だったんだ
少しだけ昔話に付き合ってくれよ
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「やーい化物!成敗してやる!」
僕の耳に言葉が届く。まだ声変わりもしてない純粋な高い男の子の声
次の瞬間、勢いよく振りかぶられ勢いのついた手の平が僕のほっぺを「パチンッ!」と快音が響くぐらい強く叩いた
突然も本当に突然。男の子が何か言っている…と少し振り向いた途端に、何も準備していなかった僕のほっぺたに紅葉のような赤い跡がついた
まだ4月、寒さが抜ききれていないひんやりした空気は、痛みと熱を強調させ思わず涙目になる
「痛い…」
そう呟いてほっぺたをさする。少し自分の手でほっぺたを触るだけで痛みが増していく。
もう我慢が出来ず泣いてしまいそうになる僕だったが、驚くような音量で響き渡る騒音が突然響き渡り、痛みを忘れさせるぐらいびっくりさせられ、目の前を見た
僕は目の前の光景が理解できず目を見開いた
騒音の原因は僕のほっぺを叩いた少年の泣き声だった
まだ子供で何も分からない自分でも、叩かれたのは自分で痛いのも自分だと何となくでも理解していた僕はその泣きわめく男の子の姿があまりにも印象的で呆然と見続けていた
後から知ったのだが、ひんやりした空気は僕だけでなく叩いた男の子の手の平にもダメージがあったらしい。
大声で泣き叫んだ男の子の泣き声は、周りの子や先生の心配を仰ぎ、駆け寄ってくる
僕は勢いよく腕を引っ張られ、職員室に連れてかれた
そして僕は怒られた
これは学校あるあるだと思うんだけど、事態を冷静に考えて公平に判断してくれる先生って必ずいる反面
事態をしっかりと理解出来ていない状況下でマウントを取り、怒りまくる先生は必ずいるものだ
僕はその時、たまたま後者のような先生に目をつけられちゃったらしい
その先生には僕が、僕のほっぺたを叩いた男の子を泣かせた様に見えたらしく、何をしたのかを聞くのではなく、頭ごなしに僕に
「ダメだろ!何やってるんだ!親を呼んで話すからな!」と怒りつけたのだ
怒られた事は、びっくりして収まっていたほっぺの痛みを思い出させると共に、出っ張ったお腹が特徴のがたいの良い先生に怒られた事が怖すぎて僕は泣いてしまった。
何も言えないままただひたすら泣いて、御機嫌斜めな先生を見て、さらに恐怖に駆られ家へ一目散に走って帰ろうとした
他の先生が来て話途中だった僕を怒った先生は、少し遅れたものの「あ!待て!」と叫びながら追いかけて来る
その追いかけてくる先生の鬼の形相に、さらに恐怖心を仰がれた僕は前を見れてなかった。
校舎をでようと、靴も履かないまま玄関を出る
その勢いで走り抜けた先、少しだけ空いていた学校の門を急いで出て、僕は右左も確認せず飛び出した道路。
僕は右から来た車に跳ね飛ばされた
どーん。