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帽子男の短編集

深夜のコンビニ

作者: 帽子男

 深夜のコンビニを狙う万引きの二人組がいた。一人は店員の気を引く係でもう一人は商品を詰め込む係だ。一見シンプルすぎてうまくいかない気がするのだが逆にシンプルすぎるのがミソで店員はマークはしない、更に彼らは深夜にしか犯行を行わない店員が少なく疲れているところを狙って犯行を行うのだ。

 そして、今日の犯行を行うコンビニは前もって調べたところ防犯カメラはハリボテであることが分かっている、ここの店長が売り上げがふるわないからと言って経費を少しでもカットしたいが為に夜中だけ防犯カメラの電源を切ってしまったからだ。二人は今日の計画を確認する。


「今日はお前が先に入ってトイレに籠って私を待つ。それから私が大きな荷物を持って入って来る、荷物を送るために店員と一緒に宛先の書き方や内容の説明などを細かく聞くんだ」


「ああ、その間俺は後ろの方で持ってきたカバンの中に商品を詰めまくる。この時間帯は店員が一人しかいないのは分かっているし、客も滅多に来やしない。防犯カメラは店長のケチな性格のおかげで使えはしないしまったく楽な作戦だぜ」


 と二人は笑った、二人はさっそく今夜必要なものを集め夜を待った。

 夜の2時過ぎ作戦は決行された。まず先に一人がコンビニの中に入り店員が一人しかいない事を確認した。その後「トイレを借りてもいいですか」と聞く、店員は「どうぞ」と了承した。それからしばらくしてもう一人の男がコンビニに入る。


「あの、すみません。荷物を送りたいのですが」


「はい、今行きますので少々お待ちください」


 そう言って、店員が駆け寄ってくる。荷物を持った男はレジに大きな荷物を置き、一息つく。そして、店員に見つからないように素早くポケットに手を入れもう一人の仲間に携帯で合図を送った。トイレに入っていた男は仲間からの合図を受け取るとトイレから出て物陰に隠れ店員と仲間の様子を探った。

 

「店員さん、私荷物を送るのが初めてで勝手が分からないのですが教えてはくれませんか?」


「ええ、分かりました。では、まずこちらの紙に記入ください」


 と配達の紙を渡され、荷物を持ってきた男がそれを書く。トイレに入っていた男はそれを見届けると服の中に隠し持っていた折り畳み式のカバンを広げコンビニおいてあるものを片端から詰めていった。化粧品や日用品は仲間に安く売ってしまって、他の者は自分たちで食べてしまうか使ってしまおうという腹だった。

物を詰める作業は1分もあれば済んでしまうが、問題が一つ起きた。

 ドアを乱暴に開ける音がした。他の客が来てしまっては作戦としては失敗である。今回はとりあえず今カバンの中に入っている物だけで満足して早くこのコンビニから出ていこう、と思いとりあえずコンビニから出ようとしたが


「強盗だ。ここにいる奴は手を上げろ」


 完全に予想外な客だった。入って来た男は銃を持っており、レジの近くまで来ると店員と男に銃を向けた。銃を持っている男はナイフを持っている男から見えないように商品棚の後ろに素早く身を隠した。


「よう」


 荷物を持ってきた方が隣にいた。俺たちは小声で話す。


「おまえ、どうやって隠れたんだよ?」


「いや、店員がレジから離れて配達のマニュアルを持ってくる時に強盗が来たからな。強盗は店員しか目に入っていなかったみたいだったからとっさに隠れたんだ」


「しかし、どうする?これじゃ俺たちも帰れないぞ」


「しばらく様子を見よう、決めるのはそれからだって遅くはあるまい」


 様子を見ると銃を持った男は店員に持ってきたカバンの中に金を入れるように指示していた。店員は言われた通りに金を入れていた。


「ふむ、強盗から少し離れた所に缶ジュースを投げて注意を惹き、私が後ろから強盗をタックルでもして組み倒そう。お前は反対から回り込んで倒れている強盗を縛るか何か重い物でも載せて身動きを出来なくさせる」


「注意を惹ければそれでいいじゃねーの?その隙に逃げちまえば」


「いや、コンビニから逃げる時に銃だと後ろから撃たれるかもしれない。なるべくなら障害は無くした方がいいだろう。それにこんな事があった後ならコンビニの商品が多少無くなっていても気づかないだろうしな」


「なるほど」


 と二人の方針が固まったところで作戦が始まった。まず、一人が缶ジュースを投げる。


「ん?なんだこれは?」


 コンっと軽い金属音がした。強盗は店員に銃を向けながらゆっくりと空き缶を拾おうとする。その時、後ろから男が強盗の両足を持ち前の方に押し倒した。強盗は訳が分からず床に倒れこんだ、倒れこんだのを見計らいもう一人が銃を蹴飛ばして強盗の手の届かないところへ。強盗は倒れた時にどこか打ってしまったのか蹲って立つことができなかった。銃を蹴飛ばした男は近くにあった商品棚を倒し、さっきまで商品を詰め込んだカバンを置いて強盗が動けないように重しにした。そして、タックルした相方を起こすと二人はそのままコンビニから走って逃げてしまった。

 

「ふぅ、何とか逃げ切ったな」


「ああ、万引きがばれてもいないのに逃げるなんて考えもしなかった。そう言えば、お前盗んだものは?」


「……あっ」


「…しょうがないな、今日は。予想外な出来事が多すぎた」



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