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Memento:狼どもが夢の跡
――金環教黎明期に起きた【冥軍侵攻】、東ロピア最大最後の魔女の反乱である【バロー蜂起】。これらと並び、金環教を大きく揺るがした事件を上げるならば間違いなく【ライカンスロープ戦争】が上げられるだろう。
かつてロピア大陸に存在した人狼達の国ティーアガルド。
この小国が金環教からの改宗要求を拒否したのは大陸歴一八〇〇年代の事だった。そして滅亡したのは大陸歴二〇二一年の事である。
つまりこの小国はおよそ二〇〇年もの間、金環教征伐軍の攻撃を耐えきった。
その要因は五点。一つは獣人連合の協力。続いて屈強な『銀星旅団』と、国土の大部分を覆っていた【魔の森】という環境。奇襲を主体とした戦術、そして――。
――【終焉の獣に関する伝承とその考察】より抜粋